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124.武器贈呈

天上院玉兎です。俺は人選を間違ったのかもしれない。神月さんに鍛えてもらえれば簡単に強くなれる。そう思っていたが、実際は違った。まさに地獄の一言である。最初の方は、俺達ではモンスターを倒すことが出来なかったので動かないモンスターにダメージを与え、神月さんが倒すと言うことを繰り返していたのだが、段々と俺達でも倒せるようになってくるとここからが地獄だった。そこからは一体ずつであるが戦わされた。何度も怪我を負うがその都度神月さんはあっという間に治してしまう。なので、戦いにはすぐに復帰することが出来た。その中で連携がいかに大切なのか理解することが出来た。だけど、それもつかの間、一体を簡単に倒せるようになると、次は2体、3体と増やされていく。それに、モンスターは時間が増える度に増えていっている。神月さんの従魔は一体何を考えているんだろう。言いたいけど、これを言ったら自分はこの世にはいないかもしれない。

そして、漸く、地獄の1日半が終わったと思ったら、今度は飛んでもないことを言い始めた。1日、っというか、9時間でダンジョンの6階層まで来いとのことだ。しかも、間に合わなければ、地獄の特訓が待ってると言うじゃないか。あれ以上の地獄はないと信じたいが、この人(神月さん)と従魔のことだからもっと修羅場をくぐり抜けているに違いない。そんなところに連れていかれたら今の俺達では死ぬ可能性もあるだろう。いやっ、神月さんがいる限り死ぬことはないが、寸前まで行く可能性は十分にある。その事を、進もあかりも悟っているようである。そして、神月さんは、「明日の攻略のために美味いものを食べて、早く寝ろ。」と言ったが、実際に夕食は美味しかったのかもしれないが明日のことを考えると美味しいはずの料理の味が全くしなく砂を噛んでいるようだった?あとで、2人に話を聞くと2人とも同じような感覚だったみたいだ。それに、緊張しすぎて寝れなかったのが俺だけではないようであり、2人の目の下にクマが出来ているのを見て少し安心する。


そして、当日、午前8時となる。


「じゃあ、今から始めますね。」


「あの、その前に1つ質問があるんですがいいですか?」


俺は神月さんに質問をする。


「何かな?」


「事前の情報はないんですか?」


「勿論、無しで!」


「「「そんな~!」」」


「ほらっ、つべこべ言ってる暇は無いんじゃないか?時間は有限だぞ!」


俺達は、形振り構わずダンジョンにダンジョンに突っ込むしかない。ダンジョンに突入した俺達はただ我武者羅に次の階層に続く道を探し始める。だか、階層を降りるごとにダンジョンも広くなっている。必然的に捜索範囲も広くなっている。しかも、モンスターも少しずつ強くなるし、面倒な連携までしだす始末である。だが、今はそんなことを言ってる暇はない。とりあえず、進むしかないのである。そして、16時30分。漸く5階層のボス部屋の前に辿り着くことが出来た。


「はぁ、はぁ、はぁ、やっと辿り着いだぞ!ここが最後だ!」


「はぁ、はぁ、それで、玉兎!あと時間はどのくらい残ってるの?」


「あと、30分だ!」


「ならこのまま突っ込むぞ!」


進が提案するが、


「待て進!」


「何だ玉兎!」


「落ち着け!確かにあと時間は30分しかない。けど、逆を言えばまだ、30分もある。とりあえず、まずは息を整える。じゃないと100%の戦闘はできないからな。」


「ちっ、仕方ない。」


「じゃあ、5分休憩でその後に突入するよ。」


「「了解。」」


あかりの提案に玉兎と進も同意する。

そして、3人は5階層のボス部屋に突入する。


そして、俺達は今走っている。理由はもうすぐ神月さんとの約束の時間だからだ。5階層のボスは無事に倒すことが出来たが少し時間がかかってしまった。なので、俺達は今は走っている。漸く先に光が見えて来て、俺達は光の中に飛び込む。すると、


「セーフなの!」


「アウトだぞ!」


「アウトなのです!」


っと、神月さんの従魔達がそれぞれジャッジを下す。2対1でアウトの判定だ。確かに、微妙なタイミングではあった。ここはセーフであって欲しいと思う。地獄の特訓は嫌だ!これには、進もあかりも同意見のようである。当の本人の神月さんは腕組みをして仁王立ちしていた。そして、何も言わないのがとても怖かったが、


「まぁ、今回はセーフでいいかな。」


「「「えっ?」」」


「えっ?ってアウトの方が良かった?」


「「「いいえ、セーフで結構です。」」」


神月さんがにこやかに言う様はとても恐怖があった。


「じゃあ、後は3人で頑張って探索者やって行こうな。」


「じゃあ、神月さんからもう卒業ですか?」


「そうじゃない。後は自分達の好きにやればいいってこと。その為、まだ駆け出しのひよっこって感じかな?」


「「「ひよっこ???」」」


「あとは自分達で強くなる努力をしてみるといいよ。ただし、幾つか言っておくことがある。」


「「「ごくり!」」」


「まずは傲慢にならないこと。人間、力を得ると他者を見下す傾向にあるから気を付けること。それと、逃げることは恥じゃないから敵わないと思えば撤退すること。生きてればいつかリベンジ出来るが、死んだら何にもなら無いからな。ダンジョンからは必ず生きて帰ってくること。」


「「「分かりました。」」」


「あと、武器をプレゼントする。」


「「「プレゼント???」」」


「俺の従魔達がダンジョンに入っているのは知っているよな。」


「「「はい。」」」


「みんなダンジョンにハマっててな。凄く行きたがるんだよ。まぁ、規制はしてるんだけどな。それでアイツ等、要らないものを俺、というかグラムに渡してくるんだよ。みんなアイテムボックスを持ってるけど俺やグラム程大きくないみたいでな放っておくと直ぐに一杯になってダンジョン探索出来なくなるからな。」


「えっ~と、それとこれとどう言った関係があるんですか?」


「つまり、従魔達がくれた物の中に結構いい武器があるんだけど、俺のアイテムボックスの中で眠らせとくのは勿体ないんだよ。武器も誰かに使われた方が幸せだろ?」


「いいんですか?俺達で?」


あかりと進が頷く。


「いいんじゃないか?ただし、武器に見合った使い手になることが最低条件じゃないかな。あとは、もし、道を外す行為をした場合は、俺達の総戦力を持って殲滅させるから覚悟しておいてくれ。」


それを聞いた瞬間、俺のいや俺達の背筋は凍り付いた。何せ、神月さんに襲われたら俺達は一瞬で灰塵と帰すだろう。それをあかりも進もいやという程思いしらされている。


「怖がらせるのもこのくらいにして早速武器を渡そう。まずは進!」


「はいっ!」


「お前にはこれをやる。」


神月さんは、アイテムボックスから黒光りする黒塗りの鞘に入った日本刀を渡す。それは、刀身を見ずとも名刀であることを物語る程、圧倒的な存在感がそこにはあった。


「……えっ?ほっ、本当にこんなものをもらってもいいんですか?」


「持ってる本人が言ってるんだからいいんだよ。その刀の名前は、」


名前 妖刀村正

スキル 不壊 妖化 成長


妖化

敵を斬れば斬るほど切れ味は上がっていく。戦闘が終了時には切れ味は元に戻る。余りの切れ味に使用者を傷付けてしまうかも……。


っと、言う情報を教えてやると進は、


「上等だ?俺が手懐けてみせます。」


っと、意気揚々だった。次はどうやらあかりである。神月さんは再びアイテムボックスから2本の小太刀位の刀を取り出す。


「あのっ、この2本は?」


「この2本の刀は、個として成り立っている刀だ。だが、今回はあかりの双剣として使ってもらえればと思う。それに、あかりだと長すぎると重いだろうからこの位の長さの物が丁度いいと思ったんだよ!」


「ありがとうございます。……でも、既に個として成り立っているんですよね?」


「そうだな。でも、あかりなら出来ると思うぞ!」


「分かりました。自信はないけどやってみたいと思います。それで、この2本の名前は紅蓮と吹雪だ。」


「紅蓮と吹雪!」


そして、神月さんはあかりに能力の説明を行う。


名前 紅蓮

スキル 炎生成 炎纏 成長


名前 吹雪

スキル 氷生成 氷纏 成長


成長

使い手と共に成長していく。   


っと、どうやらあかりは大喜びをしている。あれなら俺でも大喜びをしている。最後はどうやら俺の番である。再び神月さんはアイテムボックスから武器を取り出す。俺に手渡されたのはちょっと装飾がされている何ともない棍である。


「何だ?玉兎のだけみすぼらしいな!」


っと、進がからかってくる。すると、神月さんが、


「そんなことはないぞ。多分、3人の中じゃあ1番レアな武器だし、強い事は保証する。」


「これがですか?」


俺も半信半疑である。


「わかった。じゃあ、それを貸してもらえるかな?」


俺はその言葉に素直に従い、自分の持っていた棍を手渡す。すると、神月さんは「伸びろ」っと声をだすと手に持っていた棍が一瞬で倍以上に伸びた。俺は自分の目を疑った。


「そういえば、この棍の名前を言ってなかったな。これは、如意棒だ。」


「「「如意棒!!!」」」


「そう、如意棒!」


「それって、西遊記に出てくる孫悟空が持っている武器の名前ですよね?」


「まぁ、そうだな。あまりにも有名すぎる話だがな。だけど、それと同等の物なのかはわからないかな?あれは物語の中に登場するものだからな。」


「それは、そうですけど、こんなものを頂いていいんですか?」


「いいのいいの!どうせ俺が持ってたってアイテムボックスの肥やしになるだけだし誰かに使ってもらった方がいいしな。だけど、誰にでもやっている訳じゃないからね。ある程度信用が置けないと危なすぎる武器が多いからな。玉兎の事は信用している。あかりと進はまだよくわからないが、悪い奴ではないことは理解できるし、玉兎が信用しているから武器を渡すことにしたんだよね。」


「これから、この刀に誓って頑張っていきたいと思います。」


「私もだよ!」


「神月さん。本当にありがとうございました。」


3人が俺に向かって一斉に頭を下げる。


「そんなことしなくていいから、早く帰るぞ!」


「「「はいっ!」」」


そして、俺達はダンジョンを出て、天上院家にて盛大な打ち上げをするのである。その際、俺達は神月さんのアイテムボックスが羨ましいと思い言い続けたら神月さんは仕方なくマジックバック中をくれた。それには、俺もあかりも進も大喜びしていた。

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