第22話 アスタロトの正体
私がアスタロトくんを倒してから三日経った。ギルドはまだ、今回の件の後始末に追われているらしい。主に私の所為だけど。
Aランクパーティーの『暴風の旅団』の二名を殺害したキメラが人狼族をベースに作られていたというニュースは『暴風の旅団』リーダー、ウェルザによって報告されていた。実は彼ら、超貴重な魔道具である『転移の腕輪』を持っていたらしく、メイシアの門の前に直接転移を行って戻ったらしい。で、現状メイシアの最高戦力であるリナや、他のAランクパーティー達の報告待ちになったんだとか。
Sランクのグレイは《禁忌の深淵》、Sランクパーティーの『戦の王』は王都に行っていたらしい。一応、対処出来そうな人材には集合してもらっていたようだった。まぁ、私が一人で終わらせたんですが。
そして後始末が続いている理由は私が暴れたからだ。はい。反省はしている。私はアスタロトくんを倒した後、イライラして他のキメラを一掃した。大破壊をしないように光の魔法を使って狙い撃ちしたんだけれど、それを『リテリュアル』、『ステライト』のメンバーが見て異常現象が起こったと誤解しちゃったんだ。
ちなみに、私が使ったのは【探索】と【レーザーガン】と【反射】。【探索】で場所を特定、【レーザーガン】と【反射】で的確にヘッドショットをやった。それを逃げていったキメラと同数発動させたわけで。結果としてイルミネーションみたいに光って見えた。
それを遠くから見ていた他の冒険者たちは何かやべーことが起こったに違いないと慌ててギルドへ帰還→ギルドで「どういうことだ」騒動が発生→キメラの死体(数10体分)回収してきた私が転移魔法で帰還する→私が今回の事件について話す→真偽の確認ということで調査団が編成&出発→調査結果について会議が行われる(今ココ)。
はい。私が全部やっつけたので大丈夫です~って言っても信じてもらえませんでした。調査に当たり、大半は焼けたから直したよーと伝えたら精査するので待ってくださいと言われました。かなしい。まぁなんかやる気起きないしいいけど。
そんな訳で私はやることが無くなったので宿でゴロゴロしております。暇じゃー。
……はぁ、何しようかなー。何をやるにしても気力が湧かないや。……取り敢えず、私はこの胸のモヤモヤを解決したい。だから今回の件の原因にお話ししに行こうと思う。
ゆっくりと眼を開ける。ふわふわのベッドの上から降りて羽を伸ばす。…あ、照明つけよう。首を伸ばして照明を付ける。ふう。さて、本体の身体で動くのは久しぶりだ。彼方との連絡は本体じゃないと連絡できないけど、普段はベッドの上で連絡していたからね。ニート最高! 分身体であるアストラルは宿屋で寝ているけど、何かあったら動けるようにはしている。やる事無いし、ずっと寝ていても文句が言われない状況だし、問題はないはずだ。って今はどうでもいいか。
あ、ベッドは龍形態に合わせて創ってみたんだ。クッション性は大分拘って創ってあるから私でも快眠できる。睡眠をとる必要は無いんだけれどね。休養は大事だから拘ったよね。ちなみに私の部屋にある家具はベッドと机(龍形態に合わせた作りでほぼほぼ、ちゃぶ台である)だけだったりする。閑話休題。
『ラプラスちゃんいるー?』
『はい。何か御用でしょうか上様。』
私の部屋の扉の方に声を掛けると、数体のラプラスたちが現れる。本当にどこにでもいるよね。便利で本当にいつも助かっている。……今回は大した用事ではないんだけれどねー。
『サトリを私の部屋まで連れてきてくれないかな?』
「お呼びでっかー、上様―?」
ラプラスたちが呼びに行ってから割とすぐにサトリはやって来た。相も変わらず如何にも怪しいものです、みたいなピエロの格好をしている。赤白青のド派手な服装が目に痛いです。
「何スカ? 何故に急に呼び出したん? おいらは最近忙しいんっすけどー?」
『その口調どうにかならないの?』
「無理っすねー。俺は大量の誰かを喰おうて出来とりますさかい、口調とかいっつも変わるんすよー。これでも統一しておるつもりなんやけどなぁ。」
『ああ…。うん。まぁそれは知っているんだけどねー? ……いいや、それよりも今日は君に話があるんだよ。』
キョトンとしたサトリに、私は咳払いをしてから話を始める。
『今期の魔王の担当者ってサトリだよね?』
「そうでんな。」
『もしかして魔王候補って人狼族のキメラだったりした?』
「そうっすね。」
『しかもその子に君の細胞を入れたりした?』
「おっ! よく気付いたっすね! そうなんや! 今回のはわっしの最高傑作っすよ!!」
『ごめんそいつ私が倒しちゃった☆』
「なにやってんすかあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
私の告白にサトリは絶叫を上げた。
『あっ、やっぱ拙かった?』
「あれ結構大変だったんすからね!? 人が作ったように見せたいから記憶弄ったり、おいらがこっそり魔道具渡したり、必要なもの揃えたりするのごっつ大変だったのですわよ!!?」
『口調ブレッブレじゃん。』
「どんだけ下準備に時間が掛かったと思うとるんですかあああぁぁぁ!!!???」
『あ、そうそう。ああいう個体は今後創らないでねー。』
「しかもダメ押し!? 何でなん!?」
『あー……私の美学に反する?』
「どういうことなん?」
この世界では一定周期で魔王が生まれる。今の会話でも分かる通り、【十の獣】が魔王を作っているんだ。一応人類の数の調整、生態系の整理っていう理由があるんだけど、ほぼ私の趣味である。
魔王を作っているのは、【午】、【未】、【申】、【酉】の四体。彼らが順番に魔王を作っている。そして今期はサトリの番だったってわけ。サトリの作る魔王が一番ヤバいから、今期は絶対波乱を呼ぶ。魔王になる前に私が倒しちゃったんだけれどね。
サトリが毎回厄介な魔王を作るのはサトリが自分の細胞を魔王に与えているからだ。
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名 サトリ ?
種族 変化者 ?
Lv. 4973
体力 39251 ?
魔力 38212 ?
武力 17236 ?
耐久 24139 ?
敏捷 19283 ?
特殊スキル 千差万別 幻覚幻影 【申】
称号 絶対者 全力道化師 大法螺吹き (ヒント♪)
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サトリは変化者という特殊な種族。もともとはスライムだったのが神化して生まれた種族である。スライムの特徴も持っていて色んな魔物を吸収してその特徴を再現することが出来る。ウィルアスも再現だけなら可能だけれど、分裂増殖できるサトリは厄介という言葉が最も当てはまるだろう。さらにサトリの細胞は遠隔操作が可能で、細胞を与えた個体を特定の方向に進化させるように働く。……本当に最悪の存在だよね。
正直、私はあの時見逃すつもりだったんだ。見た時から次期魔王だって分かったし。でもあの子は逃げなかった。神の私としては逃がした方がいい。けど冒険者の私としては倒さなくてはならなかった。だから、逃げないアスタロトくんに戸惑ったし、困った。
『多分、元になった人狼族の人格が良い奴過ぎたんだよ。私としては悪役はもっと生に執着してほしいんだよね。あと抵抗はちゃんとして欲しいな。』
「えー、人格厳選もしなきゃならんのっすか? 辛いんやがー。」
『……最悪今期は私が魔王やってもいいかな』
「駄目やろ!?」
『一回くらいは討伐できない災害が出てもいいんじゃ』
「あかんのですわ!? まずいででっしゃjなgj?!?!?!?!」
『急にバグらないでもらえないかな?』
「ふうー。ふうー。……上様が魔王役したら始祖人たちはどう思うん? すんごい慌てると思うで?」
『ええー? でも今ギルドで私が自作自演したんじゃないかって疑われてるしさー。ちょうど良くない?』
「ちょ~~~っと待ちーや??? 上様疑われとるん??」
『うん。』
「ええ……? ……そっちはワイが何とかするんで大人しくしてもろていいっすか?」
『あ、うん? 何するの?』
「気にせんでもろてー。上様は人間界を楽しんで頂ければ良いですわ?」
『そ、そう? ならいいけど。……あ、もういいよ。時間とって悪かったね。』
「いえいえー。それじゃあ僕はここでー!」
そう言ってサトリは慌ただしく部屋を出ていった。……。なんだったんだろうか? 気にするなと言っていたからいいか? 取り敢えず…やりたいことは終わったし…。
『そうだ。宿屋でご飯食べてこよう。』
アストラルの身体に意識を飛ばしてご飯を食べて、満足したので今日は寝た。今日は親子丼だった。美味しいかったよ! 美味しいものも食べたし胸のつかえも取れたし、明日からまた頑張ろう!
「面白かったら高評価お願いします!」
「サトリは自分のステータスを偽装することが出来ます。」
「本編で触れられなかったので一応……。」




