第12話 授業 魔法的当て からの放課
「新年のご挨拶をまだやっていないってマジ?」
「え、あ、あけましておめでとうございます!!」
「いっくよー!!」
私はそう宣言すると同時に教室に仕込んでいた術式を発動させる。そうして教室の後ろの方から大量の的が現れた。
「「「「「はぁ!?」」」」」
「ほれほれ、早くしないと教室中を飛び回っちゃうぞー?」
私が仕込んでいた術は『浮遊』、『自立行動』、『加速』である。『浮遊』と『自立行動』で自由自在に教室を動き回り、『加速』で時間とともに難易度が上がっていくようにした。ただ、的には強化や防御系の術式を組み込んでいないので、速くなり過ぎると自壊する。まぁ、言うて的は200個もあるし一個くらいは壊せるでしょ。
私たちの教室は体育館かよって思うくらい広いし、生徒たちが魔法を撃ったくらいじゃ壊れたりしないし、こういう授業もありかもしれないな?
「あ、危ないから一応、みんな横一列に並んでから撃ってね~。それとレイチェル、それ銃タイプだから。銃口がこっち向いてるから。」
「うえぇ!?」
「せんせー!! ちょっとこれの使い方よく分からないっスー!!」
「説明書を読んでから的当てに移動してくださーい。」
「先生!! ユウキがガンガン撃ち落としてます―!? ちょっと待たせてください!?」
「いや、俺はこれの使い方もう分かったから実践してるだけだぞ。」
「ルール違反じゃないので止めませーん。ついでに言えばユウキ君のが一番使いにくい筈なんだけれど。」
「せ、先生…。この杖、魔法が発動しないです…。」
「シズル、それは真ん中のスロットに魔力結晶をはめて使うの。魔力結晶を作って嵌めてみて? 後は先端から魔法が発動するから気を付けてね?」
大混乱だなこりゃ。でもこうやって咄嗟に知らない者の使い方を理解して使う事になれておくと九死に一生を得るかもしれないし、やっておいて損は無いと思う。私だって無茶なことをやらされた。簡易世界の維持とか。マジ許さねぇ難易度高すぎんだよアレは。
んー。魔法の使い方に関して言えばトム君以外は合格点かな? 普通に出来てるし。つかエミリーとユウキはマジ何なの? 体術でもトップレベルなのに魔法も使いこなせるとか勇者かよ。あ、ここにいるのは転生者候補だからワンチャン勇者か。…ワン君はなー、楽しそうに魔法を使うな―。ハウドルちゃんも良い笑顔だなー。何故だろう。物凄く心配になるんですが。こう、マッドなサイエンティストとか純粋無垢なバーサーカーとかになりそうで怖い。心配だけど私は見守る事しか出来んからなー。
取り敢えず1位ユウキ、2位エミリー、3位リドルだったので、その三人には私の魔法を込めた護符を渡しておいた。後皆にも参加証として簡易お守りを渡しておいた。
今回はもう既に生徒たちがクタクタになってしまったので授業はここで終了となった。まぁ的当て自体は後何回かやろうと思っているけれどね!!
『ハロハロ―。こちら本体。そっちはどう? 聞こえるなら応答して。』
そんな声が聞こえたのでアストラルは机に突っ伏していた顔を上げる。その顔はとても不機嫌そうである。というか気分は最悪である。
「おっすおら分身体。聞こえてっぞー。」
『………いやマジでごめんて。天獅子については本当にごめん。』
「ああ……うん。天獅子は何とか片づけた……。本当に気ぃ付けて…。」
『お、おう。…で、ちょっと聞きたいんだけど、《幻影スライム》と《六華の姫》は捕まえた? こっちで神格適応者って確信したんだけど。』
「おお、急だな本当に! でもよかった。実はスライムの方は捕まえたんだよ。そして『申』与えちゃった。」
『おっま、マジすかナイス!! 後は六華姫だけじゃん! おっし、こっちもラストスパートかけてこー!!』
やばい。私は分身体なのにちょっと本体のテンションが分からん。何があったし。
『や、私達12でワンセットだから敵が来る前に揃えたくってさー。《十の獣》は完璧にしておきたいじゃん?』
「え、待ってここに誰が攻めてくんの?」
『Rを裏切った大馬鹿野郎の邪神見習いくん。』
「うわあナニソレ怖い。Rに何をしたわけ?」
『ほかに神様煽動して、反乱起こして、Rのお気に入りを討ち取っちゃった。』
「想像以上に馬鹿であり得ないことしててコメントしにくい。」
『つー訳でよろしく。』
「おけ。何とかするわ。」
ブツッ
はぁー。溜息出ちゃうな。取り敢えず移動の準備でもするか。ラプラスを呼んでフィリアがどこにいるか聞く。あの子とのスキンシップも必要だしね。遠出するときは大体一緒だし。……あ、そうだ。申も連れてこ。
「おーい。申いるかー。」
「いや聞こえますがな。そんなに大声で呼ばんくてもいいでっしゃろ。敵わんわ~。」
そう言って私の前に現れたのは直径1m程の真っ黒な影。グニョグニョうねって特定の形は取らない。最早本当に生きているのかな? っと思えるがれっきとした生命体である。
「そういやお前、本体から名前届いたから今ありがたく拝命して?」
「唐突過ぎまっせ!?」
「君は今日からサトリだ!! いい名前じゃないか!」
「ちょっとテンションについて行けないっす。」
「相変わらず変な奴だなお前。」
「いや上様にだけは言われたくないですわ~。ホンマ敵わんわ~。」
ウネウネしていた影、サトリは形を変える。大きさは変わらずない少し大型の猿に。しかしその眼は一つしかない。皺くちゃで不気味な形相のままサトリはにぃっと嗤った。
「やっぱお前だけ訓練厳しくしてやろうかな?」
「すいませんっした―!!」
アストラルは思った。うん。こいつは物語の役割だったら胡散臭すぎて最後まで信用されない商人みたいな小物だわ、と。
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名 サトリ
種族 変化者
Lv. 4973
体力 39251
魔力 38212
武力 17236
耐久 24139
敏捷 19283
特殊スキル 千差万別 幻覚幻影 【申】
称号 絶対者 全力道化師 大法螺吹き
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「面白かったら高評価お願いします!」
「サトリについてはいずれ触れていきます。」




