135.キング
「………異常さ?……ああやっ、それは、大統領にとって、いや、日本以外の国では異常に思われるでしょうな。」
「…………???どういう意味だいスバル?」
「正直、私も異常だと思いましたが、どうやら日本の若者、こと、オタクと呼ばれる者達にとってはそんなに異常な事ではないようですよ。……確かに、神月はその中でも飛び抜けて異常なのでしょうが、人間隠しておきたいこともあるでしょう。」
「話がさっぱり見えないんだけど。」
「日本では、憲法に表現の自由と言うものがあります。」
「それは、知っているよ。」
「そこで、ありとあらゆる情報があるんですよ。そこに小説があるんですよ。その分野の中でもフィクション。つまり想像によって架空の物語を作るものがあるんですよ。その中に主人公が異世界に召喚され魔法やスキルを色々な活用方法で生きていく。魔王を倒すために冒険したり、逆に魔王となって世界を滅ぼしり、そんなことはお構い無く自由に生きていく等々様々な物があるんですよ。私自身も知らないったんですが、私の秘書がそういうの大好きでしてね。付け焼きはですが色々と教わったんですよ。」
「そんなもので強くなったと言うのか?」
「それは、分かりませんが、我々日本の方が魔法の扱いが上手かった様には思います。アメリカの方は型にハマった物をそのまま何も疑いを持っていないと言う感じでしたね。」
「それは、彼らに限ったことじゃないなかね?」
「それが、そうでもないんですよ。私も最初はそう思ってたんですが、色々と調べさせた結果、皆、色々と工夫をしているみたいなんですよ。」
「工夫?」
「そうです。例えば、火の魔法だったら火の玉を青い火の玉にしたりとか、水の魔法だと冷たくしたり温かくしたりとか、色々と工夫を凝らしてるみたいですよ。」
「……そんなことが可能なのか?」
「可能か不可能かで言ったら可能なんじゃないですか?実際にやっている探索者はいるみたいですし!それに、そもそも魔法事態が物理法則を無視しているようなものじゃないですか?そこに、多生の変化があっても私はあまり驚きませんね。」
「たっ、確かにスバルの言う通りだね。……これからは、我々も固定概念に囚われるとこ無く自由な発送が必要だと言うことだな。」
「そう言うことだと思いますよ。」
2人だけの首脳会談であった。
2人が話をしていると、ドロップ品が落ちていた。今回のブラックコボルトキングからは、魔石と毛皮、そして、包丁が1本ドロップしていた。
「「「「「「「包丁???」」」」」」」
俺を含め全員の頭にクエスチョンが浮かぶ。いち早く復帰したのはシルヴィアで、鑑定が出来る仲間を至急呼び出す。俺もまだ、鑑定はしていないのでドキドキである。アメリカ兵が鑑定すると、
「こっ、これは……!」
っと、手が震えながら説明する。
「この包丁の名前は万能包丁っと言う名前の包丁だそうです。ありとあらゆる食材を切ることが出来て、切った瞬間にその素材の一番食べ頃、つまり、食材の最高の状態になると言うことですね。」
「「「「「最高の状態?」」」」」
「つまり、傷みかけた食材や、少し食べ頃には早く収穫した食材、旬ではない食材等が、一番い美味しい状態になるらいしです。」
万能包丁
ありとありと食材を切ることが出来る。食材に応じ大きさの調整が可能。そして、切った食材は、最高の状態になる。ただし、戦闘には利用できず、料理にしか使用することができない。もし、戦闘で利用すれば粉々に砕ける。
「神月!いいものを手に入れたな!」
「確かにな。」
この包丁を使えば美味い飯にありつける。まぁ、おいそれと世間に出すのは憚れる物だから、俺が使うしかない。だが、ここで1つ問題がある。いくら食材が最高な物となったとしても、素材を扱う人の腕が今一ならどうしようもない。っと、これはまた後日考えるとする。
「っと、言うよりも、俺が貰っていいのか?」
「いいのかも何もお主が倒したんだ。そうだろ?」
玄羅が問うと1人だけ反論しだした。ジョンである。
「あるぞ!」
「じゃがのう。今回はアメリカ側には権利はないと思うんだがな。」
「そんなことはない。」
「だが、そもそもボス戦にはアメリカ側は参加していなかった筈だが?」
「……それは、わっ我々が参加を表明する前にそちらが勝手にやったことだ。なので、今回の件は、」
っとジョンが言ったところでシルヴィアが止めに入る。
「ジョン、止めな。あれは私たちじゃ勝てなかった。勝てたとしてもここにいる大半は死んでただろうね。だから、今回は引いた方がカッコいいと思わないか。それに、何も得られなかった訳じゃない。どうすれば強くなれるのか。何をしなければならないのかが明確に分かったし、私もまだまだだと実感させられたよ。私はもっと強くなれる!」
シルヴィアは、獰猛な笑みを浮かべている。それは、まるで、白いオーラが出ているかの様にジョン達、ライトニングのメンバーには見えていた。そして、宝箱が出現するも万能包丁以上の物はなかった。あったのは、10キロの金塊が30個、あとは色とりどりの宝石である。流石、ダンジョン産の宝石である。
「わぁ~、綺麗な宝石っすね。」
「確かに綺麗ですね。」
「惚れ惚れするね。」
遙、朔夜、あかりの3人がうっとりとしている。
「好きなの取っていっていいぞ!」
俺は、そう言うと、3人とも好きな物を取ろうとした時、さっき鑑定したアメリカ軍人が、
「ちょっちょっと、それ、ただの宝石じゃ無いですよ?」
「シュナイダー。どう言うことだ?」
シルヴィアが問いかける。どうやら、シュナイダーと言うようである。見た目は、金髪、青目の超イケメンで左の目元に泣き黒子がある。
「その前に勝手に鑑定したことをお詫びします。」
「そんなこと気にしなくていいですよ。それで?」
前の時みたいにただの色の付いた宝石だろうと思い鑑定していないのである。
「はい。その宝石の名前は属性宝石と言うそうです。」
「「「「「「「「属性宝石??」」」」」」」」
俺を含め全員がハモる。
「そうです。そして、属性は色によって別れているみたいです。例えば、火属性なら赤、水属性なら青と言った感じになってるみたいです。」
「でもさ、シュナイダー。でもさ、属性があったとしても所詮はただの宝石なんでしょ?」
シルヴィアが聞く。
「それが、そうでもないみたいなんですよ。何でもその宝石は加工が出来るみたいです。加工をすることにより様々なアイテムにや装飾品と言ったものになるみたいですね。あっ、ただし、宝飾って言うスキルが必要みたいですね。それに、宝飾って言うスキルのレベルが高い程、良い物が出来るみたいですよ。」
「「「「「「へぇ~!!」」」」」」
皆が感心する中、
「じゃあ、私はこの青いのを貰ったっす!」
っと、逸早く遙が自分の属性に見合ったものをゲットしていた。
「ずるいですよ、遙。じゃあ、私もこれを貰ます。 」
っと、朔夜も自分が欲しいものを取っていった。
「ならば、儂も貰うぞ。」
玄羅もどうやら欲しいかったみたいだ。
「別にいいけど、宝飾ってスキルがないとただの宝石なんだろ?」
「そうですね。ですが、持ってるだけでも少しは効果はあるみたいですよ。」
っと、シュナイダーは答える。
「だけどさ、お前。シュナイダーって言ったっけ!あんなデカイ宝石抱えて戦闘したいと思うか?」
「………………いいえ、思いませんね!」
「だろ!」
実際宝石の大きさは大人の男の拳大の大きさがあった。属性の効果がアップするなら持っても良いかもしれないが、何しろデカすぎる。あと、玉兎達も欲しそうにはしていたが、なかなか言い出しにくそうにしていたので、
「玉兎達もいるか?」
っと、問いかけると、速攻で、
「「「お願いします!!!」」」
っと言ってきた。そして、あかりに関しては、「もう
1個貰ってもいいですか?」っと聞いて来たので、「いいぞ!」っと言うと嬉しそうに2個ゲットしていた。あかりは、双剣で2属を使うので2個欲しがったのである。そもそも、俺は、一人占めするつもりはないしな。
「じゃあ、あと、いる奴はいないか?」
俺の言葉に全員が沈黙する。そう、宝石はまだ沢山あるのだ。大きいもので遙達が持っていった大きなものから小指の先位の小さなものまで各属性沢山残っているのである。そして、誰も言わないので仕方なしにアイテムボックスに入れようとすると、シルヴィアが、
「神月。……そっ、その、……なんだ、……私も欲しいんだが、いいか?」
「おいっ、シルヴィア。お前には誇りというものはないのか?今回、我々アメリカはあの宝箱の所有権を放棄しているんだぞ。なのに、そんなことをいけしゃあしゃあと言えたな!」
「はぁ~?そう言うジョンだって目は欲しいって訴えてるよ!」
「なっ、……当たり前だ。あれ程のアイテムだ。欲しいに決まっている。」
「じゃあ、どうぞ!好きなの選んで下さい。」
「「「「「「……えっ?」」」」」」
アメリカ側は全員が鳩が豆鉄砲を食らったような表情を見せる。
「いっ、いいのか?貰っても。」
「どうぞ!好きなの選んでください。」
「ほっ、本当にいいんだな?」
シルヴィアが念を押してくる。
「要らないんだったらいいですよ。無理にとは言いませんから。」
っと言うと、
「「「「「「いります!」」」」」」
っと、声が揃って言われた。そう、今回加わった兵士全員に分け与えてもまだ、半分以上が残っていた。それも、全属性が。
「あとは、宝飾ってスキルを持っている人を見つけるかスキルの書を手に入れるかですね。」
っと、話していると、俺の従魔の猫がやって来た。
「何を言ってるにゃ?私達の中に、その宝飾ってスキル持ってる奴がいるにゃよ!」
「……はい?」
「「「「「「「「「…………?」」」」」」」」」
俺を含め全員の顔が点になる。どうやら、この猫の言葉は全員にも分かるようである。
「あそこにいるにゃ!」
射ささそ誘った(笑)いあお猫が指?っというか腕を伸ばすとそこには、自衛隊員を伸した三毛猫が腕で顔を撫でて寛いでいる。っが、それを聞いた全員の視線が三毛猫に集中する。その視線に気がついた三毛猫は、
『にゃにゃ!なっ、何かみんなに見られてる気がするにゃ!それに、何か欲望が入り交じってるにゃ?』
確かに間違ってはいないと少しだけ笑える。すると、逸早くシルヴィアが、
「おおお~!君か!宝飾のスキルを持っているというのは。っと言うか、そんなの抜きにしても家の子にならないか?」
シルヴィアが三毛猫を抱き上げモフモフ撫で回しながら頬擦りをした状態で俺の方を振り向く。
『にゃにゃ?ご主人、どう言うことにゃ?』
「いや、実はな……」っと、三毛猫は全く興味がなかったのか聞いていなかった為、宝石が出てからの話を三毛猫にするのである。