1話 出逢い
1話 出逢い
嵐の日が過ぎ去り、昼の日が長く続いたある日のこと。
白くて、丸くて、ふわふわした小さなしろいのは、森の中で色とりどりの草花の中を歩いていました。
しろいのは草花の中を進み、森の中でも1番大きな木の前にやって来ました。
しろいのが木に近づくと、木陰の中で何かが動きました。
しろいのは、なんだろう?と思い木陰の中を覗きこみました。
すると、、、
「わあっ!!」
木陰の中にいたものがしろいのに驚き、大きな声をあげて影の中から飛び出してきました。
しろいのが、木陰の中から飛び出してきたなにかを見ると、それは、黒くて、丸くて、ふわふわしていて、まるでしろいのの様でした。
しろいのは、黒くて、丸くて、ふわふわしたものに話しかけました。
「こんにちは。ぼくはしろいの。君のなまえは?」
黒くて、丸くて、ふわふわしたものは、躊躇いながらも答えました。
「ぼくはくろいの。」
「くろいの!よろしくね。
ねえ、木陰の中に隠れてないで、こっちに来て一緒にあそぼうよ!」
それでも、くろいのは木陰の中から出てきません。
しろいのは、不思議そうに尋ねました。
「どうして木陰の中から出てこないの?」
「ぼくは影の中から出れないんだ。だから、そっちには行けない。」
「そうなんだ。
影の中しか動けないんだね。
なら、夜の日が来たら一緒にあそぼうよ!」
すると、くろいのはとても悲しそうにして言いました。
「しろいの、ごめんね。
嵐の日が過ぎてから夜の日がずっと来ないんだ。
きっと、これからも来ないと思う。
この木陰から出られないから君とはあそべないよ。」
「そんな、、、。
じゃあ、夜の日が来ない限り君はそこから動けないの?」
「そうだね。動けないよ。」
それを聞いたしろいのは、くろいのと遊べる方法がないかと考えました。
しばらくしてしろいのに、いい考えが思い浮かびました。
「よし!なら、君とあそべるように夜の日を一緒に探しに行こう!」
「無理だよ!
ぼくは、影の中しか動けない。太陽が照らしている中、夜の日を探すことなんてできないよ!」
「そんな事ない!一緒に夜の日を探せるよ!」
そう言ってしろいのは、近くに落ちていた大きな木の葉を拾いました。
その葉はくろいのをすっぽりと覆ってしまうほど、とても大きなものでした。
「これを僕が持って、君がこの影の中に入れば夜の日を探せるよ!」
そう言って、木陰の方へ葉を差し出しました。
「そんな事できないよ。」
「大丈夫!僕を信じて!君ならできる!」
しろいのがそう言うと、
くろいのは、恐る恐る木陰と繋がった大きな葉の影の中へと入りました。
そして、しろいのとくろいのは一緒に歩き始めました。
歩きながら、くろいのはしろいのへ問いかけました。
「どうして、夜の日を探してくれるの?」
「ぼくたちってとても似てるでしょ。
そんなぼくたちが出逢ったからだよ。」
「よく、わからない、、、。」
「今はわからないけど、きっとわかる日が来るよ。
その時には、ぼくたちはもう親友さ!」
そんな話をしながら、しろいのとくろいのは、森の中を夜の日を探して歩いていきました。