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2021年8月31日

ここは日本の首都、東京。


時刻は17時30分。


帰宅ラッシュの人々の波に埋もれながら、街を歩く僕。


毎日定時で帰れる会社には有難いと思いつつも、お財布の中身を考えて、ため息を一つ。


(今日もお酒はなしにしておこう)


至って能のない平凡な僕が、何とか採用された企業は中堅企業の事務職。


仕事はさほど難しくはない。


…というよりは、10年近く勤めたゆえ慣れた、というべきか。


人間関係は概ね良好。


周りは家庭を持っているパートの女性社員が多いからか、煩わしい付き合いも殆どない。


同じ事務職として働く社員も、殆どが年下なので僕さえ気をつけていれば、そうそう居心地は悪くならないだろう。


…給料は、この歳にしてはやっぱり安いのだろうか?


あまりにも世間は給料の額に幅があり過ぎて、適正額が分からない。


まあ、独身の男が普通に暮らす分には事足りる。


あくまでも僕基準の普通だけど。


世の中の普通だったら生活できないかもなぁ。


そんなことを考えながら歩いていると、あっという間にアパートに到着する。


部屋は205号室。


角部屋で、他の部屋より1000円高いリッチな部屋。


毎回、こうして優越感に浸りながらドアの鍵を開ける。


この部屋は働き始めてからずっと借り続けている、僕にとってお気に入りの場所だ。


部屋のモワッとした空気を浴びながら、まずは換気だと玄関から1番奥にある窓を開けに真っ直ぐ歩く。


ガラガラっと小気味よい音がして、生ぬるい風が部屋を駆け巡り、自宅に帰ってきたことを実感させてくれる。


今日も1日、仕事頑張ったなぁ。お腹すいたなぁ。


「さて、今日の夕飯は何を作りますかね」


確かまだ、卵と豆腐があったな。


ゴーヤはないから、茄子を使ってナスチャンプルーにするか。


そんなことを考えながら、後ろを振り向き一歩を踏み出すと何やら重くて温かいものに足が触れた。


(おかしいな、こんな場所に物を置いた記憶はないぞ)


そっ、と下を見ると、そこには手足を投げ出しておすわりをしている赤ちゃんらしき物体がいた。


僕をじっと見つめている。


(なんだこれは。…人形にしてはリアルすぎる)


僕が固まっていると、その赤ちゃんらしき物体が僕を見て喋り出した。


『地球で、人生の終わりを迎えたいの』



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