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ドラゴンさんの暇つぶし  作者: R's
第3章  人間の想いと神様の願い
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第8話    山岳都市メイシア

「おお~!! 見てよグレイ!! あれがメイシアだよね!?」


 グレイと二人で道無き道を進むこと三日。ついに私たちは山岳都市メイシアが見える所までやって来た。尚、現在時刻は午前10時程である。明るい時間に来れたってことは《禁忌の深淵》からかなり近い場所にあったんだろう。何故今までずっと迷子になっていたのだろうか……。

 若干黄昏ながらもテンションを上げていると、グレイから呆れたように言われる。


「お前なぁ、もう少し落ち着けよ。それだから子供っぽく見えるんだよ。」


「酷いな!?」


「じゃあいちいち騒いで魔物を引き寄せてんじゃねーよ。何回戦闘する羽目になったと思ってるんだか。」


 そっと目を逸らす私。ジト目で咎めてくるグレイ。何だこの空間。


 うん。流石に三日間で15回以上も襲われれば怒りますよね……。ハハハ……。ごめんて。街ではなるべく大人しくするって。本当だって。


 そうこうしている間にもどんどんメイシアに近づいていき、その全貌がよく見えるようになる。山岳都市メイシアは一言で言えば要塞だ。山を切り開きながら作られたであろうこの都市は堅牢な城壁で覆われ、さらにその周りは深い堀で囲まれている。門には架け橋があり、有事の際には橋を上げて門を閉じるのだろう。…仮想敵は魔物か。


「グレイさぁ。ここ、面白そうだね。」


 そう言って私が嗤えば、グレイは真顔で返す。


「何が面白いか知らんが、味噌と黒油はここでしか作ってないからな。」


「よーし!! 私も魔物が来たら街を守る為に戦うよ!!」


「ここまで来ると清々しい掌返しだなー。」






 もう朝の早い時間とは言えないが、私達の着いた門は通行人が居なかった。そのお陰か門番は暇そうにしている。グレイは懐から何かのカードのようなものを取り出して、こちらを見る。


「そういやお前は何か身分を保証するものとか持ってるか? 無いと街には入れなかったと思うが?」


「え、何それ知らない。初耳なんだけど。」


「……そうか。…え、お前本当にどうするつもりだったんだ?」


「……。……こっそり侵入する?」


「バレたら指名手配されるぞ?」


「……。」


「うん分かった。何も考えてなかったんだな。」


「はい質問です。こういう時はどうするんですか?」


「俺も知らない。」


「だめじゃん。」


「門番のヤツに聞こうぜ。」


「おけ把握。」


 という事で暇してる若い男性の門番に突撃。その門番のお兄さんはグレイを見てこう言った。


「おっ、グレイか! 隣の嬢ちゃんは隠し子か?」


「「違う(わ)!!!」」


 思わずツッコんだ。


「俺にこんな年のガキが居てたまるかぁ!! いくらコイツが幼そうに見えるつっても限度があるだろうが!!」


「そうだそうだ!! いくらグレイがおっさんだからって私みたいな年の子供がいてたまるかぁ!! つーか全然似てないでしょう!?」


「「……。」」


「「喧嘩売ってんなら買うぞ!?」」


「……おーい。門番の前で喧嘩しないでくれー。」


 若干引いたらしい門番がいたので喧嘩をストップ。私は大人だからね!! 引くことくらいできますとも!! 


「じ、じゃあ通行証か身分証を出してくれ。」


「あ、はい。私そういうの持ってないんだけれど。街に入るにはどうしたらいいの?」


「え? もしやグレイ、攫ってきたのか…?」


「違うわ! 迷子っていうから拾ったんだよ!」


「正しくは迷子かつ身分証明書系統は無くしたの。再発行って出来る?」


「あー、ちょっと待ってくれな。そっちの詰め所で一応審査があるんだよ。疑う訳じゃないけれどな。」


「はーい。」


「それとグレイも付いて行ってくれ。拾った経緯とかも聞きたいからな。」


「おう。」


 ということで詰め所にゴー! 


 さて、詰め所にやって来たわけだが、少々問題が発生した。私の出身地、職業、その他諸々書きたくない要素が多いのだ。詰め所のおっちゃん曰く記入しないと終わらないのだが、無記入しか選択肢はない。


「あー、ユッタさん。俺が保証人になればいいか?」


「グレイがかい? まぁ、それなら通行証を発行できるよ?」


 あ、おっちゃんの名前ユッタさんっていうんだ。ってかグレイが保証人になるの? よく分からなかったので質問する。


「保証人ってどういうこと?」


「身元不明の人物を街に入れるときにそいつの身元を保証するってことだ。この場合、お前は“安全な”人物だと“俺”が証明することになる。あとお前が何かやらかせば俺も連帯責任で怒られるんだよ。」


「OK。マジで助かったわ。グレイは良い奴だな!!」


「なんだグレイ。ずいぶんと面倒見がいいなぁ。その娘の里親にでもなるのか?」


「ならねぇよ!!」  「これでも成人してますぅ―!!」


 またからかわれた。これにはわたしも流石に怒る。そんなに私は幼く見えるの!?


「ほら私は角と尻尾あるでしょう!? 龍人(ドラゴニュート)なの!! こう見えても50歳以上ですから!!」


「お、おう。すまん。」


「全くイテヤといい、ユッタさんといい、何ですぐからかってくるのか…。」


「グレイ? イテヤって誰?」


「さっき会った門番。」


「おーけー。名前は覚えた。」


 【対象:個体名“イテヤ”。発動:小さな不幸(リトルサプライズ)


 小さな不幸(リトルサプライズ)はほんっとうに使いづらい魔法だ。効果は些細な不幸が対象者に降りかかるというもの。タンスの角に小指がぶつかる程度である。


「オイコラ今何した。」


「? 何かしたのかい?」


「ちょっとしたおまじない。」


「うーん、仮にも詰め所の中で変な魔法は使わないで欲しいなぁ。」


 フフフ!! 門番よ、ちょっとはこの複雑な乙女心のダメージを思い知れ!! 子供扱いはなんか嫌なんだよ!!

 そんな中おっちゃんことユッタさんから一言。


「お嬢ちゃんはグレイと雰囲気が似ているからなぁ。この街でグレイと歩くと毎回言われるんじゃないか?」


「「……マジかよ……。」」


 私とグレイの心の声は同時に漏れ出したのだった。


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