46.宝石
さて、今日は3月29日。やっと今週に待ちに待ったダンジョンが解禁となる。とりあえずは今日は自宅のダンジョンを探索しようと思う。ああっ、そういえば、昨日テイムした奴らは朝早くにダンジョンに連れて行かれていた。まぁ、安全に探索して欲しいものである。
と、いうことでやって参りました23階層。23階層も出てくるモンスターは相変わらずのミノタウロスである。但し、3匹が常に一緒に居てそのうちの1匹がミノタウロスリーダーであることである。ミノタウロスリーダーが居ることで面倒なのは、スキルの統率を使いミノタウロス達と連携で攻撃してくることである。なので、俺達は、俺とグラム、スノウが常に一対一でミノタウロスリーダーとミノタウロスに当たるようにし孤立をさせ、連携をさせないようにする。勿論ローテーションをして1人がずっと同じ相手にならないようにしながら戦闘を行う。残ったウルは、後方からの遠距離担当である。何度かモンスターと戦闘を行うことで段々と慣れてくる。だが、油断はしないようにする。こういう時に結構、足元を掬われがちである。なので、油断せずに行こうと思う。その後も、モンスターの気配を見つけては戦いを挑んだ。勿論油断することなく確実に敵を倒して行く。そうそう、ミノタウロスリーダーのドロップ品は、持っている武器かミノタウロスの皮である。
ミノタウロスの皮
ミノタウロスから獲れる皮である。防御力に優れとても軽い。革製品は人気が高い。
ミノタウロスリーダーからドロップしたものはとりあえず全てアイテムボックスに仕舞っていく。そう言うことを繰り返しているといつの間にか昼の12時を越えていた。
「さて、昼も過ぎたことだし昼飯にしようか?」
「「「わかった(の)(ぞ)(なのです)!」」」
そう言うことでアイテムボックスからテントを取り出して中に入る。今日のメニューは青椒肉絲でいこうと思う。俺はアイテムボックスけらピーマンとタケノコ、ミノタウロスの肉を取り出して処理をしていく。あとは鍋で炒めて市販の青椒肉絲の素を入れて出来上がりである。グラム達の評価は良かった。俺も、美味いと思う。勿論、青椒肉絲だけでなくご飯と味噌汁は付けてある。やっぱり日本人はご飯がないとと思ってしまう。食後は休憩をしてから探索を開始する。
出てくるのは相変わらずミノタウロスとミノタウロスリーダーである。午後からは午前よりも戦闘に慣れずいぶんスムーズに戦闘できるようになった。それからもダンジョンを余すことなく探索していくと、宝箱を見つけた。特にモンスターが居るわけでもなく罠もある様子もない。とりあえず宝箱は開けてみる。宝箱の中には宝石が2つの宝石が入っていた。
ブルーダイヤモンド
青い色のダイヤモンド
ピンクダイヤモンド
ピンク色のダイヤモンド
2つとも色つきのダイヤモンドであった。俺自身、宝石に関しての知識はあまり持ち合わせていないが、どちらも俺の拳くらいの大きさがあり、とても綺麗にカットされて売れば結構な値段になるのではないかと思う。とりあえずは、アイテムボックスに仕舞っておいて頃合いを見てから売ってしまおうと思う。さて、宝箱の確認が終わると、そろそろ夕方に差し掛かってきたのでそろそろ今日の探索を切り上げて帰宅することにする。
そこからは、皆で入浴して晩御飯を食べて部屋でのんびり過ごす。そうしていると、テイムした動物達が帰ってくる。どうやら今日は新人達のレベルアップに行っていたようである。新人達は疲れているようだがどうやらレベルアップは上手いこといっているようなので良かったと言っておこうと思う。新人達には今日はよく食べて休息をとって明日も頑張れと言う他ない。とりあえず、何事もなく無事に帰ってきてくれたので良かったと思う。これで、何の心配もなく就寝することが出来る。
さて、今日は3月30日である。今日は昨日の続きの23階層を探索しようと思う。昨日、最後に居たところまでは大体大まかであるが覚えているので、そこまで敵モンスターを倒しながら進んでいく。昼前には到着することが出来たので少し早めの昼食にする。今日の昼食のメニューは、野菜が多めの野菜炒めを作って皆に出して見たがあまり評価は高くはなかった。どうやらグラム達は肉肉しい方がいいらしい。でも、野菜もきちんと食べないといけないことを説明すると食べていた。少し可愛そうになったので、デザートにヨーグルトに蜂蜜をかけて出してやったらとても喜んで食べていた。まぁ、一番喜んだのは久しぶりに大好物の蜂蜜を食べるウルであった。その後、休憩をしたあと探索を開始する。
探索を開始後も順調に探索は続きボス部屋に辿り着くことが出来た。
「さて、漸くボス部屋に辿り着くことが出来たが、勿論挑戦するよな?」
「勿論なの!」
「準備万端だぞ!」
「行くのです!」
皆、ヤル気満々であったので、俺はボス部屋の扉を開けて中に入る。毎度の事ながらボス部屋はとても広い。そう思っているとボス部屋にモンスターが出現する。今回は、ギガントミノタウロスが3体出現する。
種族 ギガントミノタウロス
レベル 49
HP 8200
MP 6100
スキル 斧聖術3 怪力9 突進9 身体強化5
さて、敵は3体で俺達は4人である。なので1人余るがこの場合は一番弱いウルが溢れることになる。なので今回はウルと俺が一緒に戦おうと思う。グラムは分裂が使えるから人手は要らないし、スノウは素早く動き回るので援護は必要が要らない。俺は分裂が出来るわけでもなく、スノウのように素早く動き回ることも出来ないので援護をして貰いやすい。また、ウルのゴーレムにギガントミノタウロスの相手をして貰って俺が攻撃をすればいい。
「グラムとスノウには1体ずつ相手をしてらう。」
「よしっ!頑張るの!」
「了解だぞ!やってやるぞ!」
「えーっと、ウルはどうするのです?」
「ウルには俺と一緒に1体を相手して貰う。」
「わかったのです。」
「じゃあ、行こうか。」
「「「おう(なの)(だぞ)(なのです)!」」」
まず、グラムは左に居るギガントミノタウロスに向かって行く。相変わらずスライムらしからぬハイスピードで突っ込んでいっている。スライムって進化するとあんなに速く動けるのかグラムが特別なのかはよくわからないが、まぁ、考えても仕方がないことだな。そんなグラムにギガントミノタウロスは手に持っている斧を上から振り下ろすがグラムはそれを体で受け止め逆方向に弾きとばしていた。ギガントミノタウロスは、斧を持ったまま万歳の状態となり驚愕の表情を浮かべている。それはそうだろう。グラムには物理攻撃が一切効かないのだから、とっ云うことは魔法の使えないギガントミノタウロスには万の1つも勝ち目がないということだ。グラムはギガントミノタウロスを覆うほどの水の塊を作り出しギガントミノタウロスを水の中に閉じ込める。こうなるとどうなるかと言うと、当然ギガントミノタウロスは息が出来ないのである。要は溺れさせようという腹積もりである。ギガントミノタウロスは、脱出しようと踠くが脱出は流石に無理であった。次第にギガントミノタウロスの動きは鈍くなり最後には動かなくなってしまい、魔石とドロップ品を残して消えていってしまった。
次にスノウである。スノウは、右に居るギガントミノタウロスに向かって行った。ギガントミノタウロスは、スノウの動きを捕らえることが出来なかった。スノウは、斬爪擊でヒットアンドアウェイを繰り返し、その後、少し距離を取り最後に風王魔法で風玉を作りギガントミノタウロスに放つ。風玉は、ギガントミノタウロスに見事に命中し、ギガントミノタウロスを中心に竜巻を発生させる。竜巻の中心に居るギガントミノタウロスは、みるみるうちに傷が増えていく。竜巻が消えてなくなるとギガントミノタウロスは棒立ちの状態であったが、その後、前のめりに倒れる。それから暫くするとギガントミノタウロスは消えていった。
最後に俺とウルである。俺もウルもそんなに素早くは動けない。まずは、ウルがゴーレムを作りだし、ギガントミノタウロスに向かわせる。ギガントミノタウロスは、ウルのゴーレムに持っている斧を両手で持ちゴーレムに振り下ろす。その振り下ろされた斧をゴーレムは真剣白羽取り受け止める。ゴーレムとギガントミノタウロスが鍔迫り合いをしている間に俺は後方に回り、縮地を使い抜刀術を繰り出す。抜刀術で、ギガントミノタウロスの背部を切り裂いた。俺はそのまま残心をせずに、突きを繰り出し、木刀は、ギガントミノタウロスの背部に突き刺さる。
「ブモォォオーーー。!」
痛みと憎しみに満ちた雄叫びを上げている。俺はそんなのお構いなしにギガントミノタウロスの背中に刺さっている木刀目掛けて雷撃を放つ。木刀からギガントミノタウロスの体内に電撃が走り、口から黒い煙を吐いて倒れ込む。その後は、起き上がってくることはなく、ギガントミノタウロスは魔石とドロップ品を残して消えていった。
俺とウルは、
「よしっ。!」
「やったのです!」
と言いながらハイタッチをする。とりあえず戦闘は終了したので魔石とドロップ品の回収を行う。ドロップしたのは、ギガントミノタウロスの角が2本とスキルの書が1つ落ちていた。スキルの書は、斧術である。
ギガントミノタウロスの角
ギガントミノタウロスから取れる角。武器に加工することが出来る。
さて、ドロップ品もアイテムボックスに回収した。すると、タイミングよく宝箱が出現した。俺達は、宝箱を開ける。中身は、数種類の宝石と10キロの金のインゴットが3つ入っていた。
ダンジョン産サファイア
ダンジョン産のサファイア
ダンジョン産トパーズ
ダンジョン産のトパーズ
ダンジョン産ルビー
ダンジョン産のルビー
俺は、宝石や金を集める趣味はないので頃合いを見て売ってしまえばいいと思う。とりあずは、次の階層に向かって帰るだけである。家に帰るとまずは入浴をして夕食を食べてあとは寝るだけである。因みに俺は酒の方は飲まないので酔っぱらうことはない。下戸と言うわけではなく、付き合い程度にしか飲まない。外食などで飲んでしまうと後が大変なのである。都会であれば便利な交通機関があるが、田舎にはそんなものはない。大体の移動は自分の車である。と言うよりも車がなければ自由に移動することも難しい。外食するにしてもそうである。今では、飲酒運転の規制が厳しくなって来ており、家に帰るのに運転代行を呼ばなくてはならない。これが、意外に高いのである。そんな理由から俺は酒を飲むことは殆どない。なぜ、俺がこんな話をしているかというと、グラム達以外の従魔、つまり猫や犬達の帰りが遅かったのである。なので、ダンジョンの入り口を入ったすぐの広場でお説教しているのである。俺がもし酒に酔っていたら説教も出来なかったであろう。俺が怒っていると皆「シュン」としたようにしている。
「それで、何で遅くなったんだ?」
俺の質問に1匹の猫が口を開く。
『ついつい、新人達のレベルアップが楽しくて時間を忘れていたニャ。』
「そうか。楽しいことはいいことだけどあまり心配をかけないでくれ。お前達が帰ってこないと何かあったと思うじゃないか。」
『ごめんなさいニャ。ご主人がそんなに心配してくれてるとは思わなかったニャ。』
「じゃあ、今度からはもう少し早く帰って来るように。せめて8時までには帰って来い。」
『分かったニャ。』
今日帰ってきたのは11時である。
「もし、帰ってこなかったらペナルティを与えるからな。」
『ペナルティって何ニャ?』
「要は、罰ってことだな。」
『それで、そのペナルティは何ニャ?』
「翌日のダンジョン探索の禁止!」
『ニャニャ?それは、厳しいニャ。』
「厳しくないと罰にならないだろ?それで、お前達の一番の楽しみは何かを考えた時、ダンジョンの探索だと思ったんだよ。だから、翌日のダンジョンの探索の禁止な。」
『うっう。仕方ないニャ。分かったニャ。』
「よしっ。じゃあ、今日はこの辺にして解散な。帰ってよく休むように!」
そう言うと皆一斉に家に帰りだした。やはりなんだかんだ言って疲れていたのであろう。俺も部屋に戻って寝るとする。