134.出陣
私の名前はシルヴィア。アメリカのナンバーワンよ。そんなこと私ですら手こずっている相手に意気揚々と3人は向かっていく。1人は高齢の男性。そして、2人は私よりも若い高校生位の年代の女の子。1人は途中で止まる。そして、高齢の男性と女子高生が、全線で戦っている3人の元に到着する。
「玉兎!儂が来たからにはもう下がっていいぞ!あとは、全部儂がもらい受ける。」わま
っと、わけのわからないことを言っている。こんなに耐久力のあって、大量にいるモンスターや1人で裁けるわけないじゃない。っと、思っていると、
「ずるいっす!それは、私の獲物っす!」
っと、女子高生も同じことを言い始める。
「いいや、いくら爺さんでも譲れないな。俺達だって強くなりたいんだ!」
「そうだぜ!」
「そうそう!」
「ふんっ!好きにせい!儂も好きに暴れさせて貰う!巻き込まれるなよ!」
っと、意気揚々とモンスターの群れに飛び込んでいく。それに、続きて遙もモンスターに飛び込んでいく。
「あの2人も凄いわね!やはり武器の性能の差?」
シルヴィアが呟く。
「恐らく、それと魔法の使い方でしょうかね。」
「それなら、今回のが終わったら話をしたいものね。」
「そうですね。それは、私も興味があります。」
っと、ロバートが答える。
「それよりも、こっちの状況はどうなの?」
シルヴィアの問いにジョンが答える。
「撤退の命令は出ていない。だから、戦っているようだが、負傷者が続出しているようだ。死人が出ないのが不思議な位にな!」
「何考えてるのよ!こっちのトップは?」
「大統領にも引けない事情があるんだ。」
「何よそれ!」
「プライドってヤツだな。今まで後ろ楯となったいた国の実力者を目の前にして対抗意識があるってことだろ!」
「そんなの日本に助けを求めた時点でないに等しいんじゃない?」
「だが、現実を見ると人間誰しも嫉妬してしまうんだよ。現に今のシルヴィアもそうだろ?」
「たっ確かにあんな武器があればと思うけど、それだけよ。」
「権力者はその辺りが過敏なんだよ。」
っと、ジョンがシルヴィアに説明する。
「……ところで、あれは何?」
「「「「あれ?」」」」
ライトニングの面々はシルヴィアが言った「あれ」に目をやる。それは、俺が従魔を召還っと言うか勝手に出てきた場面だった。
「動物だな。」
「動物ですね!」
「でも、動物とは違うのも何匹か居るみたいだけどね。」
アメリカ側は、全員の頭の上に?マークが浮かんでいる。そんな風に見ていたが、出現した動物達が急に武装?し始めたではないか。色とりどりの服や甲冑を身に纏っている。そんな風景を見ていると、動物達がモンスターに向かって突進していく。私は動物が好きだ。そんな彼らをモンスター相手に突進させるとか正気ではないと思っていた。っが、実際にはモンスターを蹂躙している。しかも、先程参入した3人よりも圧倒的に強い。
「どうなっているの?」
「「「さぁ?」」」
私の問いには誰も答えられない。答えられそうなのは頭を抱えている神月と言う人物だけだろう。今すぐに問い質しに行きたいが私は手一杯であるので行くことが出来ない。そして、神月という男の元にいたグラムと言う名のスライムと白い虎、そして、小柄な熊が宥めているように見える。そして、意を決したのか神月という男とその近くにいた3匹も参戦している。戦いを見る限り神月とその3匹は圧倒的に強かった。恐らくあの中に、いやっ、神月と言う男がナンバーワンだと確信した。
俺は絶句していた。目の前に居る従魔達に対してである。
「じゃあ、先に行くにゃ!」
そう言うと皆行ってしまう。残ったのはグラムとスノウ、ウルである。
「まぁまぁなのです。」
「そうだぞ!今は気にしても仕方ないぞ!」
「ご主人!ファイトなの!」
「お前らだけだよ。そう言ってくれるの。じゃあ、八つ当たりでもやりに行くか?」
「「「了解(だぞ)(なのです)!」」」
そして、俺達も戦いに参加する。そうそう、俺の手には雷神の刀を装備している。この前の玄羅の借したときの約束を果たすためである。
そして、俺達も参戦する。雷神の爺さんは『おお~、これじゃこれじゃ~!滾りおって楽しいの!』っと上機嫌である。俺達が参戦してかの殲滅スピードはとても早かった。
「ちょっ、支障!横取りは良くないっすよ!」
「これは、遙との戦闘前だからノーカンだよ。悔しかったら俺が仕留める戦闘を開始するんだな!」
「くき~!悔しいっす!」
遙との戦闘を開始する前のブラックコボルトを倒したのである。探索者には、人が戦闘している場面では、基本的に手は貸さない。となっている。まぁ、救援があればその限りではないらしい。今回の場合は、まだ、戦闘前ということなのでノーカンだと思う。遙は悔しがっていたが、すると、朔夜が、
「ちょっと、遙!私の獲物を横取りはしないで下さい。」
「師匠が言うには早い者勝ちっす!」
「遙ァ!あとで覚えておきなさいよ!」
っと、朔夜は随分と御冠のようである。
そして、順調に倒すことが出来ており、アメリカ軍の被害も少なく済んでいるようである。そして、モンスターがダンジョンから出てくるよりも倒す方が圧倒的に早くダンジョン外に居るモンスターは居なくなっている。今では、順番に時間制限を設けてモンスターを倒している。そんな事をしていると、シルヴィアが、
「ちょっと、どうなっているのよ!」
っと、ちょっと怒り気味に言ってくる。
「どうとは?」
「私達と力の差がありすぎるでしょ?」
「そうか?」
俺は、答える。
「そうでしょ!現状を見れば私達はランキング上位勢!貴方は兎も角、他の人よりは高いはず。それなのに現状は全くの逆。どう言うこと?」
「まずは、武器の性能の差だね。」
「武器の性能?私達が使っている武器が劣っているとでも言うのかしら?これでも、世界最高の技術で作られた逸品なんだけど?」
「金属は普通に存在する金属で?」
「そうよ。それらの金属を色々と合わせて特殊な合金してから私達の武器が作られてるらしいわ。詳しくは知らないわね。」
「それじゃあ、武器の性能に差が出ても仕方ないですね。」
「どういうこと?」
「俺達が使っている武器は全てダンジョンからドロップしたもの。」
「それがどうしたのよ?」
「今、使っている武器は、シルヴィアさん達が使っている武器の性能を大きく上回る。それに、武器にもスキルが付いている。その点もシルヴィアさん達が使っている武器とは違う点かな。」
「「「「武器に、スキル?」」」」
っと、ライトニングがハモる。
「そうだな。例えば、俺が今使ってる刀ですが、雷神ってスキルがある。」
「「「「「雷神??」」」」」
「まぁ、このスキルは特殊なものなのであまり参考にはならないですけどね。」
「それは、どういうスキルなんですか?」
ロバートさんが詰問してくる。
「それは、企業秘密ですよ。」
「……そうですか。では、やはり良質な武器を手に入れようと思えばダンジョンのドロップしたものしかないと言うことですね。」
少し落ち込み気味である。可哀想なのでここで少しだけ教えてあげることにする。
「確かに武器に関してはそうですけど、別に無ければ作ればいいじゃないですか?」
「そうは言いますけど、ダンジョンから得た金属を使って武器を作成しても元々ある金属よりも純度が高いだけで今あるものと殆ど変わりないじゃないですか!」
「……アメリカは手に入れてないんですか?魔法金属!」
「「「「「魔法金属??」」」」」
「あれっ?その反応だと知らないみたい?」
「…コホンッ、取り乱しました。それで、魔法金属とはどう言った物なんですか?」
「えっ~と、知りません。ミスリルとかオリハルコンとか。」
「ええっ、知ってはいますが、それらは所詮物語の中での話でしょ?」
「それがそうでもないんです。…ウル、ちょっといいか?」
俺は、ウルを呼ぶ。ウルは、直ぐに俺のところに来てくれた。
「何か御用なのです?」
「ああ、ちょっとウルのガントレット貸してくれるか?」
「いいのです!」
ウルはガントレットを外して俺に渡してくれる。俺は、そのガントレットをウルと同じ戦闘スタイルのシルヴィアに手渡す。
「これが何よ?私に渡されてもこんな小さいもの装備なんか出来ないわよ?」
「まぁ、騙されたと思って装備してみろよ!」
「ホントに訳が分からないわね。」
っと、ぶつくさと文句を言いながらウルのガントレットを装備する。
「えっ?どういうこと?」
ウルのガントレットはシルヴィアの腕にしっかりとフィットしている。
「重いわね。それで、いったいこれが何なの?」
「ああっ、言ってなかったな。その武器はダンジョンから得た物だ。使用者に丁度合うようになっているらしい。あと、それは、オリハルコンで出来ている。装備の名前としてはオリハルコンガントレットだ。」
「「「「「「オリハルコン!??」」」」」」
ライトニング全員がシルヴィアの装備のしているガントレットに目が行く。
「でも、これだけ重かったら例えオリハルコンでも意味はないわね!」
そう、シルヴィアが言う。
「シルヴィア。ガントレットに魔力を流してみろよ。」
「魔力を?そんな事してどうなるの?」
「騙されたと思ってやってみたらどうだ?」
「わかったわよ!」
そして、シルヴィアがオリハルコンガントレットに自分の魔力を流すと、「えっ?嘘でしょ?」っと、シルヴィアの口からついでてしまう。
「どうした?シルヴィア!…お前、シルヴィアに一体何をした?」
俺の胸ぐらをアレックスが掴む。すると、シルヴィアが、
「アレックス!何ともない。手を離しなさい。」
「でも!」
「いいから!」
「わかった。」
渋々と言った感じだが、手を離す。
「どう言うこと?羽根のように軽くなったわよ。」
「魔力の通りもいいだろ?」
「凄いな。それに、魔力をあまり使ってないぞ。」
シルヴィアは感動している様子である。
「魔力を込めれば込めるだけ威力はあがっていくし、属性魔力を込めれば威力は更に上がる。」
「………欲しい。っというか、頂戴!」
「ダメなのです!それは、ウルの武器なのです!」
「良いじゃないか?お前達は良い装備一杯持ってるじゃないか?」
「それとこれとは関係ないのです!それは、ウルのなのです!」
2人が睨み合いをしていると、ジョンが、
「シルヴィア返してやれ!」
「ええ~でも、これが欲しい~!」
「子供みたいな我が儘を言うな!」
「仕方ない。」
ガントレットを渋々外し、ウルに返却する。それでも、シルヴィアは名残惜しそうな顔をしていた。
「これで、分かって貰えたと思うけど、ダンジョンから得た武器がどんなものなのかと言うことが。あと、ここまでの性能は出せないかも知れないけど、ダンジョンで得られるミスリルやオリハルコンなんかの金属を使えば良い武器が作れるんじゃないか?」
「そうだな。」
シルヴィアは頷くが、ロバートが、
「シルヴィア。そうだな。じゃないですよ。そもそも、我々アメリカ側にはそう言うった金属がドロップしたと言う記録はありません。それ以前に、ミスリルやオリハルコンが有ったとしても加工の方法が分かりません。」
「1つだけ簡単な方法があるんだけど聞くか?」
俺がそう言うとロバートは一瞬固まったが、直ぐに再起動して俺に迫ってくる。