43.ゴーレム
今日は、3月24日である。今日は、昨日の続きを行う。今日も、俺達よりも先に猫と犬達はダンジョンに出掛けていった。
「さて、俺達も行くぞ!」
「わかったの!」
「頑張るぞ!」
「行くのです!」
俺は、21階層に転移する。とりあえず、昨日、探索したところまで進む。昨日の所までは2、3時間で行くことが出来た。さて、ここから昨日の続きを行う。今日は、今日中にこの階層を攻略したいと思う。なので、昨日は1人ずつ戦っていたので時間がかかっていたが、今日は、サクサク行くために全員で攻撃を仕掛けることにする。攻略を優先するならモンスターと戦わずに行けばいいのだが、モンスターを倒したときの経験値とドロップ品は、無視できないものであるので見つけ次第倒して俺達の糧になって貰おうと思う。
その前に、そろそろお昼過ぎになるのでアイテムボックスからテントを取り出してお昼にすることにする。とりあえず、何を作ろうか何も思い浮かばず、昨日食べたミノタウロスのステーキが忘れられなかったので、今日もステーキにすることにする。味付けは、昨日と同じだと面白くないので、今日は、焼き肉のタレとステーキ醤油を用意する。
「今日は、味を変えるために用意したものがあるから、よかったら使ってくれ!」
「わかったの!」
「やってみるぞ!」
「はいなのです!」
結果は、どれも好評だった。食後は、少しゆっくりしてから、21階層の探索に移る。探索は順調で、ミノタウロスも1体ずつしか出てこないため、4人で協力すればあっという間に倒せているのでかなりの時間短縮である。
1、2時間ちょっと探索をすると、でかい扉があった。どうやらここがこの階層の最後であるようだ。っと、言うことは、この先にボスが居ると言うことである。俺は、扉を開けて中に入る。俺達が中に入ると扉は自然と閉まる。中は意外と広い。扉が閉まると目の前にモンスターが出現する。
種族 ミノタウロスリーダー
レベル 45
HP 6000
MP 4000
スキル 斧術9 怪力9 突進7 統率5
ミノタウロスリーダーが1体とミノタウロスが5体出現した。
「どうしようか?」
「普通に行って倒せばいいの!」
「そうだぞ!」
「やるのです!」
「じゃあ、3人でミノタウロスを頼むな。俺は、奥にいる奴を仕留めるからな。」
「仕方ないの!」
「今回は譲るぞ!」
「しょうがないのです。」
「じゃあ、グラム。俺は奥の奴の所に行くから援護よろしくな。」
「分かったの!」
「行くぞ!」
「「「おう(なの)(だぞ)(なのです)!」」」
まず、俺は走り出しミノタウロスの間を抜けてミノタウロスリーダーの元に向かう。たが、当然、ミノタウロスは、俺の行く手を阻もうとするが、そこは、グラムが強酸弾を放つ。グラムの強酸弾は、俺が間を通り抜けようとする2匹のミノタウロスの手に当てることでミノタウロスは持っていた大きな斧を痛みのあまり落としてしまう。そのお陰で俺は無事にミノタウロスの間を抜けることが出来、ミノタウロスリーダーの元に辿り着くことが出来た。
まずは、グラム達だが今回はウルが結構頑張っている。ウルには、例えグラムとスノウが居たとしてもミノタウロスを5匹相手にするのはとても無理である。何せまだミノタウロス1匹にも手こずるからである。
「今回は秘密兵器を出すのです!!!」
スノウとグラムは、「何を言ってるんだこいつ?」といった目でウルを見ているが、それは、直ぐに驚愕に変わる。
「出てくるのです!」
すると、地面から2メートル位の岩のクマが出現する。
「ゴーレムなのです!」
ウルは、土聖魔法を使ってゴーレムを作成した。ウルが作り出したゴーレムは1体だけであるが、ゴーレムを見たグラムに攻撃されて武器を落としたない残りの3匹が持っている斧を振り下ろしゴーレムに攻撃し、斧がゴーレムに当たるが、ゴーレムはなんともなく逆に斧を弾き飛ばしいる。攻撃したミノタウロスが驚愕している間に、ゴーレムは、ミノタウロスに殴りかかり、ミノタウロスをふきとばしている。それを見ていたグラムとスノウも驚愕している。
「ウル、すごいの!」
「いつからそんなこと出来るようになったんだぞ?」
「前々から考えていたのです。それを今回やってみようと思ってやってみたら上手くいったのです。」
「ウルにまけてられないの!」
「俺もやるぞ!」
「ウルに任せてもいいのです!」
ゴーレムの戦いを見て少し調子に乗っているウルであるが、
「「あんまり調子に乗るんじゃない(の)(ぞ)」」
と、釘指されてしまう。
ゴーレムは、ミノタウロスを相手に優位に戦っているが、それ見てグラムとスノウが燃えないわけがなかった。グラムは巨大化してから10匹に分裂し水王魔法や強酸弾、体を武器に変化させてから自身を硬化させてから攻撃を繰り出し、スノウは、全身に身体教化を行い戦場を自由自在に動き回り風王魔法を纏わせた斬爪擊で攻撃したり風玉で攻撃している。ウルに至っては「そこなのです!ああっ、それはダメなのです。」と、後ろでゴーレムを応援しているだけである。対して、ミノタウロスは、可哀想である。それは、まず、ウルのゴーレムには、ミノタウロスの斧を弾く防御力がある。次に、グラムには物理も魔法も硬化がない。そして、更に、スノウは、身体強化を使い、その上で俊足を使っているのだからミノタウロスの攻撃が全く当たらないのである。一方的な戦いになっており、なんだかミノタウロスが憐れに思われて仕方ない。それからすぐに一方的な戦いには決着がついた。
一方の俺は、ミノタウロスリーダーと対峙していた。俺は木刀を鞘に納めたまま右手を木刀の柄に触らないギリギリのところで固定している。対してミノタウロスリーダーは、大きな斧を上段に構えた状態で固まっている。ミノタウロス達がウルのゴーレムに攻撃を「カーン」と斧が弾き返される音を合図に俺は縮地にてミノタウロスリーダーと一気に距離を詰めるが、ミノタウロスリーダも俺と同じ音を合図に大きな斧を振り下ろす。俺は、ミノタウロスリーダに接近すると抜刀術で足を攻撃しようと企んでいた。どんな生物も自身の足を負傷すると踏ん張りが効かなくなり攻撃にしろ回避にしろ影響がもっとも出る場所である。なので、そこを抜刀術で攻撃しようと思ったのだが、思ったよりもミノタウロスリーダーの攻撃速度が速かったので、俺は足ではなく、斧を握っている腕に攻撃を切り替える。抜刀術を放つ瞬間、振り下ろされる斧に一切の恐怖心はなく、ただ出来ると言う確信だけがあった。
結果、俺は見事ミノタウロスリーダーの腕を斬り落とす事が出来ていた。俺は、残心しており、木刀からは電気がビリッビリッといって迸っていた。恐らく、雷王魔法で強化されてなければミノタウロスリーダーの腕を斬り落とすことは難しかったのではないかと思う。これは、ミノタウロスリーダーと対峙し硬直していた時に、保険のつもりで仕込んでいたのだが、これが項を奏したのだろう。ミノタウロスリーダーは「ブモォォォォオオオォオ」と雄叫び?悲鳴?をあげているが、急にビッと体制を整えると左足で地面を引っ掻くように蹴り始めた。こういうのは何度かテレビで見たことがある。牛や闘牛などがよくやっている。確か、スキルに突進おのスキルがあったので恐らくだが突進してくると考えられる。だが、さすがに体格が全然違うし、何よりも角で攻撃され、食らえば相当ヤバイことになる可能性が高い。俺も結構レベルを上げていると思う。恐らく、常人以上の攻撃力や防御力を持っていると思うが、ここで、ミノタウロスリーダーの攻撃を受けようとは全く思わない。そんな実験見たいなことはしない方がいいと思う。と言うことで、結果は回避するの一択である。俺には幸いにも縮地と言う便利なスキルがある。縮地は、一瞬にして相手の懐に入ることが出来る移動系のスキルであるが、今回は、縮地を逃げるために使う。ミノタウロスリーダーが突進してくる。俺は、縮地を使い横に回避をする。ミノタウロスリーダーは、回避されたことを察知すると、方向転換して、また俺に突進をしてきた。
「マジか?そんなんありか?」
ミノタウロスリーダーの突進を俺は再び縮地で回避する。だが、また、同じことを繰り返す。これはどうにかしないといけないと思い一つの案をおもいついた。まぁ、単純なことなんだが、俺は、ボス部屋の壁際まで移動し、ミノタウロスリーダーが突進してきたのを回避し、ミノタウロスリーダーを壁に激突させ、自滅を誘う単純な方法である。ミノタウロスリーダーは、簡単に引っ掛かってくれた。ミノタウロスリーダーは、ダンジョンの壁に激突すると跳ね返ってくる。もちろんノーダメージではなく、かなりのダメージを負っている。頭にある2本の角は折れ、全身打撲の痕が見てとれる。ミノタウロスリーダーは、ゆっくりと立ち上がり、頭を左右に振っている。俺は、この間に木刀を鞘に納刀し、鞘の中で火王魔法を纏わせ、ミノタウロスリーダーに接近し抜刀術でミノタウロスリーダーの背部を切り裂く。「ブモオオォオオォ」と悲鳴を上げる。抜刀術の残心後すぐい上段に構え火王魔法を纏わせたまま振り下ろす。ミノタウロスリーダーはそのまま前のめりに倒れ込み、そのまま消えていった。
ミノタウロス達のドロップ品は、魔石と大きな斧がドロップしていた。
名前 バトルアックス
特にスキルはなく普通のバトルアックスみたいである。ドロップ品を回収すると宝箱が出現する。
「よしっ、宝箱を開けるぞ!」
「「「おーーー(なの)(だぞ)(なのです)」」」
俺達は、宝箱に近づき宝箱を開ける。宝箱の中身は、スキルの書が2個、10キロのミスリルのインゴットが3個入っていた。スキルの書は、弓術と水魔法であったので全部まとめて俺のアイテムボックスに仕舞う。
「さて、ドロップ品を回収したことだし次の階層に向かって今日は終わりにしようか。」
「分かったの。」
「いいぞ。」
「了解なのです。」
俺達は階段を下り22階層に辿り着くと転移の指輪を使い家に帰ることにする。
家に戻ると、親父から魚を解体して貰った分をアイテムボックスに仕舞う。
「そう言えばサイガ、お前宛に封筒が届いていたぞ。」
「そうなんだ。どこに置いてある?」
「台所に置いてあるぞ。」
「分かった。ありがと。」
俺は、台所に行き俺宛の封筒を探す。まぁ、探すといっても台所を見回すだけで見つかった。俺は、封筒を破り中身を確認する。中には合格通知証と必読の注意事項が書かれていた。内容としては……
1、ダンジョン探索には、国が発行する資格が必要である。
2、ダンジョン内での負傷、死亡に関しては、自己責任であり国は一切関与しないこと。
3、ダンジョン内での探索者同士のトラブル禁止とする。トラブルにて、相手を負傷させたり死亡させた場合は、法律によって処罰される。
4、ダンジョン外にて、探索者が犯罪を犯すと既存の法律よりも重い罰則になる。
5、ダンジョン内でのドロップ品は、基本、国が買い取りを行う。探索者が使用するなどしてもかまはない。
6、税金は、ドロップ品の買い取り時に引かれるので税金を納める義務はない。
等々色々書かれていた。
ダンジョン探索者の証明カードは、4月1日以降に合格証明書をダンジョンの受け付けにだせばすぐに発行してくれるらしい。とりあえず読むだけは読んでみた。
「ご主人、何してるの?」
「ああっ、ダンジョンの探索時の注意事項みたいな物を読んでたんだよ。」
「そうなの。」
あんまり面白い話ではなかったようである。その後は、いつものように風呂に入りみんなで夕食を食べる。