17.受験申請
本日は2月5日である。2月に入りやっと仕事の引き継ぎも終わり後は3月末迄休みとなった。今日までとても長かった。これからは、ダンジョンに専念することが出来る。その前にダンジョンの資格試験があることをすっかり忘れていることを思い出したので、ネットにて厚生労働省のホームページを確認するとダンジョンの資格試験の事が書かれていた。まず、受験資格だが16歳以上の人なら誰でも受けれるそうだ。ただ、前科のある人は受験することは出来ないらしい。受験日は3月10日である。受験科目は一般常識と体力テストである。そして、受験地は北海道、青森、宮城、東京、新潟、埼玉、神奈川、千葉、愛知、石川、大阪、兵庫、奈良、広島、高知、福岡、熊本、沖縄で行われることになっており何ヵ所かの会場に別れるようである。とりあえずこのホームページから願書を取り寄せるようにする。後は、必要な書類を準備しとかなければならない。準備するものは証明写真と戸籍謄本、受験料の1万円を収入印紙で準備をしておかなければならない。しかも俺はこの募集は2週間少し前から掲載されていたらしく応募締切は2月12日なので締切まで後1週間しかなかった。なので資料が来たら直ぐに送り返せるように準備をしなければならない。
ということで今日中に用意しようと思う。まずは、グラムとスノウ、ウルに説明をし納得してもらう。そして、証明写真を撮りに行く。まずは市役所に行き戸籍謄本をもらいに行く。市役所の受付で戸籍謄本をもらう。
「よう、サイガ。こんなところで何してるんだ?」
振り返るとそこには俺の幼馴染みの白川大樹がそこにはいた。俺は白川があまり好きではなく、出来たら会いたくない人物である。その理由として白川は中学生の頃から不良グループに混じっていたからである。そいつらは、不良ではない生徒を脅して他の生徒に喧嘩を売らせ、そいつらが口論や喧嘩になると後ろで笑って見ていたり、後輩を大人数で囲って金を要求してみたりしていた。しかも、学校では自分達が1番偉いと勘違いをしていた馬鹿であると俺は思っていたので俺は不良グループにいた奴等はあまり好きではない。かと言って話をしないわけでない。まぁ、世間話程度だが……
「白川か久しぶりだな。今日は、戸籍謄本をもらいに来てたんだよ。」
「そうか。そんなものもらってどうするんだ。」
「何でもいいだろ?」
「もしかして、探索者の免許を取るつもりか?」
いきなり核心をつかれたが別に隠すようなものでもない。
「だとしたらどうなんだよ?」
「お前なんかがそんなもの取っても無駄だ。どうせ直ぐに死ぬのがおちだぜ。」
と、大きな声で笑い始めた。
面倒なので俺はそのまま帰ろうと思い「じぁな!」と言って立ち去ろうとすると俺の肩を掴み
「まだ、話は終わってないだろ?」
「他になんか用か?」
「なぜ、俺がここにいるの分かるか?」
俺は特にその事については興味がなかったので知らなかった。
「知らないけど…もしかして」
白川は、「もしかして」という言葉に「うんうん」と頷いている。
「市役所の職員になったのか。あの不良だったお前がね~。」
すると、白川がズッコケル
「もしかして違ったか?」
「当たり前だ。」
「じゃあ、何しにここに来たんだよ?」
「俺は、探査者になるために書類を取りに来たんだよ。」
「そうなんだ。」
「何か反応が薄いな。」
「別にお前が何をしようが俺にはあんまり関係ないからな。」
「サイガも探索者になるんだろ?何なら俺たちのチームに入れてやるぞ。まぁ、荷物持ちになるだろうがな。フッフッフッフッ!」
「別に気にしなくて良いぞ。俺は、ソロで行くつもりだから。」
「サイガって自殺志願者だったか?」
「俺を勝手にそんなのにするんじゃねーよ。本気でソロでやるつもりなんだよ。それよりも、忙しいからもう行くぞ。」
「あっああ、じゃあな!」
「またな!」
そう挨拶をして、市役所を後にする。
何か会いたくない奴に会ってしまったな。後で聞いた話だが白川大樹は土木関係の仕事をしているらしいが、そこは反社会的勢力つまりは暴力団との関係があると噂されている会社であるそうだ。まぁ、今のところ俺には関係がないため放っておく。市役所の後には証明写真を取るために写真屋に行き証明写真を撮ってもらい、最後に、郵便局に行って、収入印紙の購入を行う。
俺は用事が終わると出てきたついでに銀行に行き金を下ろし食料品を買い込む。だが、食料品といっても野菜やカレールーや中華の調味料(麻婆豆腐や青椒肉絲など)、インスタントラーメン(袋に入ってるもの)、あとはスナック菓子や和菓子、洋菓子、アイスクリームなどを大量に買い込む。肉はダンジョン産の肉の方が美味いので今は買わないでおく。会計を終えると俺は、買ったものを抱えて車に移動する。そこて、今買ったものを誰にも見られないようにアイテムボックスの中に収納し、自宅に帰る。
自宅に着く、戸籍謄本や証明写真などを一纏めにして分かりやすいところに置いておく。その後は自室に戻るがグラム達は部屋には居なかった。おそらく3人でダンジョンに行っているようだ。グラム達が今、どの階層にいるのか分からないし、探すのは面倒なのでとりあえず昼寝をすることにした。
ぺちぺちと何かが俺の頬を叩いている。俺は目覚めると俺の上にグラムが乗っていた。
『ご主人、ただいまなの!』
「ああっ、お帰り。ってか、今、何時だ?」
俺は部屋にある時計を見ると午後5時半を過ぎていた。グラムが預けていたアイテム袋を俺に渡してくる。
『今日の戦利品なの。』
「ありがとな。」
グラムからアイテム袋を受け取り中身を取り出して俺のアイテムボックスに入れ換えていく。殆どが肉と魔石であった。中身を確認していると指輪が出てきた。
「グラム、これは?」
『宝箱があったから開けてみたの。そしたらそれが1つだけ入っていたの。』
「そうか。分かったよ。」
俺はその指輪を鑑定してみると
従魔の指輪
従魔を指輪に入れることが出来る。指輪の中は快適な空間となっている。また、出入りは自由に出来る。
「おっ、また良いものが出てきたな。」
『どんなものだぞ?』
「従魔を入れることが出来るんだって。」
『それのどこが良いものなんだぞ?』
「これから、俺は探索者になるだろ。そしたら、この家のダンジョンだけじゃなくて国が管理するダンジョンに行かないといけないけど、お前達を連れていくとパニックになる可能性があるだろ。その時にこの指輪があれば従魔を他の人に見られることなくダンジョンに入れるだろ。」
『なるほどだぞ。』
「スノウ、まず入ってみるか?」
『やってみるぞ!』
「じゃあ、中がどうなっているのか教えてくれよな。あと、スノウの意思で出てこれるようにしてるからな。」
『わかったぞ。』
そう言うとスノウは指輪に入っていった。しばらくすると指輪が光りスノウが出てくる。
「スノウ、どうだった?」
『中はメチャクチャ広くて快適だったぞ。』
「そうか。」
『グラムも入ってみたいの。』
『ウルもなのです。』
「分かったよ。じゃあ、行ってみようか。」
スノウとウルも指輪に入っていった。そしたらグラムが出てきた。
『中は快適だったの。』
「そうか。それで、ウルは?」
『もう少しいるって言ってたの。』
「そうか。」
どうやらウルは中が快適なため出てきたくなかったようである。まぁ、それは良いとしてとりあえずステータスの確認を久しぶりにやっておこうかな。
名前 神月 サイガ
レベル 50
HP 3100
MP 3020
スキル 鑑定 アイテムボックス 木聖術4 テイム9 気配遮断9 火魔法5 雷魔法8 魔力操作9 罠感知6 隠蔽8 気配察知8 魔法耐性6 縮地7 睡眠学習6 体術3 回復魔法3
称号
世界初ダンジョン入り
世界初ダンジョンモンスター討伐
世界初フロアボス討伐
種族 ビックスライム
名前 グラム
レベル 25
HP 3500
MP 3450
スキル 物理耐性9 酸弾9 水魔法9 分裂8 魔法耐性8 巨大化8
称号
神月サイガの従魔
種族 ホワイトタイガー
名前 スノウ
レベル 12
HP 3100
MP 3000
スキル 噛みつき9 爪撃8 俊敏9 風魔法7 身体強化3
称号
神月サイガの従魔
まだ、指輪のなかにウルがいるがウルのステータスの確認が出来るか試してみる。
種族 ベビーベアー
名前 ウル
レベル 15
HP 200
MP 120
スキル 引っ掻く3 土魔法3
称号
神月サイガの従魔
「なんだ、出来るんだ。」
指輪のなかにいてもステータスを確認することが出来た。そんなことをしていると
「サイガ、ご飯よー。」
母親からそんな声が聞こえたので俺はウルを指輪から出す。
「ウル、ご飯に行くぞ。」
『ハイなのです。』
「じゃあ、いくぞ!」
『『おー(なの)(だぞ)!』』
俺達は食卓に向かう。食卓には最近ではお馴染みのダンジョン産の肉料理が並んでいる。この肉を食べるようになってから両親の髪が黒くなってきており皺も薄くなってきているように思える。そして、体型も心なしかスリムになっているように思う。もしかしてモンスター肉を食べると若返るようになるのかな?つまり、アンチエイジングの効果があるのかな?これはもう少し様子を見よう。そう言う俺も元々は少し太っていたが最近、痩せてきている。食事が終わりテレビを見て就寝する。