3話 夕焼け色の丘
3話 夕焼け色の丘
しろいのは、石像に教えられたとおり夕焼け色の空の方へ、森の中を進んでいました。
だんだんと近づいてくる夕焼け色の空。
夕焼け色の空が近づいてくると、森の中の様子も変わってきました。
森の木や花、草、土すべてが太陽と同じ夕焼け色に染まっているのです。
そして、どんどん夕焼け色が濃くなっていき、眩しさも増してきました。
しろいのはそれでも、前へ歩きます。
歩いてると、眩しさが増して、ようやく森の中を抜けました。
森の中を抜けると、そこは夕焼け色一色の丘が広がっていました。
森の中とは比べ物にならないほど、赤く眩しく遮るものは何もありません。
しろいのが眩しさの中必死で太陽を探すと、
丘の上に大きくて夕焼け色のなにかがいました。
しろいのは、そのなにかへ尋ねました。
「すみません。ぼくはしろいの。あなたは太陽さんですか?」
すると、なにかは低くて大きな声で答えました。
「いかにも。私が太陽だ。」
「太陽さん、ぼくは夜の日を探しているんです。
どこに行ってしまったのか知りませんか?」
「夜の日を?何故、お前が探している?」
太陽は大きく静かな低い声でしろいのに尋ねました。
「ぼくの友だちのくろいののためです!
くろいのは、影の中でしか動けないんです。
だから、夜の日を探しています。」
しろいのが太陽に向かい大きな声で答えました。
「なるほど。事情は分かった。何処にいるかも知っている。」
「なら、教えてください!夜の日が何処にいるのか。」
「まず初めに、おまえに教えておく。
私が昼の日を創造しているように、夜の日もまた月と星によって創造されているのだ。
月と星が消えてから夜の日が来なくなった。
それ以降、私が照らし昼の日を創造し続けているが、長くは持たない。
それ故に、夜の日を創造している月と星を早く見つけ出さねばならん。だが、私はここから動くことが出来ない。」
「なら、ぼくたちが月と星を見つけます!」
「お前が?無理だ、しろいの。
お前は私よりも小さくて軽くてふわふわしているじゃないか。
そんなお前が月と星を見つけ出せるわけがない!」
太陽がばかにしたようにしろいのに言いました。
「そんな事ない!たしかに僕だけじゃむずかしいかもしれないけど、くろいのと一緒なら絶対に見つけ出せます!」
しろいのが言い返すと太陽は目を丸くして言いました。
「私に言い返すとは、小さいのにやるじゃないか、しろいの。
お前の言うようにくろいのと一緒なら、月と星を見つけ出せるんだな?」
「うん!必ず月と星を見つけます!」
「わかった。では、しろいのそしてここには居ないがくろいのに、月と星を見つけてもらおうではないか。
しろいの、月と星が消えたのは嵐が原因だと考えている。
何故なら、嵐の日が過ぎ去ってから月と星が消えたからだ。」
「月と星は嵐の日の後に消えた、、、。」
「そうだ。嵐が原因なら、嵐の元へ行けばいい。そこに月と星もいるだろう。」
「嵐の元へ行くにはどうやって行けばいいの?」
「嵐の日が過ぎ去った後は、大地が荒れる。
荒れ果てた大地を辿れば、嵐の元へ辿り着く。
だが、気をつけろ。お前も知っているだろうが、嵐の元へ行くのは簡単じゃない。」
「わかりました!太陽さん、教えてくれてありがとう!
大丈夫、絶対に月と星を見つけます!」
そう言って、しろいのは太陽の元を去り、くろいのが待つ湖へと向かいました。