16.クマ?
翌日から2週間ちょっとは仕事でとても忙しかった。なのでダンジョンには行けていない。俺が、なぜ、ダンジョンに行けなかったと言うと仕事の引き継ぎをしたり今までに貯まっていた仕事を片付けなければならなかったからだ。一応は3月末に退職予定だが貯まった有給を消化してから辞めるため2月の始めに何日か働いたら後は仕事を辞める日まで仕事場には行くことがなくなるので今のうちに全て仕事は終わらせようと頑張っているとダンジョンに行けないでいた。俺が忙しい間はグラムとスノウも暇だろうと思いダンジョンの探索を許可した。俺が持っていた転移の指輪をグラムに渡し7階層までの探索を許した。ただ、条件として夕方までには必ず帰ってくることと無茶をしないこと、とした。もし守れなかったら当分の間ダンジョンの探索は禁止とした。あと、大きめのリュックを渡しモンスターのドロップ品や宝箱の中身などを回収するように頼んだ。
それから、何だかんだで2月になり俺は有給休暇に入ることとなった。同僚からは「何で辞めるの?」と色々聞かれたが「ダンジョンに興味がある」と話すとどの人も「あんた、もういい歳なんだからそんなものに興味を示さなくてもいいのに!!」といったことを周りからは言われた。まぁ、俺はそんな話しに聞く耳は持っていない。そして、この2週間で少し変わったことがあった。俺は、グラムとスノウが持ち帰ったリュックの中身の確認を毎日行っており、それらをアイテムボックスの中に入れていく。アイテムボックスの中は、時間が停止しているため物が腐ることがないのでいくら放り込んでも問題ない。そして、何回か宝箱を発見したのか風魔法や火魔法、水魔法、土魔法などのスキルの書やある日、いつものようにアイテムボックスに入れているとリュックの中から袋が出てきた。
「グラム、スノウ、これって何だ?」
『さぁ?宝箱の中に入ってたから持ってきたの!』
『そうだぞ!』
何だろうと思い鑑定を行ってみる。
アイテム袋(特大)
袋の以上の物を入れることが出きる。用量は東京ドーム10個分。時間は1/10。
「とっ、東京ドーム10個って何かわかりやすいけどわからないよな!」
東京ドーム10個分ってすごくたくさん入るのは分かるが、俺は、まだ、東京ドームを実際に見たことがないのし、ましてや10個分なんて想像がつかない。
まぁ、グラムとスノウがダンジョンに行くときはリュックじゃなくてアイテム袋を持たせるだけでいいんだからいいものがドロップしたと思う。そう思いながらリュックの中の物をアイテムボックスに入れていくとリュックの底の方で何かが動いた気がした。リュックのなかを見てみると、茶色いお尻に丸い尻尾が見えた。俺はその物体をゆっくりとリュックから取り出す。すると、テディベアのような熊のぬいぐるみであったが、ぬいぐるみにはない温かみがあり、尚且つ呼吸をしておりどうやら眠っているみたいである。俺は、グラムとスノウに再度質問をする。
「なぁ、2人ともあれは何だ?」
俺は、熊のぬいぐるみみたいな奴を指差して質問する。
『クマなの!』
『クマだぞ!』
その答えを聞き、俺はガクッとなる。
「最悪、熊は分かるとして何でこんなところにいるんだ?」
『6階層で魔物を倒しているときに怪我をしているのを見つけたの。』
『そうだぞ。それで、小さいし可哀想だから宝箱から拾ったポーションを使ったんだぞ。そしたらなつかれちゃって仕方なく連れてきたんだぞ。』
「理由は大体分かった。それで、俺にどうしろと?」
『テイムすればいいの。』
『賛成だぞ。』
「まぁな。」
俺はそうなるんじゃないかと思っていた。なので、俺は熊を起こす。体を揺さぶると目を覚ます。起き上がると周りをキョロキョロ見ており俺を見つけると威嚇をしてくるが側にグラムとスノウがいると落ち着きを取り戻す。何を言っているのかはわからないが説得し、納得したようなので俺はその熊をテイムする。俺は熊に向かって
「なぁ、今からお前の名前を決めようと思うんだが何か希望はあるか?」
『ご主人様にまかせるのです。』
「そっそうか。分かった。」
見た目はまんま熊のぬいぐるみである。毛の色は茶色である。なんて名前にしようかな?変な名前付けるのも嫌だし、それにしても、グラムとスノウの時はよく名前が出てきたなとその時の俺を誉めてやりたいよ。
そんなことを考えながら名前を考えること10数分、何も思い浮かばない。携帯を手に取り色々な国で、「熊」という言葉を調べてみるとラテン語でウルススという言葉があったのでここからもらうことにした。
「よし、決めたぞ。お前の名前はウルだ!」
『ウルなのです?』
「そう。ウルだ!嫌か?嫌なら他の名前を考えるけど………」
『良い名前なのです!ありがとうなのです!!』
「じゃあ、今からウルだ!これからよろしくな!」
『ハイなのです』
「グラムとスノウもよろしくな!」
『了解なの!よろしくなの!』
『わかったぞ!よろしくだぞ!』
『よろしくなのです!』
種族 ベビーベアー
名前 ウル
レベル 1
HP 10
MP 3
スキル 引っ掻く1
称号
神月サイガの従魔
「それで、グラムとスノウ。ウルはまだレベルが1で弱いからレベルが上がるまではお前達が守りながら魔物を倒すんだぞ。」
『わかったの。』
『わかったぞ。』
「じゃあ、よろしくな。」
『よろしくなのです。』
『まかせろなの。』
『大船に乗った気でいろだぞ!』
「スノウ、お前そんな言葉どこから覚えてくるんだよ。」
『秘密だぞ!』
「わかった。」
スノウが変な知識を得ないことを願う。
俺たちは今は俺の部屋で寛いでいるが従魔が増えたことを両親に伝えておく必要がある。もし、家のなかで動いている熊がいたら大騒ぎになるに決まっている。そうならないための措置である。ので、居間でテレビを見ている両親のもとに行く。
「なぁ、親父、かあさん、ちょつといいかな?」
「いいぞ。どうした?」
「実はさ、俺に新しい従魔が増えたから紹介しとこうと思って。」
「今度はどんな従魔なの?」
「紹介するよ。ウル、入っておいで。」
すると、ウルが入ってくる。ほとんどぬいぐるみが四足歩行で入ってくるのだから物凄く可愛いと思う。それを見た両親は目を見開く
「ねぇ、サイガ。新しい従魔ってその子の事なの?」
「母さんそうだよ。」
「抱いてみても良いかしら?」
「いいよ。」
そう言うと母さんはウルを抱き上げもふりだした。
「あら、とても良い毛並みで気持ちいいわね。」
といい、ウルは撫でられている。撫でられているウルも満更でもないようだ。それを見ていた親父もウルに触りたそうな顔をしているので
「母さん、親父にも触らせてやってよ。」
「そうね。あなた、どうぞ。」
「あっ、ああ。」
親父はウルを受け取り撫でる。
「これは気持ちが良いな。」
そのうち2人でウルの取り合いを始めたので俺がウルを回収する。
「と、言うわけでよろしくな。」
「「わかった(わ)」」
両親に紹介も終わり俺たちは部屋に戻る。