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111.同窓会3

5月2日。午前10時。ここは、東京駅である。そして、朔夜と遙、愛理、霞は東京駅で待ち合わせをしていた。


「分かっていたことですけど、流石にこれは…………。」


「仕方ないっす!」


「そうですね。」


「そうだな。」


4人は人の多さに唖然としていた。普段から人の多い東京駅ではあるが、今は更に人が多い。何故なら今はゴールデンウィークだからである。東京から田舎に帰る人もいれば、休みだから東京に旅行や観光に来た人も沢山いる。それに、東京駅は観光名所みたいになっているので余計に人が多い。


「これから、新幹線に乗るんすよね?」


ここ(東京駅)に居ると言うことはそう言うことです。」


「仕方ないね。」


「そうだな。」


そうして4人は満員の新幹線に乗り込み俺が同窓会をする下関まで来るのであった。



「はぁ~、やっーと着いたっす!」


東京駅を出発してから数時間後4人は下関駅に到着していた。


「そうだね。それで、これからどうする?少し見て回る?」


「愛理、荷物があるから先にホテルにチェックインしよう。それに、疲れたしな!」


「賛成っす!」


「私も!」


霞の提案に遙と朔夜が同意する。時間は15時を回っていた。ホテルのチェックインは、15時からなので時間的には丁度いい。そうして4人はホテルにチェックインするのだが、


「ちょっと待ってくれ!」


「霞、どうしたんすか?」


「ここのホテルって結構高いんじゃないのか?」


「普通ですね。」


「これで、普通って……………………。そう言えば、聞いてなかったけど部屋ってどうなってるんだ?」


「一応このホテルの一番良い部屋が余っていたのでそこを予約しましたけど!どうかしましたか?」


「いやっ、えっと、それって朔夜の親御さんが払ったってことなのか?」


「いえ、両親は一切関係ありませんよ。勿論、祖父母もですけど。」


「つまりは、このホテルの一番良い部屋を朔夜と遙がお金を出してくれたってことなのか?」


「そういうことっす!まぁ、この位大したことないっすけどね!」


「いやいや、大したことあるだろ!!なぁ、愛理!」


「そうだね。私、凄くビックリしてるよ。ねぇ、私達もお金払った方がいいのかな?」


「それには及びませんよ。私と遙が旅費は出すと始めにいったのですから心配しなくてもいいですよ。」


「そうっす!それだけダンジョンは儲儲かるっす!但し、普通の探索者じゃまだあんまり稼げてないと思うっす。」


「それじゃあ何で朔夜と遙は沢山稼げてるんだ?」


「そこは、言えないっす!探索者は自分の手の内を明かさないのが常識っす。」


「そう言うものなのか?」


「そう言うもんっす!」


「遙の言う通りそう言うものです!」


「そうか。じゃあ、深く詮索はしない。ただ、今回の件だけは礼を言わせて貰う。ありがとう。」


それから4人は部屋に行き荷物を置き満員の新幹線で疲れたので一休みする。

そして、時間は18時を過ぎた頃、夕食を食べようと思い4人は部屋を出る。


「ところで夕食は何を食べるっすか?」


遙が夕食について質問する。


「私は、折角来たんだからご当地のものが食べたいかな?」


「愛理の意見に賛成だ。」


「私もそれでいいっす!」


愛理の意見に遙と霞が同意する。


「そうですね。下関で有名と言えばやはり河豚ですけど、それで良いですか?」


「河豚っすか?いいっすね!」


「私も河豚がいい!」


「私も賛成だ!」


「全員一致ですね。では、行きましょうか?」


「んっ?でも、今はゴールデンウィークっすよ!空いてる店はあるんすか?」


「大丈夫ですよ。昨日の内に連絡しておきましたから。」


「おおっ、流石朔夜っす。」


「それほどでもありません。では、行きましょうか!」


4人は夕食を食べるために店に向かおうとすが、


「…………朔夜、何かおかしくないですか?」


「そうですね。何か空気が変ですね!」


朔夜と遙は立ち止まり周囲の空気がおかしいと思い観察をする。すると、ドーーーーンという音が響き渡り地面に穴が空きそこからオークが大量に湧き出してきた。


「朔夜、あれはオークっす!」


「どうして…………まさかっ?」


「恐らく東京駅の時と一緒っす!それでどうするっすか?」


「あの数を一気に相手をする事は無理です。それにこちらには愛理と遙がいます。なので、まずは師匠と合流するのが無難だと思います。師匠が明日、ダンジョンに行く気ならグラムさん達もつれてきているはずですから!」


「了解っす!」


「ただ、私達に襲い来るオークは倒していきます。それでいいですか?」


「わかったっす!…………ほら、2人とも行くっすよ!」


呆けている愛理と霞に活を入れ、正気に戻す。そして、朔夜と遙は自分の武器を装備し、俺が同窓会をしているホテルに向けて走り出す。俺の居るホテルまでは徒歩で5分位の位置にあり、オークが出現した位置とは正反対の位置にあるので戦闘をすることなく俺のホテルにたどり着くことが出来た。その間に朔夜は玄羅に連絡を入れた。こういう時に呼ばないと後で何を言われるか分からないからである。そして、ホテルにたどり着くことが出来たが、同時にオークもホテルに突っ込んできた。そして、朔夜と遙が対応している間に俺が居る宴会場にオークが突っ込んで来たのである。



そして、時は現在に戻る。


「何で2人がここに居るんだ?」


「師匠の企みは分かってるっす!」


「「「「「「「「師匠?????」」」」」」」」


とりあえず、周りの事は今は無視しようと思う。


「企み?」


「それは今はいいっす!それよりも街にオークが一杯出てきてるっす!」


「やっぱりそうか。街の方にもどうにかしないといけないな。」


「師匠でも無理ですか?」


「うーん?」


俺は少し考える。…………考えた結果これしかないという結論に至った。まずは、グラム達従魔に出てきて貰う。


「それで、どうするっすか?」


「まず、スノウと哮天犬。」


「なんだぞ!」


「わん!」


「ます、2人にはダンジョンから溢れたモンスターを倒してきてもらう。」


「おう!任せろだぞ!」


「わん!」


「あと、倒したモンスターのドロップ品はきちんと回収を頼むが、この役はグラムに頼む。分裂してスノウと哮天犬にそれぞれ付いてくれ。それと、グラムに聞きたいんだが、ポーションの在庫ってどのくらいある?」


「分からないけど沢山あるの!」


「じゃあ、支障がない程度に分裂してポーションを配る係を作ってくれ。それで、負傷した人にポーションを配ってくれ。」


「わかったの!じゃあ、素材回収の2体の他に5体位に分かれるの!」


グラムが了解してくれたが、ここで遙が、


「師匠!グラムさんに配って貰うのはいいんすけど、グラムさんも一応モンスターっす!普通の人からしたら得体の知れないモンスターから貰ったものを使おうとは思わないっす!」


「確かにそうですね。」


朔夜もこの意見には同意する。


「そうか。…………そうだな!じゃあ、グラム。問答無用でポーションを掛けてやれ!」


「了解なの!」


「ちょっと強引じゃないっすか?」


遙を始め全員が少し引いている。


「この状況じゃ仕方ないだろ!」


「…………そうっすね!」


「じゃあ、街のモンスターを全滅させてこい!全滅させたらその後のお楽しみが残っているから俺達が居るところまで来い!…………来れるよな?」


「勿論だぞ!ご主人の匂いを辿って直ぐに行くぞ!」


「わん!」


スノウと哮天犬は、そう言うとグラムの分裂体を乗せてモンスターを倒すため出ていってしまった。



「それで、師匠。これからどうしますか?」


「やることは1つだろ!ダンジョンに行ってモンスターを倒す!これだけじゃないか?」


「そうですね。」


「それで、朔夜と遙はどうするんだ?」


「勿論、師匠に付いていきます。」


「私も朔夜と同じっす!」


2人ともヤル気満々である。


「ですが、1つだけ気がかりがあるっす!」


「何だ?…………ああっ、一緒に来た子たちの事か?」


俺は、朔夜と遙が視線を愛理と霞の方に向けたので、朔夜と遙は2人の事が心配なのだと直ぐにわかった。


「そうっす。私達も行きたいんすけど2人を放置することも出来ないっす!」


「私と愛理の事なら心配しなくても大丈夫だ。なぁ、愛理!」


「うん!私達は私達で何とかするよ!」


「いえ、そう言うわけにもいきません。」


4人はお互いを気遣っているようだが、簡単な解決方法がある。


「その辺は心配しなくても大丈夫だ。」


「えっ?そうなんですか?」


「ああ。いくら俺でも彼処に居る同級生達を放ったらかしにして行くのは気が引けるからな。だから、置いていけないんなら連れていけばいいんだよ。グラムが丁度いいスキルを持ってるんだよ。」


俺が、そう言うとグラムは俺の頭の上に移動し、胸を張る。だが、グラムはスライムなので何処が胸なのかよく分からない。


「グラムさん凄いっす!」


「本当ですね。愛理と霞をよろしくお願いしますね。」


「よろしくね。グラムちゃん!」


「よろしくお願いする。」


朔夜と遙、愛理はグラムを撫でる。撫でられたグラムは万皿でもなさそうである。


「じゃあ、出発する。」


「ちょっと待って欲しいのです!」


「うん?どうした、ウル。」


「3人には役割があってウルには1つも役割が無いのです!」


そう言うとウルは寂しそうにしている。


「なんだぁ?自分だけ役割が無いのを拗ねてるのか?」


「そっ、そんなんじゃないのです!ただ、皆ご主人に頼みごとされてウルには何もないのです!」


「ウルにも大切な役目はあるぞ!」


「本当なのです?」


「勿論。此れから俺達はダンジョンのあるところまで行く。だけど、そこに行くにはダンジョンから溢れだしているモンスターが絶対に襲いかかってくる。ウルにはそのモンスターを倒して貰いたいんだけど、大丈夫か?」


「勿論なのです!ウルは、やるのです!」


俺が、ウルに役目を与えるとウルはとても嬉しそうにしている。


「あっ、でも朔夜と遙にも少し分けてやれよ!」


「了解なのです。でも、ご主人達はいいのです?」


「グラムには別の事を頼むよ。それに、モンスターは前からだけじゃないだろうから後ろから来たモンスターを誰かが処理しないといけないだろ?」


「なる程なのです。」


「それと、師匠!1ついい忘れましたけど、この事は一応お爺様にも一報を入れておきました。」


「…………確かにな。教えとかないと後が怖そうだからな!」


「そうですね。」


「それで、何て言ってた?」


「それは…………、「今すぐに行くから残しておけ!」だ、そうです。」


「まぁ、そうなるよな。」


「はい。すみません。」


「いいって、気にしなくても大丈夫だ。」


朔夜から玄羅がこちらに向かって来ていることを聞き、俺達はダンジョンがある所まで移動を開始する。なので、まず、グラムに同級生達に結界を作り、白川を先頭に立たせる。


「なぁ、神月。何で俺は先頭を歩いてるんだ?」


白川が俺に質問してくる。


「何言ってるんだ?簡単じゃないか!ここのダンジョンの場所を知ってるのがお前だけだからだよ。それに、白川も探索者の端くれだろ。少しは度胸見せろ。」


移動中も前方からはオークが何体も襲ってくる。その都度、ウルと朔夜、遙により撃退されている。それに対して白川の顔色は冴えない。自分よりも強いモンスターが迫ってくるのだ。そりゃあ怖いに決まっている。


「じゃあ、俺は後ろの方に行くからな。」


俺は、3人に断りを入れて後ろの方に下がる。理由としては、グラムが同級生達に結界を張ってくれたといっても結界をオークに殴られるなんて精神的に宜しくない。なので、俺が下がって接近してくるモンスターを倒そうと思い下がってきたのだが、どうやら哮天犬やスノウがこちらに来る前に撃退してくれている気配がする。なので、俺はただ最後尾を歩くだけで暇になってしまった。

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