表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

4話 荒れ果てた大地


4話 荒れ果てた大地



湖では、くろいのが木陰で夕焼け色の空の方を見つめながら、しろいのが帰ってくるのを、じっと待っていました。


「くろいの。そんなに心配せんでもしろいのは大丈夫じゃ。すぐに帰ってくるわい。」

石像がじっとしているくろいのに話しかけました。


くろいのは木陰から、姿を現して言いました。

「心配、、、?ぼく、しろいののことを心配してるの?」


「なんと!お前は分からんのか?」


「どうして、石像さんは心配してると思うの?」


「そんなもの、お前を見ておれば分かるわい。

しろいのが行ってから、お前じーっと夕焼け色の空の方を見ておったろ。その時、お前の身体の中心がぎゅーっとならなかったか?」


「うん。くるしくて初めてだった。」


「それが、心配じゃ。相手のことを思うと苦しく辛く、相手の苦しみや痛みを自分自身のように感じて思うのじゃ。」


「ぼく、心配してたんだ。でも、なんでだろう?」

くろいのは、また、じーっとして考えていました。


くろいのがじーっとしていると、夕焼け色の空の方からなにかがやって来ました。

それに気づいたくろいのは、夕焼け色の空の眩しさを感じながらもなにかを見つめました。


だんだん近づてくるなにかは、大きな声で言っています。

「おーい!くろいのー!ぼくだよ、しろいのだよー!」


やっと声が聞こえ、姿が見えました。

くろいのは、影の中を出たり入ったりしながら、

しろいのがこちらへ来るのを待ちます。


しろいのはやっとくろいのがいる木陰の傍まで来ました。

「ただいま!くろいの!

ふふっ、出たり入ったりしてなにしてるの?」


くろいのは、木陰の中から半分だけ姿を出して答えました。

「おかえり。しろいの。

ぼくもよくわからないよ。」


「そっか。わからないのか。」

しろいのは優しい声でそう言うと、

大きな葉を持って水際までくろいのと一緒に歩いていきました。


水際まで来た、しろいのとくろいのに石像は話しかけます。

「よう帰ったのう。しろいの。太陽とは話せたのかのう。」


「うん!太陽さんとお話できたよ。

夜の日が来なくなったのは、月と星が嵐に連れていかれてしまったからなんだ。

だから、これから荒れ果てた大地を辿って嵐の元へ行くよ。」


「嵐の元へ、、、。そうか、十分に気をつけるんじゃよ。

嵐は、豪雨と暴風で大地を荒れ果てさせる。

お前たちじゃ軽くて飛ばされてしまうかもしれないからのう。

嵐が通り過ぎたのは、ここから夕焼け色の空を背にして進んだ所じゃ。」


「うん。石像さん、ありがとう!

くろいのと一緒だからきっと大丈夫!」


「石像さん、ありがとう。ぼくもしろいのと一緒だから大丈夫だよ。」


そうして、しろいのとくろいのは夕焼け色の空を背にして進み始めました。

少し歩くと、しろいのとくろいのは振り返りました。

「石像さーん!また、来るからねー!ありがとうー!!」

しろいのは大きな声で叫び、くろいのは木陰の中から、石像に向けて頭を下げました。




夕焼け色の空を背にしてしばらく森の中を進むと、

途中で折れている木や花、草や、荒れた土が見えてきました。

しろいのとくろいのは、それでも進み続けて、やっと森の中を抜けました。


森の中を抜けると、そこには太陽が言っていたように、荒れ果てた大地がありました。

木々は折れ、草花はなく、そこはただ、荒れ果てた大地が広がるだけでした。


「くろいの、こんな景色みたことある?ぼくは初めてだよ。」


「ううん。ぼくも初めて見た。これが、嵐がとおり過ぎた跡なんだね。」


「この跡を辿れば嵐の元へ辿り着く。行こう!くろいの!」


「うん!」


そうして、しろいのとくろいのは奥へと続く、嵐の跡を進んでいきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ