第4話 一歩目・龍達の深淵
三日間も夜通し続いたお祭りが終わって、《龍の里》の人たちの暮らしについては大体理解した。しかし、どう考えてもここの人たちは基礎スペックが高いように感じる。そして、身体能力の違いはそのまま文化に違いにも影響をしていると考えてもいいと思う。だってここの人たちはこの周辺に住んでいる竜種たちと仲が良いもの。
竜種。《龍の里》周辺に数多く住み、里の人たちと共生している種族。彼らは元々ウィルアスに付き従っていたハーピィー達の子孫である。何を言ってるか分からねーかもしれないが、彼らは元々ハーピィーである。うん。実はちょっと私が遺伝子レベルで改造した。理由はこの世界に「竜」という種族が生まれるかはちょっと賭けだったから。あと、竜種だと私が加護を与えやすいから。お陰でハーピィーという種全体を書き換えることになったが。
まぁ、私の我儘を通して無理矢理変えてしまったから『ハーピィー』という種の戦闘能力が下がらない様には配慮したけれど。
だって変身能力を使うハーピィーってなんか嫌じゃない? そしてそのままじゃあ強くなれやす過ぎる。変身スキルを回収する代わりに基礎ステータスは高くしたけれど、こういうちょっとした部分でもバランスを考慮していかないとバグが発生しやすくなるからね。
竜については一回置いておく。今気になっているのは《龍の里》の環境について。《龍の里》周辺は世界樹があり、私も近くにいるため魔力濃度が高い。そのおかげで強力な魔物が多く生まれ、特殊な生態系ができやすい。そんな環境に完全に適応した種が弱いわけがあるのだろうか? 否、弱いわけがない。
という事で《龍の里》の住民は外の世界に出ていかないように規制されている。一騎当千を地で行く奴らをこの世に解き放ってしまうのは宜しくないからだ。例外として、村長が許可した者は外の世界に行くこともあるらしいが、そんな人物は極稀なのだそうだ。
つまり、ここ《龍の里》は鎖国している状態に近い。というかそもそも里の周りは竜の巣ともいえるから他国が近寄れず、交流すら持てないのだとか。うん。竜の祖先はウィルアスの部下だものね。っていうかウィルアスは群れの長だったしな。ぶっちゃけてしまえば世界中に散らばっていた竜達はここから出ていったんだし。
「まー、色々考えても仕方ないんだけど。」
一人で歩きながらぽつりと呟く。私はこっそり祭りが終了する間際に分身と入れ替わり、里を覆っている森の中を進んでいた。
あ、私の服はばっちり村人装備である。麻で出来ているとは思えないほど着心地の良いです。Tシャツに長ズボン、頑丈なブーツ、そして刀。この刀は里にいたドワーフの始祖人がくれたものだ。何か強そうな雰囲気がお気に入りである。ただ、柄も鞘も真っ黒で、刀身だけ薄っすらと白く輝いているのが不満点だ。
「似合っていますよ!」とか「イメージ通りです!」とかすっごい言われたのだけど、始祖人たちは私に一体どんなイメージを持っているのだろうか? 中二病か? そうなのか? んでもってそのイメージが集落に浸透しまくってない? 全くもって解せぬ。
一応《十の獣》たちには「散歩行ってくるわー」と念話を飛ばしてきたけれど、大丈夫だろうか?
「いやそれよりこの辺りから一番近い町について調べなきゃじゃない?」
ふと気付いてしまった。あれ、人の町ってどこにあるの、と。辺りを見渡しても聞こえてくるのは虫の鳴き声ばかり。時折何処からか獣が鳴く声が聞こえる。
「…………これはやったな……。」
まさか転生して神になった後にも私の悪い癖は残っていたのか…。私の悪い癖、それは「行き当たりばったりでいく」こと。猪突猛進とも言う。やろうと思ったら即断即決で下調べはせずに突貫していく。あ~、そういやカナタに凄く注意されてしまって一回調べるように心掛けることにしたんだっけ。今はすっかり忘れていたけれどな!! いや本当にどうしよう?
えっと、確かこの辺りは《龍達の深淵》と呼ばれているんだっけ…? エイファちゃんがそんなこと言ってた気がする。高位の竜種が数多く生息し、一般人では通行することすら難しいとか何とか言ってたような……。……。あれ、そんなところの近くに村とか作るのか…? ……うん!! 絶対にない! つまりここからかなり離れた所に行かないと、当初の目的である人間の生活に溶け込んで遊ぶことが出来なくなるわけだな!! 折角システムが安定期に入って私本体が制御に入らなくてもいいのだからお外で遊びたいんだよ私は!! 飽きたら里でゴロゴロしよう。
「んじゃ、折角だしこの辺を適当に探索して行きましょうか!」
そう呟いてリナは進む。これからのことに思いを馳せて、進んでいく。
「あはっ! さてさて、ゲーム開始ですな!」
同時刻、世界のどこかで始祖人たちに震撼が走る。
「おい、あの方が起きたらしいぞ。」
「マジすか!? え、うちの国には来ないで欲しいっすね。」
「それは全員が思っていますよ。」
「お願いだから何事も起きないで欲しいわ……。」
「無理…じゃないか…?」 「だって…本人が何かしらやらかしますよね…?」
「……全員で対策を考えましょう……。」
「「「「「了解。」」」」」
各国で始祖人達が何かに悩んでいると話題になるのはリナには関係のないお話。
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