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104.異常事態

「ところで、そのダンジョンで得たドロップ品は買い取りには出せないだろ?」


と、総理は言ってくる。


「そうですね。在庫は貯まる一方なんですよ。」


それを聞いていた御堂さんが、


「それでは、自分のところに持って来られたら買い取りさせてもらいますよ。ドロップ品に興味がありますし!」


と、目を輝かせている。


「本当ですか!ありがとうございます。」


「いえいえ、こちらも利益が出ることなので大丈夫ですよ。」


そして、総理が手を叩いて


「さて、ここら辺りで御開にしようと思うが、2人は何か言いたいことはあるか?」


総理は、御堂さんと三枝さんの2人を見て話す。


「私の方は特にありません。」


「自分の方からもないですね。」


「そうか。神月さんの方からは、他に何かありますか?」


「そうですね。取り敢えずグラム達を返してもらえます?」


そうなのだ。グラムは総理の膝の上、スノウは御堂さんの横、ウルは三枝さんの膝の上におり、それぞれ気持ち良さそうに撫でている。なので、グラム達を返してもるらう。3人は、名残惜しそうにグラム達を見つめる。そして、グラム達は指輪に入る。


「それで、神月。何か言っときたいことはあるのか?」


玄羅が、聞いてくる。


「そうですね。自分からも特には無いですけど、連絡の方法位ですかね。」


「そうだな。それは、御堂の方から連絡してもらおうと思う。御堂はダンジョン庁の長官で、君は一応探索者のわけだから所属が同じと言うことでな。それで、連絡方法だが携帯の方に連絡を入れると言う形でいいかな?」


「わかりました。では、これが俺の電話番号です。」


俺は、その場で紙に自分の携帯番号を書いて手渡す。


「確かに受け取りました。では、こちらを!」


御堂さんが1枚の名刺を渡してくれる。


「そこに、電話番号が書いてあるので携帯に登録をお願いしますね。一応、自分の所に直通でかかるようになってます。大体、仕事の時はここに居ますので何かあれば連絡をしてください。それと、名刺の裏に自分の個人の番号を書いておきました。もし、名刺の番号にかけて出ない時や何かしらの緊急時には携帯へお願いしますね。」


「わかりました。では、今からダンジョンに行こうと思うので帰りますね。」


「そうか。では、何かあれば言ってきてくれ。最大限善処する。」


「はい。では、失礼します。じゃあ、爺さん行こうか?」


「ああ、行こうか。じゃあ、本堂、またな。」


「ああ。またな。」


そう言い俺達は総理官邸を後にする。



俺達が去った総理官邸の3人は椅子の背凭れに凭れかかっていた。


「御堂、神月さんへの対応は任せる。」


本堂は御堂にそう言う。御堂は、


「わかりました。…………それで、神月さんに鍛えてもらう人の人選はどうしましょうか?」


「そうだな。探索者、自衛隊員からそれぞれ4人ずつ人選してくれ。但し、レベルを上げるだけ上げて他国に行かれたんじゃあ元も子も無いからな。性格、人格、ありとあらゆる物を調べて安全だと思う者を人選してくれ。」


「「わかりました。」」


「だが、1つだけ気になることがある。」


「何でしょう?」


「神月さんは、ダンジョンに4ヶ月間潜っていると言っていたが、果たして、それだけであんなに強くなれるものなのか?神月さんの隣に居た白い犬は神月さんのステータスに反映されていると言ったが、同じ事を神月さんも出きる。いや、恐らくそれ以上の事が出来ると思う。何故なら、部屋を壊さない程度で頼んだからな。そこを考慮してくれてたら、もっと威力が出たはずだ。」


「恐らく、まだ、私達に言っていないことが有るんでしょうね。自衛隊員の中にはダンジョンが出現してからダンジョンを攻略している者達が居るけどあんな真似は出来ないと思うわ。」


三枝さんは、自衛隊員の実力がある人達の模擬戦を見たことが有るが、姿が見えなくなる程ではなかった。


「取り敢えずは、有効な関係を築けていけそうだな。あんな力があるものが自己陶酔や破壊衝動等がなくて幸いだな。」


総理はため息をつきながら話す。


「「そうですね。」」


2人もそこには同意見であった。そして、各々仕事に戻っていくのであった。



俺達は、首相官邸を後にして、車に揺られているとプルルルルっと携帯が鳴る。携帯の画面を見るとどうやら玉兎さんのようである。俺は、携帯に出る。


「もしもし。」


【はぁはぁ、しっ神月さんですか?】


「そうですけど、どうしました?」


【たっ、大変です!助けてください!椿さんと芽衣ちゃんが!】


「ちょ、まずは、落ち着きましょう。深呼吸して!」


【すーはーすーはー!】


玉兎さんは言われたとおりに深呼吸をする。


「落ち着きました?」


【はい。】


「それで、何があったんですか?」


【実は、俺は、椿さんと芽衣ちゃんを家まで送っていったんですが、椿さんの家に男達が待ち伏せていまして、椿さんと芽衣ちゃんを連れていってしまったんですよ!】


その電話を横で聞き耳を立てていた玄羅が、


「それで、その時玉兎はどうしていたんだ?」


【じっ、爺さん!そっ、それは、その~…………。】


「どうせ歯が立たずに男どもにやられたんだろ?」


「爺さん。それは仕方ないって!多勢に無勢ならしょうがないよ。」


「むっ!だが、守りきれなかったのは事実だろ?」


玉兎さんの胸にグサッと何かが刺さったような音が聞こえたような気がした。


「まぁ、今はそんなこと言っても仕方ないだろ!今から玉兎さんが強くなれば問題はないだろ?それよりも、拐って行った奴等が誰なのかってことだ!」


「うむ。そうだな。玉兎、男どもに特徴は無かったのか?」


【特徴?…………はっ、そう言えば全員が柄の悪そうな連中だった!それに、かいどうさんがどうとか言ってた気がする!】


海道と言う名前にピンと来る。


「海道か!あの野郎!!」


沸々と怒りが込み上げてくる。


「神月!知り合いか?」


「いや、まぁ、ちょっとな!」


「話せ!」


【俺も聞きたいです!】


「分かった。その前に、運転手さん!竜光会の本部って言うところに連れていってもらって良いですか?」


俺が、そう言うと、玄羅の方に視線をやる。そして、玄羅が頷くと


「わかりました。」


と、了承してくれる。


「場所は分かります?」


「大丈夫ですよ。一応あそこは有名ですからね、悪い意味で!それに、我々の業界ではそう言う場所はブラックリストに入っていますから把握しています。」


どうやら、ネットで検索しなくてもいいようである。俺は、検索する気満々だったのに、


【それて、神月さん!さっきの続きをお願いします!】


「あっ、ああ、わかりました。…………実は、昨日、宗吾さんに連れ去れてお酒を飲みに行ったことは知っていると思います。そこで、芽衣ちゃんと椿さんに会ったことも!」


「ああ、聞いたな!」


【聞きましたね。】


「その時に、俺に突っ掛けて来たのが、海道と言う男だったんですよ。その男は、自分が竜光会の若頭であることを威張り散らしていて、しかも、椿さんに言い寄っていましたね。しかも、芽衣ちゃんの目を治す代わりに自分の女になれと言っていました!」


「最低だな!」


【そんな、最悪な奴に椿さんは…………!】


「取り敢えずは、竜光会の本部に急ぎましょう。椿さんと芽衣ちゃんの無事を祈って!」


「そうだな。今は、それしかないか!」


【ぐっ!…………じゃあ、俺は、先に行って待ってます!】


「玉兎!呉々も先走るんじゃないぞ!儂らが着くまで待っておれよ!」


【…………分かってる!】


そう言うと玉兎さんは電話を切る。


「大人しく待っていると思います?」


「思わん!」


「ですよね。」


俺は、玉兎さんが待っていてくれることを祈って、車に揺られること20分。漸く、竜光会の本部に到着する。そこは、3階建てのビルであり、案の定そこには玉兎さんは居なかった。


「やっぱりいないか!」


俺が、そう言うと、


「後先考えんの~!」


と、悠長なことを言っている。


「じゃあ、さっさと行きますよ。」


「わかっておる。」


「その前に、クラム出てきてくれるか?」


俺が、グラムを呼ぶとクラムが指輪から飛び出してくる。


「は~いなの!どうしたの?」


「ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいか?」


「勿論なの!」


「じゃあ、俺達にこの前覚えた結界を張ってくれないか?」


「了解なの!それに、結界(これ)で遊んでたらレベルが3になったの!」


「へぇ~スゴいな!それと、もし、結界が壊れた場合はその都度張ってもらえると助かる!」


「わかったの!それで、ご主人。グラムは何処にいたらいいの?」


「そうだな。哮天犬の所に居てもらえるか?」


「了解なの!」


グラムは、哮天犬の背中に飛び乗る。


「神月!これは何だ?」


「これは、この前、手に入れたスキルの書で結界って言うスキルだ!」


「「結界?」」


「要は相手からの干渉を防いでくれるものだと考えて貰えればいいと思うぞ!」


「そっ、そうか。」


「爺さんはあんまり分かってなさそうだけど、先を急ぐぞ!」


「うっ、うむ!」


「早く行きましょう!」


そして、俺達は、ビルの中を散策する。っと言っても、こういう場合、一番偉い奴は最上階に居るっていうのがお決まりなので、まずは、エレベーターで3階に行ってみることにする。3階に到着すると、そこは大きなフロアになっており、そこには何人かの男達が居た。見た感じ、スーツに身を包んだ人が数人おりソファーにどっしりと座っている。後は、座っているスーツの男達よりは品質が劣るであろうスーツを着ているのが3倍位居り、その他は、明らかにチンピラ風の男達が2~30人居た。エレベーターが開くと、全員の目が俺達に集中する。全員の目付きは鋭いが俺達と玄羅はなんて事はない。ただ、玉兎さんだけが萎縮していた。すると、


「お前ら、ここが何処か分かって来ているのか?間違いだったら今の内に引き返しな!」


っと、随分と優しいと思ってしまう。そう言えば、こういう人達は、幹部とか上の人になる程、紳士的だと聞いたことがある。これは、一種の都市伝説なのかと思っていたら、本当だったようである。


「いや、間違いじゃない。ここに、若頭やってる海道って言う奴に会いに来たんだけどいます?」


「海道?知らんなそんな奴!」


「いやいや、惚けて貰っちゃ困るんだよ!早く出してくれます!」


「そんな簡単に出せるわけないだろ!お前らやれ!」


どうやら力任せに来るらしい。下っぱどもが俺達に襲いかかってくる。


「しっ、神月さん。大丈夫なんですか?」


俺が、大丈夫と答えようとすると、


「大丈夫なの!あの程度の奴等には破れないの!」


っと、グラムは自信満々である。そして、グラムの言うとおり、下っぱどもが俺達に殴りかかってくるが寸前で壁のようなものに当たりダメージを受けている。


「言っておくが、これは、正当防衛だ!俺達は、一切手を出してない。自分の攻撃でダメージを受けているだけだからな。」


少し品質が劣るスーツを着ている男が、


「何が正当防衛だ。お前ら構わねぇから武器使え!」


そう言うと、チンピラどもはナイフやドス、日本刀等を取り出してきた。そして、そのまま斬りかかっては来るが、グラムの結界に阻まれて、折れたり、結界に当たった衝撃で手を痛めたもの達がそこには居た。


「ちっ、仕方ねぇな!」


誰かが、そう言うと残った奴等が懐に手を入れ拳銃を取り出してきた。拳銃を向けられるのは初めての体験で、緊張はするが、そこまで恐怖は感じない。少しの睨み相いが続くと、奥の扉が開かれる。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 玉兎さんは居なかった。と言ってた筈なのに3階に上がったら下から居た感じの文になっているのですが
[気になる点] ごてごてな展開がそろそろ鼻についてきた。 そろそろ主人公の起点の良さとか使い魔とか 有用な使い方をした展開を期待したい。 三文芝居続けるだけでは飽きてくるよ。 ただの俺TUEEEなだ…
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