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ドラゴンさんの暇つぶし  作者: R's
第3章  人間の想いと神様の願い
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第24話  ドラゴンさんは忘れたころにやらかす

「えーと、つまりこういうことか? 俺が偶然持ち帰ってきた『これ』と同じものが使われた結果、この事件が起きた?」


 『ギルティスの涙事件』の報告書を読み終わったグレイは、私とギルマスに没収されて、テーブルに置かれた『ギルティスの涙』を指差しながら問う。私達はそれを肯定しつつ、さらに付け加える。


「もっと言うと、ギルティスの涙によって創られたキメラ型のアンデットはギルティスの涙を使ってコントロールできるんだ。勿論、今回のキメラ達も別な人間がギルティスの涙を使えばコントロールできちゃう。だから今回の件で使われたものは念の為破壊しておいたの。キメラは私が討伐したし、討ち漏らしとかはないけれど再利用されたらたまったものじゃない。」


「『ギルティスの涙』についてもギィス様からギルドに情報が提供されていてな。リナの情報が正しいとされておる。よって破棄する、というリナの判断に文句はつけとらんのだ。」


「マジかよ………。じゃあ俺が取ってきたものはどうする? 破棄するか?」


「私としては破棄してほしいけれどねー。ギルド的にはどうなの?」


「ううむ…。情報としては手元に置いときたいのだが、いかんせん紛失した場合のリスクがな……。グレイが取ってきたものは最初からなかったことにするのが適切だろう。リナ、処分を頼めるか? ギルド立会いの下で破棄したい。」


「はいはい。あとで闘技場のスペース借りるわね。」


 紅茶を少し飲んでから、ギルマスに答える。ギルド職員立会いってことはギルドとしても処分したという証拠が欲しいのだろう。どうせなら処分の方法も記録として残せるように紙とかに書いておこうかな。似たようなケース…特殊な魔石の処理の適切な手順についての資料でも作るべきだろうか? メイシアにはグレイ含め、Sランク冒険者が複数いるし、今後も対応できるようになっておくべきだろう。美味い飯が食べられるところはなるべく繁栄してほしいし。









「ああそうだ。リナ、お前さんにもう一つ言いたいことがあったんだ。」


「言いたいこと?」


 ギルドの呼び出しに関する内容はもう終わったと判断して帰ろうとした先、ギルマスが思い出したように話し出す。私は特に思い当たる話とかはないのだが、グレイは「ああ、あれか。」と思い出したように呟く。知ってるの? と視線で聞けば、むしろなんで心当たりがないんだ? という目で見られた。ええ? 私がおかしいのか?

 取り敢えずソファーに座り直し、まだ紅茶の残っていたカップを手に取る。ギルマスは咳払いをしてから話し始める。


「………リナ、お前さん先程ギィス様と面識がある様に話していたな? かの御方と知り合いであるのに、王宮にはお前さんの情報は無いようだったがの?」


「あ」


 ギルマスの言葉に顔が引き攣る。しまった。ギィス…始祖人(エルダーマン)のギィスが介入したことに驚いて、思わず口が滑った。

 私が世間知らずなことはもう既に知られている。それでもギィスについて私が反応した=『私とギィスは顔見知りである』と考えるのが『自然』だろう。そしてそこから私について分かっていることから考慮すれば…。


始祖人(エルダーマン)たるギィス様と面会した者は王宮のものが常に把握しておる。そのなかにお前さんのような龍人はいない。…つまり、ギィス様がこの国にいないときに知り合ったと考えるのが妥当だ。」


「ちなみに始祖人が国にいる間は、護衛やら何やらで基本的に人の目があるからな。そいつらが把握していないってことは、よっぽど『繋がりを隠したい相手』か、『国に居に時に出会った相手』のどちらかだろう。始祖人との『繋がりを隠したいやつ』なんて基本的にいねぇし、リナが《禁忌の深淵》にいたことを考慮すると、な?」


 ギルマスに続いてグレイが丁寧に解説してくれた。二人の、あとは言わなくても分かるだろう、と言わんばかりの視線を受けて、流石の私も黙ってしまう。…もうこれさ、多分グレイ達の中では確信したことなのだろう。私が否定しても多分変わらない。…あー、どうするか。

 私がやりたいことは、『人の暮らしに溶け込む』じゃなくて、『人間社会で楽しく過ごす』であり、義務とかで縛られるのは遠慮したい。よって私がやるべきことは…何も言わない…かな。


「うーん、ちなみにだけど、その予想とか、前提の情報とかは誰かに言ったりした?」


「儂は言っておらんぞ? 特には()()()()()()()()。」


「おっけー。……グレイは今そう考えただけでしょう? じゃあいいや。」


「否定したりはしないんだな?」


()()?」


 グレイに聞かれたので逆に問い返す。グレイは軽く目を瞠り、静かに私の話を聞く。ギルマスは面白そうにこちらを見るだけで何も話さないので、仕方なく私は私が『何もしない』ことについて説明する。


「否定するっていっても二人とも『まだ何も決定的なことを言っていない』じゃない。ギルマスが言ったのは『私が始祖人と面識があること』と『それは誰も知らなかった』っていう事実でしょ? その後のグレイだって『最後まで言ってない』………結論を言う前に濁した。この状況で『私が否定すること』なんて何もない。違うかな?」


 だってそれらは事実だもの。そういって二人の反応を窺う。グレイは驚き、ギルマスは何かに思考を巡らせているようだった。少し間を開けてグレイが呟く。


「…リナがそんなに考えて話すような奴には見えなかった。」


「おい。」


 思わずジト目になった。


「いや、ギルドに来る冒険者たちもそういうと思うぞ?」


「はい? なんでさ?」


 首を傾げた私に対して呆れたようにグレイは言う。


「だってお前、いつもその市民みたいな服装じゃないか。防具すら付けないような奴だろ? だから他の奴らに「本気を出してない」って思われるんだよ。」


「あ」


「ん?」



   そ う だ っ た ! !  



 そうだよ! 私ってば、今まで人前で防具とか付けてないじゃない! そりゃあガキだのお嬢ちゃんだのお子様だの言われる訳だ! 街の人たちが「冒険者にあこがれる子供」を見る目で見てくるわけだよ!!



「え……まさか、リナは防具を付けてないことに気付いてなかったのか?」


「わ、忘れてたんだって!! そもそも結界で事足りるから着けることも少なかったし…。」


「…出会った時に、町娘を主張する割には何故か修行中だとか言ってたし、明らかに物騒な剣を持っているくせに服装は一般的な市民だし…。……忘れてたって最初からか? 自分の服装だぞ?」


「……。」


「……。」


「………黙秘します!」


「…。なんでそういうことには気づかないんだ?」


「変わっとるなぁ……。」



 …ですよねー。私がグレイと会ったのは《禁忌の深淵》で、そこから私は防具を着ていたことはない。今まで防具なしでやっていたわけ。でも《禁忌の深淵》は一般的に防具なしで行けば、まず死ぬだろう。グレイだって完全装備で来ていたんだ。その異常さだってよく分かる。つーか誰だって「普通じゃない」と思うこと請け合いだ。


「あーーー!! ……防具どうしようかなぁ…。」


「今ここに来て防具で悩むのか?」


「やめてー。そんな呆れた目で私を見ないで―。」


「そういやリナの空間収納に防具とかないのか?」


「え?」


「ん?」


 ………空間収納? ………………。


「……そう言えばあったわ。」


 人類が生まれる前に各地を回っていたときに用意した防具あるじゃない。ドレスアーマーだけど、普通に軽鎧(ライトアーマー)として使えるし、なんならアレかなりいい素材を使っているし。

 ひとまずカップを置いて、可哀そうなものを見るような目を向けてくるグレイを無視して、アレを空間収納から取り出す。



______________________________________

名称  天龍を従える麗鎧

ランク  SSS

特徴  願いの翼鉄、白亜の涙など、SSSランクの素材をこれでもかと使った、龍の巫女のための装備。持ち主以外は身に纏うことは許されない。装備の破損は魔力を通すことで修復でき、また、使用者の魔力を何倍にも高める。

******詳細は検索または閲覧できません********

   ?は□+と共■Jきる哉×?   

______________________________________




そっと空間収納に戻した。よし、見なかったことにしよう。何事もなかったようにカップを手に取る私の肩をガシッ!! とグレイが掴む。僅かな沈黙。


「おい。なんだ今の。」


「ナ、ナンノコトカナ~。」


 鬼のような形相のグレイから顔を背けつつ、言い訳を考える。


 いやだって私も知らなかったんだもん!! そういや作った時は汎用性高くて壊れにくい装備作ろ! ってしか考えてなかったんだもの! それに当初は鑑定にもあんな文字化けなかった気がする!! 

……真面目に考えよう。チラッと脳内検索をしてもあの鎧が強化されるような出来事はなかったはず。本体がスリープしていてもアストラルが動いていたから、世界の記録は残る。でも記録すらないのは何で? …履歴を見ても誰も強化していないよね。つまり私が管理していた空間収納に干渉出来て、強化(魔改造)した後、記録を残さないように消すor偽装できる権限、能力がある(じん)物……。

……私が作った時よりデザインが洗練されている気がする。青いラインとか宝石? 宝玉? とか増えているよね。それに合わせて鎧全体も落ち着いた雰囲気で、神聖さすら感じるデザイン。レースの部分は白…光を反射して銀にも見える。ドレスアーマーだけど、機能性は良好かつ露出も少ない。鎧の役割重視だった前より見た目は華やかだけど、機能は劣らない。

……改造したのMさんじゃね? Rはこういうの出来ないし。つーかMさんならこれくらい出来そうだし…。


 よし、腹を括ろう。無言でグレイに向き直る。


「私専用の防具欲しいです。」


「その前にさっき防具の説明をしろ!!!」


「なんか気付いたら強化されてた。普段使いできないから防具は別に用意しようと思う。」


「説明が絶望的に足りてねぇ!!!!!」


 このあとグレイを誤魔化すのに1時間使った。1時間ずっとギルマスの部屋で騒いでいたから二人揃ってギルマスに怒られた。

 ……さらにその後、宿でグレイに「これ以上の爆弾も抱えてんじゃねぇだろうな。」って詰問された…。もう少し情報管理を頑張ろうと思った……。

……現時点でこれ以上やらかしてないよね……?


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