第2話 転生者は面倒な生き物
「タイトル詐欺になっております。お気を付けて。」
今、私の目の前には、ただひたすら反省文を書いております駄神サマと絶対零度の視線でそれを眺める死神様がおります。うん。居心地がめっちゃ悪いね。正直もう帰りたい。しかしそういう訳にもいかないのが悲しいよねー。……私の可愛い弟がこれからピンチというか、死亡フラグが立ってますからね~。取り除かなきゃね、彼方の為に。
「Mさん、このお茶受け美味しいですよー。Rほっといて食べません?」
「ちょっ、酷い言い草だね!?」
「Rほっといて食べませーん?」
「さらに酷くなった!?」
「そうですね、一息つきましょうか。Rは放っておいて。」
「うわーん!! 猫丸―! 狐花-!! 二柱がいじめる―!!」
「控えめに言って自業自得では?」
「今回もフォロー出来ないのにゃ。」
「何で!?!?」
Rを弄りながら優雅にティータイムでも満喫しときますか。んー。この紅茶おいしいなー。
するといじけて居たRはおもむろに話を切り出し始めた。器用に反省文を書きながら。
「……ま、いいや。そのまま聞いて―。さっきOが来てたんでしょ? あっちはあっちで上手く言ってるみたいだからSTEP5まで進めていいかな。狐花―。冬ちゃんに連絡してきてー。」
「承知しました。」
「うん。そんでもって本題。リナとMは僕が呼んだ転生者候補達に戦い方とか力の使い方を教えてあげて欲しいんだ。Mは神になれそうな子担当で、リナはそれ以外担当で。」
「うん? それ私がやんの? 何で?」
「…成程。私は先に準備をしておきましょう。ただR、リナには“黒”のことも説明するべきでは? これだけではわからないと思いますが。」
「おけおけ。じゃあよろー。」
「………心配ですが先に行きますね。」
いつの間にか消えていた狐花さんとは違ってMさんは普通にドアから出ていく。って全然状況が読めないんですけど。どういうことだよ? という事でRに話の詳細を催促。
「ほれ、サッサと説明プリーズ。」
「うーん、じゃあ説明するねー。」
そう言ってRはこほん、と咳払いしてから話を始める。勿論、反省文は書き続けている。
「まず、僕はかなり娯楽大好きなんだよね。それの一環で君にも神格を与えていたんだけど、実はその前に別な子にも神格を与えて神候補にしてたんだよねー。でもその子ちょっと頭が固くてさー。『バンク』とかを教えている段階で『それは間違ってるんじゃないか?』とか、倫理感が~とか、人権が~とか、いろいろ言ってきたんだよね~。だから僕は『君は家畜にもそんなことを思うのかい?』って聞いたら黙っちゃってさー。」
「…………あー、つまりそれで反乱でも起こされた訳? 価値観の違いで、みたいな?」
「そうそう! なんか心に火が付いちゃって反乱されたんだよ! まー、一瞬で終わらせたけど。」
一瞬、私はRから感じた重圧に眉を顰める。凄まじい神通力の放出だ。もしこの場に神の力を一欠けらも持っていない者がいれば、それだけで消し炭になっていただろう、力の奔流。相っ変わらずの化け物っぷりだよ。……ほんと、性格さえまともなら神様っぽいんだけれどなー。
「でもその時に、本人は逃がしちゃってさ~。別にどうでも良かったんだけど、いつでも潰せるしいいかな~って思ってたらさ、僕の友人がその子に殺されちゃったんだ。」
「………は? 待て、あり得ないでしょそれは。」
Rの友人なんて上位の神のはず。それが神の見習い程度で打倒することなんて不可能だ。分かりやすく言えば、蟻が人間の剣を持って象を仕留めようとするくらいの話。荒唐無稽ってレベルじゃない。そもそも実行することも、計画を立てる事すら出来る訳が無い。
「うん。普通はそうなんだけどね? その子が使っていた手駒が観測不可領域にすら観測されない正真正銘の“未知”っていう才能があってね~。その子にやられちゃったみたいなの。」
「いや、それこそあり得なくない? だってRの神格が司るのって――――」
「そう。僕が司るのは“未知”と“既知”。ありとあらゆる全てを見通すのが僕の持つ“事象”。だから僕は最高神であり、誰よりも退屈なの。だからね? そんな子がいたのはすっごい驚いたよ。」
「え、マジ!? そんなことあんの!?」
「あったんだもん。しょうがないじゃん? てかリナもそうなんだけど。」
ん? んんん? 今何と? そのバカみたいな希少な才能を私も持っていると? 私は首をギギギッっと壊れた人形みたいにRの方に動かす。
「マジだよ? MもOも猫丸も狐花も知ってるけど。」
「オーマイガー!!! なんてこったい!! Rが私に興味を持つのなんでかなって思ったのがやっと分かったけど分かりたくなかったよ!!!!」
「で、その未知の子は潰したから問題ないんだけど、その計画者はまた逃げちゃってね? その子とうとう邪神化してねー。」
「ウェーイト!! 情報量が多ーい!! 一気に言うなー!!?」
「黒くんって僕らは呼ぶことにしたんだけど、黒くん逃げるの上手いからさー。しょうがないから身内使って包囲して潰そうってことで、何個かの世界を使えばいいって結論になったから創ることになったんだけど。」
「あー、はいはい。それで私が召喚されたのね?」
「うん! 君が神格適応者かつ“未知”の才能を持ってるのは読めなかったけど!」
「偶然かよ!?」
「という事でこれから黒くんを追い詰めて遊ぼうってことなのー!!」
うわあ、陰湿―。言わないけど。言わないけど!! だってもうRの顔ヤバいんだわ。
「うふふっ♪ 黒くん、僕がそんなこともお見通しってことが分かってないんだよね~。あー、愚か! なんって傲慢で愚かで愛おしいのかな! ちゃんとオハナシしなきゃだね♪」
「猫丸ちゃん、Rが怖い。」
「………そりゃそうにゃ。殺された主様のご友人は主様ととっても仲が良かったのにゃ。ブチ切れて当たり前にゃ。……怒りに身を任せて暴れようとしなかっただけマシにゃ…。」
「……Rが暴れたらどうなったと思う…?」
恐る恐る聞いてみると猫丸ちゃんはそっと目を逸らし、「余波だけで50以上の世界が壊れると思うにゃ。」と呟いた。
R……お前、頼むから暴れないでくれ……。後、黒くんとやら、こんなやつを怒らせて何がしたいんだ……。くっそ迷惑じゃん…。私は明らかに面倒事が起こる予感を感じながらRを見た。……………いやお前まだ反省文書いてんのかよ!!
「ここまで読んでいただきありがとうございましたー!!」




