第3話 村長に会おう
「アルフ村長のステータスについて上方修正をしました。」
「まさかステの設定をガバるとは……。」
ある程度村の中を把握したので、村長さんに会いに行くことになりました。と言っても、始祖人が村長になってしまうと自立できない集落になるとか何とかで、村長はここの里に住む一般人から選ばれるらしい。選挙で。もう一度言おう。選挙で。
え、選挙制度なの? と聞いたら、自分たちの暮らしは自分たちで決めていくべき、という方針の下で決定したんだとか。凄いな。勿論、始祖人たちも選挙に投票する。ただ、投票権があるのは基本的にこの《龍の里》に住んでいる者だけらしい。
「あ、まだ外の国で生活している始祖人がいるの?」
「はい。まず10名の所在地が分かっています。そして5名が各地を渡り歩いており、連絡が取れていません。生存しているのは定期報告が来るので分かっています。」
えーっと、始祖人全員で34名、うち神獣が4、外にいるのが15、里の中にいるのが15か。しっかりとばらけているのか。
「…………で、里の人口はどのくらい?」
「確か……1万人弱だと思いますよ。」
「んー! 意外といたー!」
国にしては少ないけど、集落にしては多いなー!! …いや本当に多いな。いるとしても1000人くらいだと思っていたんだが? 1万人って結構いるぞ!? え? 本当に人数あってます?
「人数って誰かが確認したの?」
「はい。村長が就任のたびに数えていますね。選挙自体が10年に一回で、前回が5年前なので正確なデータではないかもしれませんが。」
「ナニソレ村長って超大変じゃない。え、手作業?」
「戸籍があるから比較的簡単ですよ? 私たちはそもそも人数を把握しようとなんて考えませんでしたし、その辺りはアストラル様が整備していました。」
な、成程。アストラルが何とかやりくり出来るようにしていたのか。…もしかしてアストラルがここの創立に結構口出ししていたのだろうか?
エイファちゃんに聞いてみると、アストラルが口出ししたことはほとんどなく、確認や質問することのほうが多かったらしい。へーそうなんだ。まぁ、私だし、あんまり文句を言わなかったのかも。
お話ししながらとうとう村長の屋敷にまで到着する。そこで思い出したようにエイファちゃんが口を開く。
「そう言えばですが、ここ30年間村長をやっているアルフさんはアストラル様のことを狂信してらっしゃる方ですので、余り下手なことを言わない方がよろしいかと思います。」
気を付けてくださいね、とさらりとエイファちゃんは爆弾を投下した。
「……は? 狂信者?」
「はい。この村は上様を信仰しているのですが、アルフさんは幼少期に立ち入り禁止の神殿に入ってしまったことがあったんですよ。ちなみに原因はサトリとウィルアスが喧嘩した際に出てきた魔物の中に、空間魔法を使用するものがいたんですよ。その魔法を妨害しようとして半分失敗し、ランダム転移が起こったんです。」
まさか神殿につながるとは思いませんでしたが、とエイファは溜息をつく。そして話を続ける。
「転移してしまった場所がよりにもよって寝ていらした上様の身体の上だったそうで、上様の魔力に当てられ恐慌状態になったところをアストラル様が救出して、結果としてアストラル様も崇拝するようになったみたいです。」
今では神殿内には転移できないように特殊な結界が張られていますよ、と話は終わる。そっかー。本体の上にいたのか……。それは、ドンマイとしか言えない。私の魔力は一般人には刺激が強いからな。ってちょっと待とうか。
「それさ、今の話だとアルフ村長は幼少期でもかなり戦えたってことになるんだが…?」
「ええ。アルフは昔から戦闘能力が突出していましたので。今では始祖人に次ぐ実力を持っていますよ?」
「マジかー。なのに狂信者になっちゃったの?」
「なってしまいましたねぇー。」
遠い目をするエイファちゃん。うん。私も現実逃避したいな。
「……一応聞くけど、あの二階の窓からこっちの様子を窺ってる人がアルフ村長?」
「……そうですね。あの、隠れながらこちらを見ている方ですね……。」
「そっかー………。」
村長の屋敷はかなり大きく、三階建てのデカい貴族の洋館と言った風体である。歴史の教科書に出てきそうだわー。そんな、立派な建物の二階の書斎らしき場所から視線を感じる。というか隠れながら見ているようで、ぶっちゃけ不審者である。家に中にいる不審者とはこれ如何に。もうこれはホラーの1歩手前だよねー。
「……行くかー。」
「承知しました。」
あの人に会いに行くのかー。マジかー。
正直に言おう。これは想定していなかった。うん。そう来たか、という感じだ。館の中にはメイドさんがいて、村長の書斎に案内してくれました。ここまでは良い。メイドさんが居たことはちょっと驚いたけれど、まだ良かった。しかし、書斎に入ってもうビックリ。
敬礼して待機するアルフ村長。(金髪碧眼の麗しい美形。ぱっと見の年齢は20代後半。服装も相まって貴族にしか見えない。)私たちが入室すると、机の上にあったベルを手に取り鳴らす。
→メイドさん全員集合。
→全員で「ようこそいらっしゃいました!!」
→そのまま屋敷の庭へ
→何故かどう見てもお祭りの会場&大勢の人
→宴会突入 ←今ココ
何で!? どうしてこうなった!? ちょいちょい魔法の気配がしていたけれど、どういう事だってばよ!? つーか索敵魔法で確認したけれど、ここ空間弄ってあるんですが!? 誰がこんな高等魔法を使ったんだ!! え!? ここ1万人以上いるんじゃね!?
私が呆気にとられる中、アルフ村長は自慢げに解説してくれた。
「始祖人の皆さんから、アストラル様がこちらにいらっしゃるとお聞きしまして、パーティーを開くことにしたのです!! アストラル様は普段こちらにいらっしゃることが少ないので、皆で感謝をお伝えしようと思い、開催いたしました!!」
はい!? 何ですと!? 思わずエイファちゃんを見ると、「確かにこちらに来ることは少ないですね。」とのことだった。にしても感謝が重くないか!?
「……そういえばアストラル様が来るたび宴が開かれているような…。」
「ちょっ!? それは早く言おうか?!」
「アストラル様は収穫祭くらいにしかこちらにいらっしゃらないので、此度の視察には皆が驚いていたのです!!」
「うえぇっ!? そんなで!? にしたって何故にこんな大規模に!?」
「単純に張り切ったのだけでは?」
「その通りですぞ!! よく分かりましたなエイファ殿!!」
なんてこったい!? そんなポンポンできるのかよ!? って屋台が並び始めた!? しかも何かそれぞれ勝手に催し物が始まったんですが!?
「こ、これちょっ、全部見られないのでは!?」
「……すみません。ちょっと皆さんの信仰心を甘く見ていました。」
「最早信仰のレベルじゃなくね!?」
ここから三日ほど祭りが開催され、結果として私は楽しんだ。いや、自棄になったとも言う。取り敢えずアルフ村長には軽率に祭りは開かないように言っておいた。いや楽しかったけれど。イベントは全力で楽しむけれど、私は日常も見たいのだ、と力説した。
それとちゃっかり私に来る仕事はアルフ村長が処理するようにしておいた。そもそも私の仕事ってほとんどなかったから問題なく請け負ってくれた。
………結果オーライ!! 楽しかったから良し!! あとさりげなくレネとラミ以外の《十の獣》のメンバーもいた。知っていたなら教えてくれと小言を言っておいた。
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名 アルフ
種族 人族
Lv. 1014
体力 8574
魔力 9342
武力 3213
耐久 2004
敏捷 3721
特殊スキル 王権執行 一斉砲火
称号 龍の里の村長 狂信者 残念美形
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