第4話 ドラゴンさんはスパルタです
「キャラの名前はかなり適当なのだ!!」
無駄に広いRの館の廊下をてくてく歩く美少女は歩きながら荷物の確認をする。手の持った黒革の鞄には必要なものがちゃんと入っていた。ついでに自分の服装の確認。白いシャツに黒の長袖ベスト、灰色のズボン。これらには装飾は皆無である。茶色のブーツは頑丈性を意識したのか所々に金属が混じっていて誰が見ても軍靴だ。何故そこだけ軽装鎧の様なのか疑問である。髪は後ろでまとめたポニーテール。適当な紐でいいかと思っていたら黒い良い生地で出来た小さいリボンを貰った。Mさん、そこまで私を弄りたいか? ふう、と溜息をつくとその銀髪が揺れる。
どうも! リナちゃんだよ!! とうとう転生者候補の授業をしなくちゃならなくなったよ! Rが天界に私を連れてきてから2日。私のビデオレターを転生者候補達に見せてから既に2日経ったのさ。うん。Rってなんでこういうのは行き当たりばったりなのかなぁ、って思いました。私の服装だとか教材だとか準備している間に転生者候補達に先生が変わるよーって伝えたけれど、後は何もしていないんだぜ? R。酷くない? 私何すればいいか全く分からなかったんですけど? 頑張って考えて用意はしましたけど!! 世の中の教師たちに尊敬の念を抱いたわ。
「さてと、この部屋ですか。」
どうやら生徒たちには一部屋ずつ与えて、教えるように部屋はデカいのを用意していたみたいだね。…なんで教室が体育館並みの広さなのかということには触れた方がいいんだろうか。気にしたら負けな気はする。………よし! スルーして入ろうか!!
「こんにちはー!」
ガラッと扉を開けながら挨拶をする。すると疎らに「こんにちは」という返事が返ってくる。うん。なんか学級崩壊とかしていなくて良かった。けれどやっぱり向いてくるのは「誰だコイツ?」っていう視線。ですよね~。私の外見って君らよりも幼いもん。
「は~い。私は今回から君らの先生役にされたリナでーす。よろ~!!」
挨拶はフランクリーにする。だって面倒だもの。それで私が困るんだったら考える。他に人が困るかは気にしない。
何かざわざわしているけど無視。
「出席取るよー!! 返事しなかったら転生出来なくなっても私は保証できないから―!!」
わぁ、一瞬で静まりましたわ。成績は気にしよう。マジで。
「秋本静。」
「っ、はい。」
私の声に反応したのは日本人っぽい女の子。14歳くらいの子かな。幸薄そう。あ、服装は全員何故か白い貫頭衣です。何でや。
「エミリー・シェパード。」
「はい!」
ふむ、エミリーちゃんは赤毛、つり目、彫りの深い顔の様だ。北欧、欧州、うーん欧米系? 強気な16歳って感じかな。
「柏木雄輝。」
「うす。」
おう、何かザ・ヤンキーみたいな人だね! 日本人で黒髪なんだけどピアス穴とか耳についてるよ! ただ、彼だけ私をよく見ている。警戒でもしているというより見極め、って感じ。将来有望かな。あとイケメン。
「神崎雅杜。」
「はい!」
何だろう。雅杜くんから漂う異常な日本人感は。真面目なんか!? メチャクチャ真面目なんか!? ……フツメンか。凄い安心感。私の癒しになりそう。
「張・李氏。」
「はい。」
きりっ。……何でしょうかね。こう、きりっ、て感じが凄い。効果音かよ。…眼鏡似合ってるよ? なんかそんくらいしかコメント出来ないわ。
「…トム・アレクサンダー。」
「オッス!」
ど こ の 国 出 身 だ よ !?
何かおかしくない!? 名前と返事に差が無い!? そこで「オッス!」とか言うもんなの!? どこなの!? ねぇ君何処出身なの!?
ちょっと混乱。いやびっくりだね。トム君は金髪でちょっとガタイの良い12歳くらいのラテン系な見た目なんだけど、体育会系だったのか……? うーん、首を傾げたいが次行こうか。
「ハウドル・ミツムラ。」
「はーい!!」
元気一杯な女の子が返事してくれました。……天真爛漫な褐色の肌の12歳とか似合い過ぎんでしょう!? 可愛い!! でも問題児になりそう!! 絶対注意対象やん!! てか「ハウドル」って女の子の名前なのかよ!?
「リドル・シュライザー!」
「? はい。」
あ、まともそうな最年長くんか。茶髪のラテン系イケメンくん(色白)18歳。先生の代わりにクラスをまとめてくれ(切実)。
「…レイチェル・ブラウン。」
「はいっ。」
声を上げたのは16歳くらいの金髪少女? …いやねぇ? おっとりしている際なのかお姉さん感が凄いのよねぇ。私より胸もあるし。…異世界で変なおっさんに絡まれそうな子ですね。
「………王・劉河。」
「はいはーい!!」
うん。元気な13歳の中華系の少年だね! 自由そう! とてつもなくフリーダムなんじゃないでしょうか!? 最後に危険人物が増えた!
これで10人。私が教える生徒たちは10人だから全員いますね。どうしようかなぁ。取り敢えず用意した教材は今使う感じじゃないかな~。王くんとハウドルちゃんがアウトな気がする。ちょっと駄目な気がするの! ………うん。授業内容を変更しましょうか。
「せんせーい!! 何歳ですかー!」
「王くーん。私、これから授業するから私語は謹んでくーださい?」
「何で疑問形何ですか…。」
リドルくん。そこで呆れるな! これから君にはツッコみ役になってもらうのだからね!!
「はーい、注目!!」
声を張り上げ、こちらに目を向けさせる。同時に簡易世界を構築、転送魔法用意、簡易的な永久恩恵の用意を済ませる。
「私の授業は基本的に実技です!! という事で転生するための試練其の一に行ってらっしゃい!!」
「「「「「えっ、ちょ―――」」」」」
転送魔法発動! 行き先は私が創った簡易生活型の世界! 頑張ればご褒美もあるよ!! さあ――――
「飛んでけ―!!!」
「おっとー!? リナちゃん教え方ハードモード!?」
仕事用に机に置いてある観察用の水晶に映る映像を見ながらRは笑う。
「何人くらいが使える子になってくれるかなー?」
「……そもそも大丈夫なんですかにゃ? これ、心が折れそうですけれどにゃ……。」
Rは猫丸の言葉にそっと耳を塞いだ。猫丸は主にジト目を向けた。
「面白かったら高評価お願いします!」




