表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/135

27.卵狩り

さて、今日の昼飯はやはりハイオークの味見だな。もちろん、味見だから調理法はシンプルに塩コショウで焼くだけである。あとは、ご飯とサラダで昼食の準備は万全である。俺たちはハイオークの肉の実食を行う。


結果は、言わずともわかると思うがとんでもなく旨かった。口に入れた瞬間から豚系の旨味が口一杯に広がり溢れんばかりの脂が出てくるが、この脂が全然くどくなく、すっと体に入ってくる感じてある。


『これは、凄く美味しいの!』


『確かにうまいぞ!』


『美味しいのです!』


「ああっ、美味いな!!これを料理したらもっと美味くなるじゃないか?」


と、思わず口を滑らせてしまった。その瞬間、3人の目が一斉に俺の方を見るが、今は料理なんてしている暇はないため無視をすることにした。


『今すぐ作るの!』


『食べたいぞ!』


『蜂蜜を使って欲しいのです!』


何か1人だけ要求が違ったが


「今は料理してる時間がないから今度な。」


そう返事をするとブーブーと文句を言ってくるが無視を決め込む。


「あんまり文句言うんなら作らないぞ!!」


と、脅しをかけるとみんなに静かになった。


「今度、美味しいの作ってやるから待ってろ。」


『約束なの!』


『絶対だぞ!!』


『蜂蜜もなのです!』


「わかった!」


とりあえずこの場は乗りきることが出来た。後で、インターネットで料理のレシピを見ないとな、と思う俺であった。


気を取り直して、12階層に下りて行こうと思う。下りた結果、11階層と景色は全く変わっていなかった。まぁ、それは、仕方ないので、そのまま探索を開始する。敵はと言えばオークばかりであった。肉が手に入るから別に倒すのに苦ではなかったがあまり面白くない。すると、鶏を大きくしたような魔物がいた。


種族 ステックバード

レベル 15

HP 1000

MP 1200

スキル つつく3 俊敏3 羽ばたき3 火魔法3


「とりあえず、倒すか!」


『あれは、任せるのです!!』


そう言うとウルが飛び出していった。まぁ、ウルの方がステータス上、強いので心配ないと思うが、万が一があるといけないので何時でもフォローにいけるようにする。


『あの程度ならウルでもやれるの!』


『そうたぞ!』


「いや、俺もそう思うが万が一ってことも有るだろ?」


『ご主人は心配性なの!』


『だけど、そこが言いとこなんだぞ!!』


何かからかわれてるのか褒められてるのか微妙な言い方だけど………そんなことを思っているとウルの戦闘が始まる。

ウルは、ステックバードに真正面から突っ込んで行く。それに、気が付いたステックバードは、火魔法で、直径2、3センチの火の塊を3個作り出して、ウルに攻撃を仕掛けてきた。ウルは、その火の塊を真正面から受けているがそのまま突っ込んでいき、ステックバードを噛みつき、その後爪擊で倒していた。

ステックバードを見事倒したウルは、俺の元に戻ってきて


『ご主人、やったのです!』


「ああ、1人での初戦闘お疲れさま!ダメージはあるか?」


『少し熱かったのです!』


俺は、ウルの鑑定をすると、HPが200程減っていたので、俺は、ウルに回復魔法をかけてやる。


『ありがとうなのです。』


「次も気をつけて戦闘するんだぞ!」


『ハイなのです!』


その後、俺たちはステックバードの魔石とドロップ品を獲得するため倒した所に向かうと、そこには、魔石となんと卵が落ちていた。しかも3個も落ちていたのだ。


ステックバードの卵

ステックバードの卵である。とても、美味しく鶏の卵と味がよく似ている。


これは、やはり、卵のストックが欲しい。まだ、食べていないが今までの経験上、絶対に美味いに違いない。なので、沢山集めるしかないだろう。卵は、スクランブルエッグや目玉焼き、玉子焼き、うどんやラーメンに入れてもいいし、すき焼きの時は卵が欠かせない。それと、お菓子作りにも欠かせない。あとは、卵かけご飯は、簡単でとても美味い。俺は、それに、振りかけをかけて食べるのが好きなのでが……っと、俺の好みはどうでもよく、卵は色々と使えるので、いくらあっても問題ない。なので、今日は探索を終了して卵回収に行こうと思う。


「みんな、ちょっと聞いてくれ。」


『どうしたの?』


「さっきの鳥から卵がドロップした。卵は、色んな料理に使える食材だから沢山確保したいと思うんだ。」


『えー、やなのです!』


「なんでだ?」


『だって、あいつ弱いのです!』


お前がそれを言うか?ウルが相手出来るモンスターは、今のところあいつだけだと言うのに……まぁ、いい。だが、俺には秘策がある。


「そうか。じゃあ、仕方ないな。卵が手に入ればウルが大好きな蜂蜜をかけたホットケーキがもっと美味しくなるはずなのに本当に残念だよ!!」


『ちょっと待つのです、ご主人。もっと、美味しくなるのです???』


「今までの野菜も肉もどれも美味かったろ?」


ウルはコクコクと頷く。


「と言うことは、今回手に入った卵も美味いってことだ。卵が美味いってことはそれを使う料理も当然美味くなる。ウルが大好きな蜂蜜をかけたホットケーキも当然美味くなるってことだ。だけど、ウルが反対するんなら卵の回収は諦めて先に進もうか!」


『ご主人。卵を回収しに行くのです!!』


「急にどうしたんだ?」


『ご主人、さっきは悪かったのです。』


『ご主人、悪のりしすぎなの。』


『ウルがかわいそうたぞ。』


「そうだな。ちょっといじめすぎたかな?悪かったなウル!」


『ご主人~!』


俺は、ウルを抱き抱え頭を撫でてやる。


「別に怒ってないからいいよ。」


『本当なのです?』


「本当!」


『よかったのです!』


と、また抱きついてきたので頭を撫でてやる。


「それにしても、グラムもスノウも分かってて楽しんで見てただろ?」


『そうなのです??』


『だって、ご主人が意味もなくあんなこと言い出すわけがないの!』


『そうだぞ!主は、俺達にも美味しいものを食べさせようと思って言ってるんだぞ!』


「とりあえず、ステックバードを探して卵を回収するぞ!」


『『『おーーー(なの)(だぞ)(だぞ)』』』


その後、2、3羽倒した。卵は落とす個数は2個の時もあれば5個の時もあり異なっていた。更に、新たなステックバードを探していると植物を見つけそこには赤々とした実が実っていた。それは、俺が特に欲しいものであった。


ダンジョントマト

ダンジョン産のトマト。


トマトである。トマトは、旨味成分のグルタミン酸を多く含んでいる。また、ケチャップやミートソース、トマト煮なんてのも美味そうだ。あと、カレーに入れてもいいかもしれない。それと、エビチリなんかにも必要な食材である。これは、卵と同時に収穫しなければいけない。


「よしっ!それじゃあ、トマトも収穫していきます!」


『『『了解なの(だぞ)(なのです)!』』』


それから、トマトを3、4回収穫し、ステックバードは13、4羽倒して卵を回収したら16時近かったので今日は帰ることにした。



次の日、今日はどうしようか悩む。それは、先に進むべきか、それとも食材を集めるべきか悩むが、まだ、十分な量がないのでとりあえずは今日と明日は食材集めをすることにしようと思う。


「みんな、聞いてくれ。昨日、卵とトマトを手に入れたがまだまだ量が足らない。なので、今日と明日はこの階層で食材集めをしたいと思います。」


『わかったの。』


『了解だぞ。』


『わかったのです。』


「そこで、みんなで行くのは効率が悪いので2手に別れようと思う。組み合わせは、前と同じで俺とウル、グラムとスノウで行こうと思う。」


『また、その組み合わせなの?』


『たまには違うのがいいぞ!』


『ウルは別にいいのです!!』


「今は、これが一番バランスがいいと思うんだよな。ウルがもう少し強くなったら考えるよ。」


『強くなるように頑張るのです!!』


『わかったの。』


『仕方ないぞ。』


「いつものようにアイテム袋を渡しておくぞ。今回の目的は、卵とトマトだけど他のモンスターもきちんと倒してレベルアップするように。ドロップ品も忘れずに回収する事。あと、宝箱は回収してくること。以上。そして、最後に夕方にこの場所で待ち合わせな。」


『わかったの。とりあえずモンスターを倒しまくればいいの!』


『よし、行くぞ!』


そう言うとグラムがスノウの背中に乗りさっさと行ってしまった。


「アイツ等わかってるよな?まぁ、これがはじめてじゃないから大丈夫だと思うけど………。」


『ご主人、どうしたのです?』


「なんでもないよ。ちょっと独り言言ってただけだから気にしなくていいよ!」


『わかったのです!ご主人、張り切って行くのです!』


「おーー!」


こうして俺たちも出発する。ウルにはまだ、オークを相手にするには早いので俺がオークの相手をするがステックバードは、ウルでも倒すことが出来るので任せるが、まだ、戦いに馴れてないのかよく攻撃を喰らっているのでその都度回復魔法で回復をした。

夕方になると俺達は12階層の入口に戻って来た。今日の結果は、俺達の方はまずまずといった感じである。そう思っていると、グラムとスノウが戻ってきた。


「お帰り!どうだった?」


『大量なの!!』


『頑張ったぞ!!』


俺は、グラムからアイテム袋を預かり中身を確認し、俺のアイテムボックスに入れていく。単純に、俺達の倍くらいの量があった。


「よく、これだけ集められたな。すごいぞ!」


『えっへんなの!』


『頑張ったぞ!!』


「えらいぞ!今日はこれで終わりにして明日はこの階層を攻略して次の階層に行こうと思う。」


今日、探索しているときにたまたま下へ向かう階段を見つけていたのだ。


『わかった(の)(ぞ)(なのです)。』


俺達は、家に帰りみんなで風呂に入って家族みんなで食事をする。そー言えばダンジョン産の食べ物を食べはじめてからは父親も母親は、体型が筋肉質になり皺もなくなり髪も黒々となってきている。俺は、と言うと、レベルを上げ始めた頃は少し痩せたかなと思っていたが、ダンジョン産の食べ物を食べ始めてから少し太りぎみだった体が痩せて筋肉質になり体も動き易くキレも良くなっているように思う。父親は腰、母親は膝を痛がっていたが最近では調子がいいと言っていた。かく言う俺も、腰が悪かったが最近では全く痛みを感じなく全力で走ってもどんなに動いても大丈夫であった。確信はないが、ダンジョン産の食べ物と自分のレベルを上げることにより体が引き締まり、体の内から活性化されているのではないかと思う。まぁ、あくまで仮定の話だけどね。



さて、今日は昨日の探索にて下への階段を発見しているので、今日は、まず、下の階層を目指そうと思う。と、言うことなので一直線に下の階層目指して進むが、その道中に出会ったモンスターは、俺達の経験値に変わってもらう。1時間ちょっとで目的の場所に到着する。やはり案の定そこにはボスモンスターがいた。今回は、ハイオークが2匹とオークが7匹である。上の階層よりそれぞれ数が増えている。


種族 ハイオーク

レベル 30

HP 3700

MP 2300

スキル 絶倫7 怪力7 槍術6 統率4


種族 オーク

レベル 25

HP 2500

MP 1250 

スキル 絶倫5 怪力4 槍術4


上の階層よりも少しレベルが上がっているがまぁ、問題はないだろうと思う。


「今回はどうしようか?」


俺は、今回はみんながどうしたいのか意見を聞く。すると、


『オークはグラムに任せるの!!』


「グラム、やる気だね。でも、1人で大丈夫か?」


『大丈夫なの。あのくらい余裕なの!!』


「わかった。じゃあ、任せるけど油断は禁物だからな!」


『わかったの!』


グラムがやる気のようだ。まぁ、グラムには物理は効かないから心配する必要はないんだけどね。

「じゃあ、ハイオークを俺とスノウが1匹ずつ倒そうか」


『わかったぞ!』


よし、これで、担当が決まったと思ったら


『ご主人、ウルも何かやりたいのです!』


とても切ない顔で見られると嫌とは言えなく…


「じゃあ、グラムと一緒にオークの方頼めるか?」


『ありがとうなのです。頑張るのです。』


「そう言うわけなんで、グラム、頼めるか?」


『仕方ないの。任せるの!』


「グラム、ありがとな!あと、ウルは、近接戦闘は禁止で遠距離からの魔法攻撃のみだからな!」


『わかったのです。』


ウルのステータスでは、まだ、近接戦闘は厳しいので遠距離からの魔法攻撃のみとした。これまでも戦闘には参加していたがほとんど隠れさせて経験値を得るために魔法攻撃を当てるだけで済ませていた戦闘とは違い、今回はウルも一応戦力として参加してもらう初めてのボス戦なのでとても嬉しそうである。だが、ここで一応釘をさしておかねばならない。


「ウル、戦闘に参加するので喜んでいるのはいいが油断降るんじゃないぞ!」


『わかったのです!』


「じゃあ、行こうか?」


『『『おーー(なの)(だぞ)(なのです)』』』


まずは、グラムとウルがオークに向かって行き、スノウもハイオーク目掛けて飛び出していった。俺は、気配を消してオークやハイオークに気が付かれることなく歩いて目標のハイオークまで行こうと思う。

まず、グラムたちであるが、グラムはスキルの分裂を使い全部で6人へと増える。1人1匹のオークを倒す気なのだろう。だが、オークは7匹いるので後の1匹はウルに任せるつもりなのでろう。グラムは、水王魔法でアクアカッターや強酸弾を使いオークが自分に接近する前にそれぞれ、余裕で仕留めていた。一方のウルはと言うと、グラムの意図を理解したのかグラムが相手していないオークに向かって土魔法を使って、ウルの手のひらサイズの石を作り出して、オークに投げつける。その石は、オークの側頭部に命中し、自信にヘイトを集めることに成功する。すると、オークが


「ブモーーーー!」


と、雄叫びを上げてウルに接近しようとするが、ウルは土魔法を使いしオークの足元にオークがすっぽり入るような落とし穴を作る。オークは、その落とし穴にハマり下半身はすっぽり穴のなかにあり、上半身だけが地上に出ており、脱出しようともがいている間にウル土魔法で大きめの先が尖らせた岩を作り出し、それに回転を加えてオークに放った。


『ストーンバレットなのです!!』


ウルのストーンバレットは一直線にオークに飛んでいき見事命中しストーンバレットはオークに突き刺さっており無事に倒すことが出来ていた。ってか、あれはもうストーンバレットじゃなくてスピアとかランスの間違いじゃないかと思ってしまう。それに、誰だよ、ウルのやつに回転を加えたら威力が増すって教えた奴は?それは後でじっくり聞くとして俺はハイオークを倒しに向かう。

俺よりも早くハイオークに接近できスノウは自分の俊敏性を生かしてハイオークを翻弄していた。氷魔法で斬爪擊を強化して攻撃を繰り出しており、ハイオークが怯んだところでスノウは後ろから飛びつき首もとに咬擊をする。スノウが、咬擊をしたところから血が吹き出してハイオークは倒れそのまま消えていった。

後残すは俺が担当しているハイオークである。俺はまだ、気配を消しており、ハイオークは俺には気がついていない。なので、ハイオークは3人にヘイトが集中していた。とりあえず、その間に俺は、ハイオークに一撃を加えることにする。木刀に雷魔法を纏わせ背後から上から下に向かって斬りつける。ハイオークは、雷魔法のお陰で麻痺状態となり行動不能となっている。なので、麻痺している間に更に攻撃を何度か加えるとハイオークは倒れた。すると、その後、ハイオークは消えていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ