118.同窓会10
さて、これにてスタンピードは終わった。だが、
「念のためモンスターが出てこないか警戒する必要があります。」
っと、御手洗さんが御堂さんに進言する。御堂さんも、了承する。ここは、自衛隊の人達に任せようと思う。なので、俺が帰ろうとすると、
「あっ、神月さん達は居てくださいね。何かあった時に我々だけでは対処が難しい場合がありますので。っと、言ってもここで朝までと言うのは今回の功労者に対して一晩中見張れとは流石に言えませんよ。当然、それなりの場所を用意させて頂いてます。」
「そうなんだ。それで、その場所は!」
「下関グランドホテルと言うところの、最上階のVIPルームを用意していますよ。」
「ぶっ~!まっ、マジですか?」
俺は、御堂さんがそう言うので、ついつい虚を付かれて吹いてしまった。当然、同級生も同じような感じだが、朔夜達は当然と言う風に言っている。この辺りが、超お金持ちとの違いである。
「それで、広さはどのくらいあるんですか?」
「確か、ワンフロアを使用してると言うことなので、結構広いと思いますよ。」
「ワンフロアって?あの?」
「どのかは存じませんが、1つの階丸ごとと言うことですね。」
「まっ、マジですか。(やっぱり、国のやることは凄いな!)」
と、最後は誰にも聞こえないように小声で言う。
「さぁ、早く行くっすよ!」
「そうですね!」
「儂も疲れたぞ!」
どうやら3人も来るようだ。まぁ、当然と言えば当然だな。
「まっ、ここにいても致し方ないし、行くか。それと、お前らと君たちもな。どうせなら同窓会続き…っと言うか、打ち上げやるから付き合え。」
「おい、神月。打ち上げするのはいいけど、食べ物と飲み物とかどうするんだよ?」
高森が質問してくる。
「食べ物は俺が用意する。ちょうど今大量に仕入れることが出来たしな!」
「お前っ、まさかさっきのモンスターの肉を食べるんじゃないだろうな?」
「そうだけど?」
俺がそう答えると、全員の顔が引きっているように見える。俺は大きく「はぁ~!」とため息を吐き、
「お前らな、食べたこと無いからそんなこと言えるんだぞ!オークでさえ普通の豚肉よりも美味いんだぞ!それに、特に女子には魅力的な効果が目白押しなんだけどな!」
その言葉を聞いた瞬間、同級生の女の子に囲まれる。
「サイくん!今言ってたのはどう言うことかな?」
同級生の女の子の1人の二上あやが迫ってくる。実際には殆どの女子が迫って来ていた。
「えっとだな。まず、ダンジョン産の食べ物は美味い。それに、いくら食べても太らない。」
「「「「「「太らないっ!!!!???」」」」」
「サイくん、それだけじゃないよね?」
「そうだな。どうやら、肌が綺麗になって若返るらしいぞ!」
「「「「「「「「若返る!!!???」」」」」」」」
女子全員がハモる。
「そうだな。家の母親とかいつの間にか肌がピチピチになってて、他の人から何してるの?って聞かれたりしてるらしいし、じいさんの嫁さんなんや朔夜のお母さんなんかもう虜だもんな!」
「そんなになの?」
「そうだな。それに、今回はブラックオークの肉を食べるから効果はもっと凄いんじゃないな?あっ、でも、もう夜も遅いから物を食べるのには向いてないし、そろそろ解散の時間だしな。」
「「「「「「「そんなの関係ない!」」」」」」」
同級生の女子全員から参加する旨をもらった、あとは、男性人である。因みに同級生全員の人数は、本来なら男が俺を含み18人、女子は28人と女子の方が多い年代であった。それで、どうやら女子は全員が参加予定のようである。
「わかった。女子は、全員が参加で良いんだな?」
「「「「「「いいです!!!」」」」」」
見事なハモりである。
「じゃあ、男連中はどうするんだ?」
っと、俺が聞くと参加と不参加で別れていたが、現状では帰る手段が無いことが分かり全員が参加することとなる。そして、朔夜と遙の友達も一緒に参加することとなる。そして、皆で移動をする。そうそう、俺はあまり酒を飲まないからアイテムボックスには入っていないことを玄羅に話すと、酒は、自分が用意すると言い出したので任せることにした。全員で言われたホテルに移動する。どうやら話は通っているようで直ぐに案内された。っと言うか、ホテルの従業員は、逃げなかったのだろうか?それに、普通に仕事をしているのを見ると不思議に思えてくる。まぁ、その辺は置いておくとして、ホテルに焼き肉用のホットプレートを貸して貰うように交渉するとすんなり通った。合計で10台の貸し出しをしてくれた。俺達を除くと同級生が40人プラス玄羅、朔夜、遙、愛理、霞の45人である。まず、玄羅達にホットプレートを1台、そして、同級生達で残りの9台となるから1つに対し5人から6人程度になる。俺はと言うとちょっとだけ贅沢をしようと思う。まぁ、それは後で話すとして、一応、キッチンも用意してあるので、仕込みをしようと思う。だが、40何人分を1人でするのは面倒なので、女子達に声をかける。
「何人か手伝ってくれないか?」
すると、10名位の女子が手伝いに来てくれた。あまり多すぎても困るのでちょうど良い人数ではないだろうか。まず、オーク肉を焼きやすい大きさにカットして貰い、次にブラックオークの肉をオークの肉と食べ比べる意味として区別して皿に盛ってもらう。そして、俺のアイテムボックスにある野菜類を取り出し、焼き肉用の野菜や、簡単なサラダを作ってくれた。何だかんだで30分もあれば全ての準備は整った。それと、その間に、酒が届いた。何処から届いたのかと言うと空からである。どうやら、玄羅は酒をヘリで持ってこさせたようである。しかも、ビール、酎ハイから焼酎、日本酒、ワイン、ウイスキー等様々な種類の酒を用意したようであり、中には高級品や超高級品も含まれていたらしい。俺は、酒には詳しくないので良くは分からないが、酒に詳しい奴から飲んでも良いのかと聞かれ、玄羅に確認すると「楽しめ!」っと言うことなので許可をだすと皆、死ぬほど飲んでやると息巻いていた。
そして、宴会を始めるに当たって乾杯が必要だと思うが、俺は前に出ることがあまり好きではない。なので、ここは慣れているであろう玄羅に譲ることにする。玄羅の話は長くもなく直ぐに宴会は開始された。そして、皆、肉を焼き始め食べ始める。どうやら美味しいらしい。脂はとても乗っており、とても食べやすい肉であるらしい。ブラックオークの肉の美味しさはその上をいっているようで美味しくて絶句しているのが何人かいた。俺はと言うと、部屋の中には居なかった。何処にいたのかと言うと、バルコニーに居た。その理由は、直火を使うからである。やはり、肉を美味しく焼くには炭火が一番だと思う。なので、七輪を用意して、炭火で肉を焼いていた。肉だけではなく、御飯も用意してグラム達と食べている。やはり、肉には御飯が一番合うと思う。皆、各々楽しんでいる。肉に満足した連中にはポテトチップスやチョコレート等の駄菓子を出してやり、酒の当てにする。そして、結局、明け方近くまで盛り上がっていた。勿論、未成年者は早々に休むように言ったが、結局、夜遅くまでお喋りをしていたようである。
翌日、全員帰ることが出来なかったので、結局泊まることになった。そして、女子達はと言うと悲鳴を上げていた。その理由と言うのが、肌が瑞々しくなっており弾力も前日とは比べ物にならないくらいだそうだ。そして、当然のごとく女子達は俺にダンジョン産の食べ物を要求してきたが、ここは心を鬼にして、断る。すると、女子達は、今現在交流があり近く、っと言っても近隣の県に住んでいる人、元々仲の良かったグループ等に別れて話をしている。その内容が、ヤバかった。内容の一部としては、「絶対にダンジョンの食材は必要よ。」「あれが無かったら生きていけない。」等、ダンジョン産の食べ物が自分達にとって必要だとは認識しているまでは良かったが、入手手段に話が行くと、「でも、ダンジョン産の食材って目が飛び出るほど高いらしいよ!」「庶民の食卓に上るにはまだ、供給が追い付いてないらしいわ。」と、話している。「でも、家はそんなにお金がないわ。」と、口々に話をしている。すると、「お金がないなら稼げばいいんじゃない。」と言い始め、「でも、パートとかバイトでどうにかなる訳じゃないでしょ?」すると、「そこは女の武器を使うのよ!」「「「武器???」」」「そう、風俗よ!」っと、盛り上がっている。それを見ていた男達は俺に、
「なぁ、あれ放っておいていいのか?」
「まぁ、不味いだろうな。あのままだと全員が風俗店に行ってしまいそうだ。」
「そっ、そうだな。」
女子達が、暴走を初めそうだったので俺は女子達の所に行き、手をパンパンと叩く。すると、女子達の視線は俺の方にくる。
「確かに、風俗店に行けばお金は稼げると思うが、みすみす皆を風俗店に取られるのは勿体ないと思うぞ!」
「なら、神月が相手をしてくれるのか?報酬はお金じゃなくて美肌効果のあるもので構わないよ。私達の目的はそれだからね。」
吉川詠美がそう言うと、他の女子達も頷く。
「いやっ、流石にこの人数は無理だし、そういったことをするつもりは初めから無い。」
「何?私達の身体じゃダメだっていうの?これでも、いい身体してると思うんだけどな。」
亀井信子がそう言う。
「そう言う意味じゃない。確かに魅力的ではあるが、同級生とそう言う関係になるのは如何なものかと思うぞ。恋愛に発展したらそう言う行為もアリだとは思うがな。」
「それで、神月は結局は何が言いたいんだ?」
安宮美奈子が質問する。
「本題だな。皆が風俗に行こうなんて言うから止めに来た。」
「「「「「それだけ?」」」」」
「いやっ、代案を用意してみた。」
「「「「「「「代案??」」」」」」」
「そう。まず、最初に言っておくけど、これからオークの肉や野菜なんかは探索者が増えていけば、供給量が増えてくるだろう。それに、合わせて価格も下がってくると思う。だが、今回のようなブラックオークの肉なんかは入手は困難だと思う。だからここで1つ提案がある。探索者にならないか?」
「「「「「「「探索者???」」」」」」」
「そうだ。そうすれば、自分の分は確保できで、しかも手元にお金と入ってくる。それに、ダンジョンはまだ、未知なものだ。もしかしたら、若返りの薬なんて物もあるかも知らないぞ。そうなると、一石二鳥どころか三鳥以上になるかもしれない。」
「確かに、魅力的な誘いではあるけど、実際問題どうするんだ?もし、全員が探索者の資格を取ったとしても、全員を神月が面倒見るのは不可能だと思う。それぞれに、仕事の都合や家庭を持っている人など様々だ。今回みたいに皆が会うのは不可能だと思う。」
常に冷静沈着な川上霧子が質問してくる。
「確かに川島の言うことには一理あるな。それに、日本全国にそれぞれ居るわけだ。俺も暇じゃないから全国津々浦々廻るのは難しい。そこで、全員、俺が指定した都道府県に引っ越すってのはどうだ?」
「いや~、それなはね。」「旦那の仕事もあるし。」「わかる。それに、子供も居るしね!」っと、口々に言っている。
「勿論。ただでとは言わない。1人につき1億円用意する。」
こう言うと全員が俺の方をガン見する。勿論、これは女子にだけではなく男達も含まれている。
「神月!それは本当なのか?それと、俺達はどうなんだ?」
高森が聞いてくる。
「はぁ~。この際、希望者全員面倒見てやる。それと、1億円の返済はしなくていい。因みに1億円は好きに使ってくれて構わない。破格の条件だと思うけどどうだ?」
「その前に1つ聞かせてくれ。何処の都道府県なんだ?それと、お前の目的は何だ?」
「まぁ~ここは妥当なところは東京都だと思ってるけど、他に意見のあるやつはいるか?目的は、特になし。強いて上げるなら同級生の女の子が全員揃って風俗に行くなんて言うから、止めたかっただけ。まぁ、風俗に行くなら行くで利用してみたい気持ちはあったけどな。」
誰も返事をしない。が、後半の部分は男どもは頷いている奴らが何人か居たけどね。
「じゃあ、沈黙は肯定と見なすぞ。とりあえず、今は5月で今月の試験には間に合わないだろうから6月の試験の合格を目指してくれればいい。」