第2話 一歩目を踏み出せないドラゴンさん
「………エイファちゃん? 今私が王様の国って聞こえたんだけど?」
「はい。アストラル様を頂点としつつ、上様を信仰する小さい国だと言いました。」
おっと? 何故こうなった? いや、私の予定では一国の王なんてやらない筈でしたが? いや本当に何でよ? …確認がてらアストラルの記憶を見てみるけれど、あいつ自分から王様やりたいって言わないよね? うん、やっぱりそんなこと一切言っていない。言ってないのにいつの間にかこうなっていたようだ。……まさかだけど、タウラスの所為か?
「いえ、最初にこの方針にしようと言い出したのはレネ様ですよ? 上様の御膝元で生活する以上、上様を信仰するべきであると言っていました。」
えええええ!? ……レネぇ~、違うよー、私はガッチガチに信仰されても嬉しくないよ~。って、もしかして私の仕事ってそこそこあったりするの? なんか、書類? を整理したり、サインしたりしている記憶があるんですが?
……考えていても仕方がない。今はエイファの案内で集落に向かっているところなんだし、直接この目で確認しよう。うん。正直既に確認できるけれど、それじゃあ面白くないのですぐには確認しないようにしておくか。
ていうか、国? 集落って聞いていたけれど、そんなに人口が多いわけ? ここ、世界樹の近くだし、割と魔物だらけなんだが……。
集落に向かいながら説明してもらった。元々、ここには始祖人の仮拠点のような扱いの集落があり、始祖人たちはここ、《龍の里》を中心に活動していたらしい。活動内容は私が指示していた通り、文化や文明発達の手伝い。その活動の最中にそれぞれの活動地域であぶれてしまった者を《龍の里》に連れてきたのだという。
「つまりここに居る人たちははみ出し者の子孫?」
「ええと、身も蓋もなく言えばそうなりますね。ただ、彼らもここで生活できるように努力はしているので、そのような直接的な表現は、その、出来れば控えていただければ……。」
「あー、あんまり気分の良いものではないよね。出来るだけ控えるわ。」
「有難うございます。」
気になることは軽く聞いておいた。んー、もんだいとかはとくにないかな? 後は直接見て判断しようかなー。
そんなこんなで到着いたしましたー。《龍の里》です!! ででどん。……なんか、全部木造建築だな? ああうん、これはあれだ。ファンタジーで言うと『エルフの村』だ。ログハウスみたいな家と、巨木の洞を利用したもの。木々の上に乗っている家もあるな。
「おお~。これは良いな。私こういうの好きだよ?」
「アストラル様からも好評でした。…我々の中で一番建築が得意なものがエルフ族でして、このような集落となりました。また、樹上が落ち着かない種族の為に地上にも家を建てています。」
やっぱりこういう前世では見られないような光景は面白いよね。ちょっとわくわくが止まらないわ。色々見たい~!
「おっ!! 陛下がいらっしゃるぞ!!」
「陛下―!!」
「おお! お疲れさまです陛下!!」
何 か 集 ま っ て き た。
いや20人くらいこっちを見てるんだが!? Why!?
「………エイファちゃん?」
「………皆さん上様のことが大好きですので…。どうか手を振り返していただけませんか?」
おあー。まじすかー。これはなんというか、あれだ。日本で言う「天皇」だこれ。え、私国の象徴扱いなの? マ? と、取り敢えず手は振り返しておく。それだけで歓声が上がる。
「ねぇ、もしかして私、視察に来たとでも思われてないこれ? なんか皆こっち来てくださいオーラ出してない?」
「視察だと思われていますね…。どういたしますか?」
えっ、どうしようかな。…そうだ。物価とか分かるようにしておきたいんだ。将来的に人の文化圏に遊びに行くんだもん。ちょっと見てこようかな。
ということで集落の中をぶらぶら歩く。エイファちゃんの案内ではここの纏め役のところに直接行く予定だったらしいけれど、回り道していくことになった。で、物価だが、なんとここではお金が無いという。というか必要が無いらしい。作物はたくさん採れるし、肉は家畜がそこそこいるから問題ない。肉が足りないとかいう人は、訓練を積んで、狩りに出掛けるのだとか。監修はもちろん始祖人だ。
…始祖人の初期の基礎ステータスってALL5000なんだよね。……で、一般人は確か、10とかのはず。それを踏まえてここの一般人? を鑑定してみると、ステータス平均が1000なんだよね。あれ、前にお散歩に出かけた時に見た魔物のステータス平均値ってどのくらい? …。……。
なにここ人外魔境なの? え? 何? 全ステータスカンストしてるお前が言うなって感じですか?
よし!! 難しいことは考えない方針で行こうか!! それよりも気になっていることがあるんだよ。
「エイファちゃんエイファちゃん。あれさ、ドラゴンじゃない? ほらあの、人が乗っている奴。」
「あ、はい。そうですね。下位の竜種ですね。」
「あの子のステータスって基本的に三桁だよね?」
「そうですね。あれは移動用のドラゴンですから。」
「下位竜が移動用なの?」
「……まぁ、ここはそういう場所ですから……。一家に一体はいますし………。」
おけ、つまりここは竜騎士がデフォルトの場所だな? で、大体の人は竜に乗れると。なにそれこわい。明らかに世界最強の国家じゃないですかやだー。
「え、もしかしてこれがこの世界の普通だったりする?」
「そんなことはないので安心してください。」
「わあ食い気味に言うじゃん?」
「………ここはちょっと、私達が安心して過ごせるように、張り切って造ったんですよ…。加減を間違えたんですよ……。」
…あー、うん。ここは特別だってことね。もうそれでいいや。……だってなんか食材のランク見てたらAとか普通にあるし。Sランクの魔獣の肉とかあったし。……あれだ。もうここはラスダン前の村とかそういうのだわ。いやそういえばここの周囲ってほぼラスダンといっても過言ではないよね。……確かに最初からラスダン前ってクソゲー感ありまくりだわ……。
ちょっとこれから会う村長さんに不安しかないのだが。こんなラスダン前みたいなところの村長とかどんな奴やねん。
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