第18話 捜索会議
「ちょっと投稿が開いたけど更新再開です!」「お待たせしました~。」
「はーい! 今日はお集まりいただきありがとうございまーす! それじゃあ今回の計画について話したいと思いまーす。」
リナはギルドの会議室にいるメンバーを見渡す。集まっているのは3つのAランクパーティーとギルマスを含めた一部のギルド職員だ。
すると早速一部の人から苦情が出てきた。
「あぁ? なんでガキが仕切ってんだよ?」
「まぁまぁイフさん、落ち着いてくださいよ。」
お揃いの緑ローブを着たパーティーのいかつい大男がリナを睨むが歯牙にもかけず進行していく。リナは円卓の左の女性三人のパーティーに手を向ける。
「それじゃあ自己紹介しよーかー。そっちのお姉さんたちからねー。」
「おいコラァ!!! 聞いてんのか!!」
大男はそれに気を悪くしたようだったが…リーダー格の人物に止められる。
「イフ。静かにしろ。」
「っ! すいやせん……。」
「あら、リーダーには素直なの?」
リナが軽口を叩いても大男は睨むだけになった。ニッコニコののリナと青筋を立てて睨む大男。初っ端からカオスである。
「…あー、自己紹介、いいですか?」
「あ、どうぞー。」
「それでは……Aランクパーティー『リテリュアル』リーダー、リリシーです。武器は長剣、短弓です。」
金髪、青眼の人族の女性が一礼する。それに褐色肌で薄着の女性と緑髪碧眼のエルフの女性が続く。
「同じく『リテリュアル』のイライザだ。大剣を使う。」
「……ミストリテ。風魔法メイン。」
「では次は儂らか。『ステライト』のボルディだ。武器は戦槌をよく使うのぅ。こっちはうちの魔術師のミルワじゃ。」
黒い髭のドワーフが片手を上げながら自己紹介し、隣にいたフードを深く被った人物が一礼する。
「同じく『ステライト』のオルサイだ。短剣がメインだぜ。」
「自分はバジルっす。弓がメインっすね。」
盗賊風な男と弓を担いだ少年が続く。
「ほいじゃあそっちの緑ローブの方々どうぞ~。」
「……お前さん軽すぎんか?」
リナの気の抜けた声にギルマスが呆れる。が、リナは気にしない。
「…『暴風の旅団』リーダー、ウェルザだ。」
「俺はイフだ。」
「メルシィです。」
「アルオリア。」
「ガラクテという。」
「え情報すっくな。」
「お前さん一回黙ってくれんか?」
ギルマスが心底呆れたように言う。リナは無視しようとしたがギルマスの隣のタキヤさんが笑顔を向けてきたのでそっと黙る。
「はぁ。ギルドからはギルドマスターの儂と副ギルドマスターのタキヤが会議に参加する。よろしく頼むぞ。」
「よろしくお願いします~。」
タキヤさんが挨拶すると『リテリュアル』の方から「何を食べたらそうなるんだろ…」という呟きが聞こえた。賢いリナはこっそり防音魔法で遮断した。
「あ、じゃあ私が最後か。Sランク冒険者リナだよー。よろしくねー。」
「「「は?」」」
「えっ流石に傷つくよ!?」
「…ギルマス。王都の方では聞かない名だが?」
『暴風の旅団』全員から疑問符で返されたので泣き真似をするリナを尻目にリーダーのウェルザがギルマスに確認をする。
「うむ。リナは少し特別でな。本部でも彼女の情報についてどう扱うべきか決まっていなくてな。まだ情報が規制されているのだよ。」
「メイシアでは有名ですよね? 《賢龍姫》さん?」
「儂らもよく聞くぞ。今回のキメラについても何か分かるのではないか?」
リリシーとボルディがリナの様子を窺うように尋ねる。リナはニヤリと笑って本題、今回の事件について話す。
「今回見つかったのは『ギルティスの涙』というアイテムによって生まれた動く死体。多分複数体いるから増える前に犯人を仕留めるよ。」
リナが本題について説明する前に、タキヤが資料を配る。会議のメンバーが資料を読んでいる間、ギルドマスター…モーリアは心の中で溜息を付く。リナ……《賢龍姫》と呼ばれる彼女が用意した資料、これが非常に性質の悪いものだった。資料には今回発見された魔物の解析結果、『ギルティスの涙』についての説明、ギルティスという魔物の特徴が詳細に書かれていた。いや、あまりにも詳しすぎた。
「……おい、なんだこれは!」
(やはり、か。)
『暴風の旅団』のイフと名乗る大男が声を荒げる。リナはこてん、と首を傾げる。
「何って資料だけど?」
「何でこんな詳細が分かるんだって話だよ!! あり得ねぇだろ!!」
「え? 何で?」
本当に意味が分かっていないリナに対し、殺気立つ大男。彼がこれ以上暴れる前にモーリアは答えを示す。
「リナ。普通はここまで詳細な記録は手に入らないものだ。特に今回の様に手掛かりが少ないときの場合は尚更、な。」
「へー。それもそっか。でも私にとってはこれが普通だよ?」
「いやそこは慣れてくれ。お前さんは規格外だからな? 他の奴らも同じように考えないでくれ。」
「待て。ギルマス、本当にこれが正しいとでも? …正直に言ってしまえば主犯者でなければ分からなそうなものだが?」
ウェルザがそれを――モーリアが一番言ってほしくなかったことを言ってしまう。
「……ふーん。私が例のキメラを作った犯人だって言いたいわけ?」
「はっ!! そうじゃねぇ証拠でもあるのかよ?!」
「これはあまりにも信じられないですからねぇ。」
リーダーに続いて『暴風の旅団』メンバーが次々に敵意をむき出しにする。モーリアは頭を抱えたくなった。なぜなら彼らの非難している相手のリナは―――
「ふーん。そう思うんだ? じゃあ目的は何だと思う?」
「知るかよ! テメェから聞きゃあいいだろうが!」
――まごう事無き災害なのだから
「そっか。じゃあいいや。『もう黙れ。』」
がちんと硬直する『暴風の旅団』達。戦闘態勢に入りかけていた彼が、たった一言で動けなくなるほどのプレッシャーが放たれる。
動けない彼らを横目にリナは淡々と話す。
「私の話を信じる信じないはどうでもいいけど、まず、勝てない相手には勝負を挑まない方がいいよ? 現に動けもしないじゃない。勝てないなら事実がどうであれ意味がないでしょ。あとさぁ、認識が甘いかなぁ? Aランクパーティーって言っても思考が柔軟じゃなきゃすぐ死んじゃうよ? 何で私がSランク冒険者なのかくらい考えて欲しいのだけど? それ相応の実力があるからに決まってるじゃない? 情報も無しに行動して痛い目に遭う、なんて当然だと思うよ? あと私を君達と同じ尺度で測らないでくれない? 私は君と格が違うの。それくらい理解してくれない?」
そこまで言い切ってリナは威圧を抑える。
「ま、今はギルマスの顔に免じて許すけど。今は人手が欲しいし。」
モーリアは思った。これ以上リナを刺激しないでくれと。あとタイミング悪くグレイがいないことを恨みたい。儂一人では抑えきれないぞコイツ。
「……ああ。理解した。謝罪させてもらうよ。」
「んー、いいよ。それより資料については理解した?」
リナのヤバさが伝わったのか、『暴風の旅団』たちは大人しくなる。謝罪したウェルザに対し、リナはひらひらと手を振って軽く答える。
「おぅ。儂らは大体理解したぞい。しっかしまた《賢龍姫》殿は偉業を遺したのぅ。こんなものを調べられるもんはそうそうおらんわい。」
「ええ。私達も読み込みましたが…ここまでの精度の物は初めて見ました。確かに信じられない…いえ、常識外れ、というべきですかね…。」
「えー? そんなもん? じゃああんまり詳しく記録に残さない方がいいのかなぁ。」
「すまないが記録はちゃんと残してくれ…。」
ボルディとリリシーのフォローは嬉しいが記録は残して欲しいのでそこには釘を刺す。会議がやっと犯人捜索について話し始めたことに安堵しつつも、ギルマスの心労は会議が終了するまで続くのだった……。




