第20話 【卯】と【戌】と【亥】
「第2章の後から更新速度を下げる予定です。ご了承ください。」
「お受けしよう、我が主よ。俺達に未来をくれるなら、そのためなら貴女の掌の上で踊る事でも受け入れよう。これからよろしく頼む、上様。」
そう言ってタウラスは私に跪いて見せる。それを見て一斉に跪く始祖人達。私は彼らに対し鷹揚に頷く。
よっしゃ! 便利な手駒ゲットだぜ!! いい調子だ! これで人類の発展を調節できる! よしそれじゃ、ある程度の情報を開示しておくかな。その前に指揮系統を考えようか。
『儀式、神格付与。我が意思に従いし選ばれしものよ、今ここへ。』
私の下に残っている神格は【卯】と【戌】と【亥】。それぞれが適応するものを私の眼下に連れてくる。転移で飛ばされたのは人族の少女と柴犬? ぽい獣人族の青年、壮年の鬼人族。さてそれでは彼らを眷属に変えましょう。
『【卯】、役割は《生贄》、権限は献身。名はエイファ。』
『【戌】、役割は《人狼》、権限は忠誠。名はアーデイラン。』
『【亥】、役割は《狂人》、権限は破壊。名はバイザー。』
三人続けて宣言する。人族の少女はエイファ。犬獣人の青年はアーデイラン。壮年の鬼人はバイザー。それぞれにある名前を上書きすることで私の眷属へと変質させる。ついでに始祖人全員にステータスシステムを反映させた。この一連の流れで始祖人達はとても驚いた顔をする。一番驚いていたのは【卯】、エイファだった。
「え!? あの、な、なぜ私が?」
『ん? その役割に最もふさわしいものが選ばれただけだよ?』
軽く答えたらさらに混乱した。何故だ? 首を傾げているとタウラスから役割について質問される。役割は私が求める世界における対象者の立ち位置のことだ。神格にはそれぞれ固有の役割があり、その役割が最も確実にこなせる者が神格適応者になれる可能性がある。あくまで可能性である。が、彼らは立派な神格適応者、世界が求める役割をこなしてくれるだろう。恐らくRが手を回したのだとは思うけれど。どんなふうにやったかは知らんが。
という事をつらつら述べてみたら、エイファは納得していた。いいのか。君の役割は生贄だが? 人聞きが悪い役割だが? ………あー、うん。いいや、気にしたら負けでしょう。
『ああ、全員に言っておくか。この世界は私の魔術が掛かっているからいくつか注意事項が存在する。あらかじめここで話しておこう。』
まず最初に話したのは《ステータスシステム》について。私が世界を管理するのに便利なシステムと言う風に大分端折りながら説明する。基本的な物理法則は彼らがいた世界と同じだけれど、ステータスシステムが関わると変わってくるものについても色々話していく。元は魔法だからやろうと思えば魔力を使って大体のことは再現できるが。
変わってくる物理法則は、まぁ、察する人は察する。彼らの世界では魔力を使って体を強化していたため、それを踏まえて説明を。
例えば武力。これが高ければ細い女性でもデコピンで岩を粉砕する。魔力で強化しなくても粉砕できる。例えば敏捷。どんなおデブさんで、魔力が無くとも高ければ高い方が速くなる。説明しながらアストラルを強制召喚。魔力を使わず岩を壊したり、地面に穴を開けたりさせて解説する。こればっかりは慣れてしまう他ないが、まだ困惑が勝つようだ。
「本体や、私はちょっと《十の獣》会議をしてていいかな? 本体は彼らと交流していてくれない?」
『いいよ? ある程度把握しておきたいこともあるしね。』
アストラルに相談されたので許可を出す。タウラス達はアストラルに連れていかれる。さて、私は私で彼ら始祖人の名前でも覚えましょうかー。……30人か、覚えられるかなー。人の名前は覚えられないんだよなー。
「うし、やっと眷属が揃ったね。じゃ、第一回《十の獣》会議を始めまーす。」
11の神の眷属たちは会議室の円卓に揃う。フィリア以外は人型を取れるため椅子に座る。その中で無駄に明るくアストラルが宣言する。そして彼らの半数が思う。いや何事? と。
「あー、すまない。せめて集められた理由を話してくれ。それと彼らの説明だな。」
「そもそも俺たちはここの説明すら受けていないのだが。」
疑問を口にするウィルアスに続き、タウラスも苦言を言う。アストラルはポン、と手を打ち、「忘れてたー。」とからから笑う。
「席順に自己紹介しようか? レネから右回りにどうぞ?」
アストラルが促すとレネは呆れ顔になる。
「上様……。んんっ! 【子】のレネだ。情報を扱う。以上。」
あまりに短い説明に呆れたのはラミ。しかしアストラルは気にせず「次いこー。」と暢気なものである。
「あー、【丑】のタウラスだ。…始祖人の纏め役だな。」
「【卯】、エイファです。」
「はぁ…。【巳】を頂きました、ラミです。創世より上様にお仕えしております。」
『………【午】。フィリア。』
「わぁ~。フィリアさんがお話ししましたよ~! あ~、私はローゼです~。【未】です~。」
「フィリアはんは本当に会話してないっすからねー。あ、おいらは【申】のサトリっす。よろしゅう♪」
「サトリ止めろ、うっとしい。ああ、私はウィルアス。神格は【酉】だ。」
「……仲が良いようで。俺はえーと、【戌】のアーデイラン。…改名されたばっかりで慣れねぇな………。」
「名前に慣れないのは同意だ…。神格? は【亥】、……名は…何だったか。……あー、バイザー? だ。」
「おっし自己紹介終了だねー! じゃあ次行くかー!」
「「「待て待て待て。」」」
マイペースに進行するアストラル。止めるアーデイラン。達観しているのはラミ。戸惑うのはエイファとバイザーである。既にカオスである。
「まず慣れるまでの時間をくれ! 強制的に改名されてからまだ慣れてすらいないんだが!?」
「諦めてください。上様は基本このような災害ですから。」
「えっ。」
「タウラス…お前…分かっていたのか?」
「あー、すまん。俺も良くは分かっていない。」
「………何というか、上様は嵐の様だな…。」
「【酉】が言うと納得しちまうのは何でっすかね?」
うん、何か変な連帯感が生まれつつあるぞ? アストラルは首を傾げることになった。ちゃんと説明はしているのに。解せぬ。
「上様、恐らく言葉が足りていないのかと。」
どの世界でも会議は踊るもののようだ。
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