第17話 二人の私と始まりの結末
「うーん、来週は更新をお休みさせていただきます。」
「ちょっと大事な私用がありますのでー」 「社会だと通用しなそうな言い訳だな……。」
「ここで自分のことを言いたくないからねー。」
「ここか!! R! さっさと帰りたいんだけど私に用事って何事! めんどくさいのはごめんだよ!?」
「うわっ、リナ。大きな音立てないでよー。」
バタン!! と乱暴に扉を開けて、その部屋の奥で何かをメモしていたRに声を掛けると迷惑そうな顔をされた。心外である。結局猫丸ちゃんも詳しい居場所が分からなかったらしく、その辺にいた天使たち、神獣たちに聞いて回ったのだ。それと何気に私の顔が売れてないとか、私も知らないやつがいたけれどそれは省略する。しょうがないね。私のこと知っている者は少数で置くべきだってMさんも言ってたしね。
「主様ー。紅茶とタルトをご用意いたしましたにゃー。」
「おおーありがとー。」
「私も食べる―。で、本当に何の様なの? ちょっと確認したら私の世界と天界の時間経過速度が一緒になってるし。天界の方が基本的に遅い筈じゃ?」
「んー。そだねー。………いやぁ、実は何というか僕達も予想外のことが起きているんだよねー。」
「は? 何それ? …もしかして私の世界で何か―」
「ああいや、そういう事じゃなくて。君自身のことだよ。」
Rは自分の机から離れてソファーを二つ、机を一つ創り出し、そこに移動する。その流れで私も反対側に座る。二人が座ったところで猫丸ちゃん(黒猫形態)が紅茶とタルトを置いた。紅茶のいい香りが漂い出す。タルトはチーズケーキみたいなやつだな。ただ残念ながら優雅にお茶の香りを楽しんでいるほど余裕が無いんだけどね、私。主にRが私に面倒事を頼もうとしているんじゃないかなって思うせいでね!
ていうか私関係の質問? いや用事? どういうこと? 転生者候補達への教育はしっかりやったし、彼方のことも問題があるとは思えないし。心当たりと言えば、私がRにとって完全な“未知”の存在になれるという事くらい?
「カナタくんさー。君の名前が『遥』だったこと覚えていたじゃない? あれはねぇ、起こらない筈のことなんだよねぇー。」
「………私の名前を誰も覚えてない筈だった。でも彼方が覚えていた。…彼方も私と同じだったってこと?」
「それは無い。彼の行動は全て読めた。」
私の思い付きはRが完全に否定する。…じゃあどういうこと?
Rは――あのRが――溜息をつきながら自身の出した結論を述べる。
「君が二つの神格を持ち、身体が二つあるからだよ。」
Rの建てた“仮説”を聞いた私は思わず唸り声を上げてしまう。
「待って、それこそあり得ないんじゃんない? だって私はそんなことを意図していないもの。」
「うん。だから僕も悩んでいるんじゃない? おかしいし、あり得ないし? でも個神的にあってる気がするし―。多分そういう事じゃない? 時間経過で確信したし。」
「何故に? 何を根拠にしたのさ。」
「君の分身。あれが自我を得ていることで確信した。本来はそんなことは起こらない。」
「ええ…? マジ? えっと、ちょっと整理するけれど。合ってるか教えて?」
私は困惑しながらRに聞くと「いいよ」と返事が貰えた。さて、整理するかー。
「まず前提。私は死んで神に転生した。その時に私はRの器として選ばれている。次に、その際に私、一般人の遥が居た痕跡をすべて消して、『器として生まれていた』莉奈が居たことにした。」
「合ってるね。」
「OK。じゃあ本題。私が神格を持った後、Mさんからも神格を貰ったから“私”は二人存在していたことになった。ただしこの場合は私は多重人格の器だった、と言う風に処理された。そして今、私が分身を生み出したから、分身は『ハルカの役割を担う存在』へ変わった。」
「うん。だからカナタ君は君の名前を思い出せたし、君自身も昔の名前を自分のものだと認識できた|。」
「つまり、何? 私の分身は『本来の私』? である可能性がある?」
「今の君とは違う何か、ではあるね。けれど少なくとも僕が観測してきて今まで確認したことのない事象ではあるかな。」
「えぇー。それってさぁ、……まぁいいや深く考えないで置いた方がいいかも。分身の方も『えぇ……?』ってなってるし。」
「あっはっは! そりゃそうだ!! 僕個神的には物凄く面白い展開なんだけどね!!」
うっざ!? 他人の不幸がそんなにも面白い!? 私的には結構困惑することなんだけど!? あーもう本当に腹立つな! 思わず睨みつけた私は悪くないと思います。
「あ、そうだ。こっから本題なのだけど、君の世界に転生者を送っていいかい? 絶対に面白くなるよ?」
「いや本題そっち?! って要らないから!? Rの面白いとか私にとって面白くないことでしょう絶対に!? フリじゃないから送んないでよね!?」
「ええ…残念。つまんないなー。もっとチャレンジ精神を持とうよー。」
「私がおかしいの!? 面倒事は嫌だと思う事は普通だからね!?」
コイツ馬鹿だ!! ほんとばか!! 周りを巻き込むなっつーの! いい加減にしてくんねぇかなほんと!?
ぎゃーぎゃー騒いだ後にお茶を飲んで落ち着く。…何か疲れた……。Rの相手は本当に面倒だな…。
「あそうだ。そろそろ面接再開するからそろそろ帰ってくれないかな?」
「お前は自由かああぁぁぁぁぁ!!!!!」
思わず叫んだ私に同情のまなざしを向ける猫丸ちゃん。不思議そうな顔をするR。何だろう。一気に脱力したわ……。
「じゃあ帰るから面倒事だけは持ってこないでよね……。」
そう言い残して転移魔法を起動させる。癒しが欲しい…レネかラミに抱き着いて休みたい―。
こうして私は、半年と少しの間滞在していた天界から自分の世界に帰ってきたのだった。ただなぁ、Rが最後、私の言葉にニッコリと微笑んだのが気になるんだよなぁ。
リナ・□□□の世界に人類が誕生するまであと――――――――10日。
「面白かったら高評価お願いします!」
「やー、そろそろプロットの見直しと共に前のエピソードを改稿しようかな?」




