25.オーク肉とサツマイモ
さて、朝食を作ろうと思うが、もう既に昼前なので朝食兼昼食と言った感じだろう。何を作ろうかと考えるが特に思いつかないので俺がいつも作る定番の料理を作ろうと思う。まず、片手鍋に水を入れてご飯を杓文字1杯入れて沸騰させる。ラフピッグの肉を薄く切って入れる。そこに冷蔵庫の中にあるシメジや椎茸等のキノコ類を適当に入れる。あとは、市販のキムチを入れて少し煮る。全部煮えたら味噌を入れて少し煮てから器に移す。その上にネギを入れてあとブラックペッパーを入れるのが最近の俺の中の流行りである。とはいってもこれを作るのは去年以来なのでグラム達は食べたことがないので反応が少し不安である。とりあえずみんなを起こすのが先かな、と思い部屋に行く。
「おーい。みんな、そろそろ起きろよ!」
俺が声をかけると布団がガサガサしだし、みんなが目を覚ます。
『うーーん!よく寝たの!!』
『気持ちよかったぞ!』
『うーん!おはようなのです!』
「おはよう。飯出来てるけど食べるか?口に合うかはわからんけど。」
『食べるの!』
『食べるぞ!』
『食べるのです!』
俺はさっき作った物をみんなの前に出してやる。
「さて、食べようか!」
「『『『いただきます!』』』」
みんなで食べ始める。俺的には良い感じの味付けになったと思うけど
『うーん!微妙なの。』
『まあまあだぞ。』
『辛いのです。』
どうやらみんなの口にはあまり合わなかったようである。俺的には美味いと思うんだがまあいいか。
食事を終え片付けをすると
『ご主人、ゲームやるの!』
「そうだったな。じゃあ、やろうか。」
俺は、ゲームの準備をする。今日は、テレビゲームをやろうと思う。テレビをつけ入力を切り替えてゲーム機の電源を入れる。やるゲームは複数人でやれるものが良いだろう。まずは、操作を教えるために俺が1人でプレイをして見せる。その後は、皆にもやってもらう。結果、グラムは体を上手いこと変形してコントローラーを使い、スノウとウルも器用にコントローラーを使いゲームをしている。俺は、スノウとウルには少し厳しいのではないかと思っていたが問題なく出来ている。そして、案の定3人ともゲームにハマってしまった。そんなこんなで、土日の休みはゲーム三昧であった。
月曜日になったので今日からまた探索の開始である。今日は朝に目覚めることが出来、現在8時である。なので、余裕をもって9時から探索を開始することをみんなに伝えると『えーーっ!』と拒否反応がかえってくる。おそらくみんなゲームにハマってしまったのだろう。しかし、そんなことを許してはいけない。なのでここは心を鬼にして接しなければならない。今現在、大体1日で1階層攻略できている状態である。
「じゃあ、1階層を攻略したら帰ろうか。そしたら、帰ってきてゲームしてもいいぞ!」
『さっさと行くの!』
『早く終わらせるぞ!』
『早く帰るのです!』
急に3人はやる気になった。まぁ、やる気になってくれたらいいか。
「じゃあ、行こうか!」
『『『おう(なの)(だぞ)(です)!』』』
俺達はダンジョンに向かう。今日は金曜日に到達した11階層から探索を開始する。この階層からは荒野になっている。とりあえず、進んでみようと思う。すると、すぐにモンスターの反応があった。
「近くにモンスターがいるぞ。この階層のモンスターは初だから油断は禁物だぞ!」
『わかったの!』
『そんなこと言わなくても楽勝たぞ!』
『なのです!』
俺達は気配がするほうに向かうとそこには身長が2メートル位の少しでっぷりとした豚の顔をしたモンスターが2足歩行で歩いている。これは、所謂ダンジョンで定番のアイツだと思う。
種族 オーク
レベル 20
HP 2000
MP 1000
スキル 絶倫5 怪力3 槍術3
やはりオークだった。ダンジョンでは定番のモンスターである。
「じゃあ、まず、俺がやることにする!」
『えーー!グラムがやるの!』
『俺が行くぞ!』
『ウルもやりたいのです!』
「『『ウルはダメ(なの)(だぞ)!』』」
『しゅんなのです』
「というわけで、まずは、俺からな。そのあと、グラムスノウの順番で行こうか!」
『仕方ないの!』
『わかったぞ!』
というわけで俺から戦うことになった。今回試してみたいのは鍛冶のスキルである。普通の鍛冶は武器や防具、道具などを作るスキルであるが、それは、一般的なものである。今回は既存の武器を強化することが出来るのか試してみたいと思う。俺が使う武器は木刀であるが、その木刀の切れ味を良くするように鍛冶スキルを使用してみる。すると、木刀の刃の部分を触ってみると少し切れ味が良くなっているように感じる。本当なら、ここに、耐久力アップを使ってみたいが木刀は壊れないため使う必要がなかった。
俺は気配を消してオークに接近し斬りかかるが一撃で仕留めることが出来た。オークの死体は消えて無くなり魔石と肉がドロップしていた。魔石と肉はとりあえずアイテムボックスに入れておく。肉は後で味見をする予定だ。
オークの肉
オークからドロップした肉。
その後は、グラムとスノウと交代で戦うが特に苦戦することはなかった。そのまま、ダンジョンを探索していると、10メートル四方に草が生えていた。ここは、荒野のフィールドなので緑色の物など殆ど見られないがここには生い茂っていた。良く見るとその葉っぱには見覚えがあった。それは、サツマイモの葉っぱに良く似ていた。とりあえず、鑑定してみると
ダンジョンサツマイモ
ダンジョン産のサツマイモ。
サツマイモなら掘るしかないだろう。
「よし、今からサツマイモを掘ります。」
『えーー!やなの!』
『そうだぞ!早くこの階層を攻略して帰ってケーキするんだぞ!』
『そうなのです!』
こいつら、すでにゲームにハマってやがる。
「まあ、とにかくやってみよう。面白いからさ!」
『仕方ないの。』
『わかったぞ!』
『ハイなのです。』
サツマイモを掘るにしても地面は固そうであったのでグラムに
『グラム、地面に水分なくて掘りにくそうだから水魔法で地面を柔らかくしてくれないか?』
『わかったの!』
グラムは、大きな水の塊を作り、サツマイモ畑に落とす。すると、水は地面に吸い込まれ良い感じになっていた。
「よし、サツマイモを掘るぞ!」
『『『おーー!』』』
サツマイモの弦を引っ張るとサツマイモが一緒になって出てきた。縦にも横にも大きくとても美味しいそうである。弦も食べれるので弦も回収する。後は、地面に残っているサツマイモを掘り起こすのみである。俺達は各々サツマイモを掘り沢山のサツマイモが取れた。このままアイテムボックスにしまうのは泥が付いているので後で何か作るときに面倒なためここできれいにしときたいと思う。それにはやはり水魔法を使えるグラムが必要である。
「グラム、この芋を綺麗にしたいから力貸してくれるか?」
『いいの!』
グラムは快諾してくれ水魔法を使い芋を綺麗にしてからアイテムボックスに収納する。時間を見るとちょうど昼になる頃なのでここで昼食にしようと思う。アイテムボックスから魔法のテントを取り出してみんなで中に入る。3人は各々が好きなことをやっている。俺は、昼食の準備を開始する。とりあえず、今確かめたいことはオーク肉とダンジョンサツマイモの味である。まず、味付けはシンプルな方が素材の味が良くわかると思う。なので、ダンジョンサツマイモは、蒸し器を使って蒸そうと思う。アイテムボックスには一通りの調理道具を入れており勿論蒸し器も入れてある。アイテムボックスから蒸し器を取り出し、水を入れ目皿を入れその上にダンジョンサツマイモを乗せて蓋をして火にかける。次に、オーク肉は塊なので切り分けシンプルに塩コショウで味付けをしてから焼いていこうと思う。だが、これだけでは物足りないので塩コショウバージョンとポークチャップを作ろうと思う。ポークチャップは作るといっても肉が焼けたあとにケチャップを入れて少し焼くだけなのだがこれが意外に美味しい。焼けたら盛り付けをして完成だ。
「おーい!ご飯出来たぞ!」
『はーいなの!』
『待ってましたたぞ!』
『わかりましたなのです!』
俺が呼ぶとみんな一斉にやってくる。ご飯とオーク肉各種を出してやるとみんな喜んでいた。
「じゃあ、食べるぞ!いただきます!」
『『『いただきます(なの)(だぞ)(なのです)』』』
まず、塩コショウで味付けしたオーク肉を食べると肉汁が溢れ出て物凄く美味しい。ラフピッグやホーンカウよりも一段上をいっている。
『ご主人、おいしいの!』
『うまいぞ!』
『美味しいのです!』
「確かに、思ってた以上に美味いな!」
『これは、もっともっとオークを倒すしかないのです!』
『ウルの言う通りだぞ!』
『賛成なの!』
「そうだな。こんだけ美味ければ仕方ないな。」
確かに、これは、美味すぎる。そんなことを考えながら食事をしているとあっという間になくなってしまった。
『満足なの!』
『ああ。美味かったな!』
『なのです!』
「満足してるとこ悪いけどまだあるんだけどな!」
『何があるんだぞ?』
「さっきみんなで芋を掘っただろ?それを今蒸かしてるんだよ!」
『ふかすって何なのです?』
「蒸かすって要は蒸すことだな。」
と、説明するも3人とも首を傾げている。まぁ、グラムに限って言えば首はないんだが………
「要は焼くとか煮るとかの親戚って思ってればいいよ。話がそれたが、さっき掘ったダンジョンサツマイモに興味はないか?」
『あるの!』
『あるぞ!』
『あるのです!』
「よし、じゃあ、みんなで実食してみよう。」
俺は、蒸し器の蓋をとり箸で芋を刺してみると力をあまり入れずに箸が刺さっていく。火を止め蒸し器から芋を取り出し皿に移してからみんなの元に持っていく。
「熱いから気をつけて食べろよ!」
『『『はーい(なの)(だぞ)(なのです)!』』』
特に味付けはしていないが塩だけ用意している。よくスイカに塩をかけて食べると塩のしょっぱさがスイカの甘味をより甘く感じさせるというやつである。普通のサツマイモも十分な糖度があるため同じような食べ方をしたらより甘くなるので、一応今回も用意してみた。
まずは、皮を剥きたいが熱くて苦戦する。何とか剥き終わり食べようと思う。それぞれ皮を剥こうと必死である。なんとかみんな食べる用意が整ったので
「じゃあ、実食しよう!」
俺達は一斉に芋にかぶりついた。芋はとても熱く「はふっはふっ」いいなが食べたが、この芋、メチャクチャ美味い。今まで食べたことがないくらい甘いサツマイモであった。
「これ、ヤバいほど美味いな!」
『おいしいの!』
『うまいぞ!』
『……………』
あれ、ウルは?と思っていると、
『何なのです!これは~?とっっっっても美味しいのです!』
と、1番感動していた。
「良かったな。」
『なのです。これは、毎日食べたいのです!』
「ちょっと毎日は無理かな。まだ、そこまで量がないし他にも試してみたい料理とかあるしさ。」
『他にも美味しいのがあるのです?』
「ああ、今回はダンジョンサツマイモの味が知りたかっただけだから、1番シンプルな食べ方しかしてないからな。手を加えればもっと美味しいのが出きるぞ。」
『もっと、美味しいのです?』
「そうだな。天ぷらにスイートポテト、焼き芋にしてもいいし、とりあえず色々と活用法方があるぞ。」
『楽しみなのです!!!』
「まぁ、それには芋を確保しないといけないけどな。」
『じゃあ、昼からは芋を探すのです!』
「ダンジョン攻略は?」
『芋を探しながら攻略するのです!』
ウルの目が芋の形になっておりウルを止めるのは難しそうである。
「ウルがあんなこと言ってるけど2人ともいいか?」
『仕方ないの!でも、美味しいからとくに異論はないの!』
『俺もいいぞ!』
「じゃあ、午後からはダンジョンサツマイモを探しながら攻略していくぞ!」
『『『おーーー(なの)(だぞ)(なのです)』』』
その後はオークを狩りつつダンジョンサツマイモを探して採取していった。結果としては結構な数のオークとダンジョンサツマイモを手に入れることが出来た。どうやらオークはダンジョンサツマイモを食料としているらしく芋を掘っているとオークが何回も襲いかかってきた。まぁ、その都度順番に排除していった。何だかんだで時計を見ると夕方の5時なので今日の探索はここでやめて帰ろうと思う。
あっ、それと、ダンジョンサツマイモの収穫にはグラムに分裂してもらうことで物凄く捗った。