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童話・児童書などまとめ

水晶の国の水晶草

作者: 透坂雨音



 世界の果て。ずっと遠くの場所に、建物から人、土まで何でも水晶でできた国があります。


 その国には、水晶でできた花が存在します。


 水晶草というその植物は、砕いて煎じると薬になります。

 そのため、よその国で生きている普通の人達の間では、高値で取引されていました。


 だから多くの人達は、よく水晶の国に侵入してしまいます。


 そしてその国の水晶草を、無断で盗んでいく事を繰り返していました。


 そんなある日、水晶の国の若者が「これではいけない」と声をあげました。


 皆と相談した若者は、頑張って国を頑丈な壁で覆って、水晶草が盗まれないようにしました。


 水晶の国の人達にとっても、水晶草はとっても大事なものです。


 神様にお供えする神聖な植物なので、どれだけ生息しているのかしっかり管理して、適切な数になるように調整しなければいけませんでした。


 若者の努力は実りました。


 大きな壁ができてしまっため、他の国の人達は壁を見上げて水晶を盗るのをあきらめざるをえませんでした。


 しかし、めでたしめでたし……にはなりません。


 今度は土を掘って、地下から侵入する者が現れたからですからです。


 水晶の国の人達は、これにも対策。


 地面の中にも壁を作りました。


 これにはさすがに、他の国の人達もあきらめざるをえません。


 空を飛ぶ術がなかったため、盗人たちは上から侵入する事ができなかったのです。


 こうして、他の国の人々は水晶草の存在を忘れていきました。


 水晶の人達は、それから何年も穏やかな日々を過ごします。




 けれど、何十年か経った頃に、問題が発生しました。


 水晶の国で病が流行したのです。


 水晶の国の人々は、病気を治すために他の国から薬をもらおうとしましたが、断れてしまいました。


「自分達が大変だった時に助けてくれなかったくせに」と。


 そうです。水晶薬を盗もうとした人達は、病に苦しんでいる国の者達でした。


 しかし、水晶草は、水晶の国では大切な物。


 そんな大事なものを、人の国の物を盗む人達に素直に渡せるはずがありません。


 水晶の国の人達は、そう説明しましたが、他の国の人達は聞く耳を持ちませんでした。


 その結果水晶の国は、他の国から薬をもらえなかったために、滅んでしまいした。


 水晶の国の人たちは、一体どうすればよかったのでしょう。



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