第21話 人類史の第一歩
「これで第二章は終了です。」
『で、会議は無理矢理進めた結果こうなった、と。』
私は龍形態で寝転びながら、アストラルが持ってきた議事録を眺める。勿論自室だ。
「うん。何か無理矢理納得してもらった。因みに議事録の作成者はエイファちゃん。」
『OK把握。ていうか3日ぶっ通しで会議やっててあんま進んでないような?』
「いやいや、流石に始祖人たちはすぐに切り替えらんないでしょ。それにラミの元でちょっと修行してから使う必要が出てる。てか3日!? そんなにやってた!?」
『やってたやってた。つまり【丑】、【卯】、【戌】、【亥】は動かせない?』
「あ、タウラスは即戦力だわ。ステ見てきな? フィリアより強いよ?」
『…………は? ナニコレ。あいつ強くね? どういうこと?』
「え? 本体理由知らんの? じゃあなんであんなに強いの?」
『あ、そういや私と80時間以上戦ってたのも経験値としてカウントされるわ。』
「なーる。」
アストラルとちまちま話しながら確認。うん。まー、これなら大丈夫かなー。ちょっと真面目に考察を開始する。
この世界の生態系バランス、環境、魔術的な機構、そしてR達から貰った、私の世界にゆうか、じゃなかった、連れてくる人類のデータを踏まえて術式の最終調整を開始する。
転生の際の輪廻システム。異常なし。記憶のバックアップシステム。異常なし。世界移動による影響を消す術式。既に完成している。世界を覆う結界。問題なし。後は……実際に来た人類に付くステータスのバグ修正だけ、かな?
転生システムにより、生まれ変わった際に前世の記憶を消せる。界渡りにも適応される便い利術式だ。記憶のバックアップは私の趣味でもあるからやる。ぶっちゃけやらなくてもいい。けどまぁ、死霊術関係はこれが無いと使い道が減るのだ。だって魂は基本すぐ転生するもん。魂の記憶を残さないと死霊が生まれなくなるもん。じゃあやるしかないでしょう!? だって怪談とかリアルであった方が面白くない!? 界渡りしてくる人類にも、このシステムを適応しとかなくちゃならないでしょう!? 主に私が楽しい!!
世界を移動するときに神の決めた戸籍的なものも変わるから、そのデータを取って移動したという証明する為の術も用意した。……よし、準備は完了だね。えっと後は―
「始祖人の方の用意じゃない? 残ってるの。」
『いやそれほとんど終わってるんだよねー。だからもう呼ぶだけ?』
私の部屋でだらけているアストラルからの質問に答える。それに対し、終わっていると答えたら、「え、マジで? 滅茶苦茶忙しくなるじゃない。」と返ってくる。そうなんだよねー。つまり、本格的な管理がこれから始まるという事なのだから。
と言っても、これからやることはもう決まってる。1、人類を『バンク』から連れてくる。連れてくるやつは既に決まっている。2、彼らを受け入れる。この時、滅茶苦茶色々な手順を踏むのだが、割愛する。3、後処理。以上ダイジェスト解説でした。
ただ、3、後処理が大変である。ステータスシステムの調整だとか、世界の機構の調整だとか、それらのデータ管理だとか、慣れるのが大変そうなものばかりだ。そして、それに慣れて、一旦落ち着くことが出来れば私も自由に遊びに行くことが出来る。アストラルの意識と同調して、だけれど。本体自身は基本この場所から動くことはない。あ、カナタに会いに行ったり、天界に行くのは本体です。むしろ分身体じゃ界渡り出来ない。
「上様、不測の事態に備えてラプラス達を各所に配置。完了いたしました。」
私とアストラルでダラダラしているとレネから報告を受ける。念の為、私も《世界龍の瞳》で確認しておく。ついでに気になる所へ《十の獣》を配置させていく。ま、始祖人の準備が出来てから仕事が始まるから、急ぐ必要な無いしね。
そしてさらに、1週間が経った。必要な準備は終わり、とうとうこの日、人類をこの世界へと連れてくる。
私は家―――もう始祖人からは神殿呼ばわりされてる―――から飛び立ち、上空でいくつもの魔法陣を広げる。同時に、幾つもの紙、私の血を用いたインクで色々な陣を描いているやつ、を世界中にばら撒く。そして宣言を行う。
『我が名、リナ・□□□□□においてここに宣言する。界を渡りし小さな命たちよ、今この地に降り立ち我が世の住人となれ。小さなものよ、我がものとなれ。』
私の魔力が、声が、宣言が世界中に広がっていく。それと同時に、門が開く。世界をつなぐ門がいくつも開く。その門を通って――人類がこの世界へとやってくる。
さぁ、始まりだ。全てがここから始まる。文明が、人類の礎が、彼らの物語が、ここから紡がれていく。私も暫くは忙しくてとても楽しむ暇は無いだろう。けれど、きっと暇になることはないだろう。幾つもの物語がここには存在して、私はそれをいつでも見ることが出来るのだから。
『…これから、だよね。最高の暇潰しになるね!! ほんっとーに楽しみだ!!』
私は、リナはうっそりと嗤う。楽しそうに、これからの日々に思いを馳せながら。
同時刻、天界にいる、とある龍神も同じように嗤う。
「やっとリナの準備が揃ったね! これでやっと黒くんに仕掛けられる!!」
最高神の遊び。少しだけの遊戯。そして―――数十もの世界を巻き込んだ戦争が始まる。それを知るのは極僅か。Rの愉しげな様子を前に全てを知る彼の眷属と家族の死神は溜息をつく。ああ、また面倒なことが始まったと。
「取り敢えずリナちゃんの世界には影響が出ないように立ち回りますか…。暫くは彼女も忙しいでしょうし。」
基本的に後片付けをするM――真名は頭痛をこらえるように頭に手をあてながら呟いた。
「面白かったら高評価お願いします!」
「あ! これから暫く過去に投降したものの改稿に入ります。」
「更新は一時停止になると思いますのでご了承ください。」




