39話 お魚さん
フィリアと一頻り遊んだ後、私達は川に向かうことにした。理由は簡単で全力疾走したせいで付いた汚れを落としたかったからだ。いや~鬼ごっこって久しぶりにやると結構楽しいね! あの後ついつい五連戦もしてしまったよ。審判役のラプラスちゃんの呆れたお顔が印象的でした。ぶっちゃけいつもは水魔法で洗い流してしまうんだけど、今回はたまたま水が流れる音が聞こえたから行ってみることにした。…後、私が水遊びしたかった。
森をかき分けながら道なき道を移動していくとかなり激しく水が流れる音がする。この感じは………川のせせらぎというより急流? みたいな印象を受けるな。
「うわお。凄いなこりゃ。」
どんどん進んで川に出たんだけど……どっちかっていうとこれは大河? みたいだ。川幅は目測だけど20ⅿ位かなぁ。
「んあ? どうしたのフィリア?」
川が気になったのか川に近づき、そのまま少しずつ入っていくフィリア。ズブズブ入っていくけどもう少し警戒してほしいな。うわっ、この川大分深いんじゃない? フィリアが半分以上浸かったんですけど? ……ん?
「え? 半分?」
思わず声に出してしまう。どうした? みたいな感じでフィリアが振り向いてくるがそれは置いておいて。
フィリアが半分も浸かる? あの子体高が2mもあるのに?
えっと、体高は確か足から肩までだよね。………うん、間違いなく2mくらいだよね? じゃあ水深って1ⅿ位かな? …浅いところで。そんでもって私って150㎝くらいだよね?…え、つまり最深部では私って沈むじゃん!! ………いや待て、別にそれくらいなら問題ない……はず。想像しよう。少女がそこそこ流れの速い大河の深い所でデカい馬と水遊び…。………アウト。どんな状況だよ!? 流石にこれは止めておこう!他の機会でいいことあるさ!!
バッシャン!!
唐突にフィリアが大きな音を立てるから驚いた。フィリアの方を向くと河原でぴちぴち跳ねる魚? を眺めていた。あ、匂いも確認している。って川魚とかいるんだ。
バッシャン!!
うん、この際フィリアは無視してこの魚を鑑定しておくか。
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名称 アラ
ランク D
特徴 清い急流にしか生息しない魚型の魔物。危険性は無く、とてもおとなしい、もとい臆病である。しかしずっと動いていないと落ち着かないため常に動いている。草食性だが、この魔物を大切に育てている特殊な魔物もいるため、捕獲には注意が必要。
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バッシャン!!
「えっ。マジか。」
鑑定してみたけど大分変な生態しているな。見た目はアユっぽいんだけどな~。名前がな~。いや付けてんの私なんだけど。そんなまじまじと観察している訳じゃないからな~。そっと河原を見渡すとぴちぴち跳ねているアラは3匹ほどいる。
バッシャン!!
あ、増えた。フィリアはアラを後ろ蹴りで丁寧に蹴り飛ばしているようだ。何のためなのかは知らん。私は小さく溜息をつきながら手元に水槽を創り出し、そこにアラを入れていく。よかった、まだ元気そうだわ。念のために水槽の環境を弄って大河の環境に近づけておく。
バッシャン!!
まじかー。また増えたかー。……そういやアラって食べられるのかな? アユっぽいし、よく肥えていて美味しそうなんだけどな。ほら塩焼きとか美味しそうだし。何となく川で魚取ったら串に刺して焚火で焼いてみたくない? うう、美味しそう。じゅるり。私は食事なんてしなくてもいいし、睡眠もいらないんだけど、娯楽としてやってみたいんだよね。食べ物で遊んでるわけでもないし、ちゃんと消化して吸収するからいいよね? 謎に言い訳をしながらアラを見つめる。
ズドオオォォォン!!!
「ン”に”ゃ?!」
なんか変な声出た!? 何かはっず!! てか何事!?
慌てて音の発生源を確認すると、フィリアと何故か泡を吹きながら痙攣しているデカい蟹? が川の中で対峙していた。正確にはフィリアが不審そうに蟹を見つめており、蟹は腹辺りを鋏で抑えて痙攣していた。うん? これは……フィリアが迎撃したってことなのかな? よく見ると腹の辺りに蹄の跡があるし。えーっと、あの魔物って何なんだろう?
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名称 ファーミングブロウ
ランク A
特徴 川辺に住む温和な性格の魔物。姿形こそ蟹だが、主食は陸上にある植物である。水中でも陸上でも自由に活動できるため、他種の魔物と勘違いされることもある。知能が高く、魔法も使う。しかし素材として使える部位は戦闘で傷つきやすく、狩りをするには旨味がない。アラを大切に育てていることが多く、アラを取る敵になら、すさまじい攻撃性を持つ。育てている理由は趣味の様だが、この魔物がいなくなった場所にいたアラは大抵絶滅する。
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「フィリア、ステイ!!」
今まさにとどめを刺そうとしていたフィリアを速攻止める。危な!! なんつー不安定な生き物がいんのさ!? 共生関係ですらないじゃん!! どーゆ―ことなの!? 生物としてそれでいいのか!?
取り敢えずフィリアにファーミングブロウの回収を依頼して沈む前にレスキュー。そして回復魔法で治療する。
「よし! セーフ!!」
「バルル?」
「うおっ。」
何で? みたいに鳴き声を上げるフィリアにびっくり。今まで鳴き声なんて出してもこんなに小さくなかったのに、いきなり会話するみたいに鳴くとは……。成長した? のかな。
「えっと、この蟹さん? が居なくなると魚が取れなくなるから回収しようと思ったの。」
「バル?」
「いや、そんな『今まで気にしてなかったよね?』みたいに確認されても……。」
単純にアラに興味があったんだよ。……うし、気まずいから移動しよう。さらば、ファーミングブロウくん。治療費としてアラ5匹(フィリアが獲ってた奴)は貰っていくぜ!
川の流れに沿って歩くこと2時間。まぁ、ファーミングブロウの縄張りからは出ているだろうし、アラを食べてみようかなぁ。そもそも縄張りがあるのかは知らん。
鼻歌を歌いたくなるほど楽しみである。魚なんて何万年ぶりかな? 美味しいと良いな~。
ナイフと串と焚火を創って料理開始。といっても、内蔵取って、塩掛けて、串刺して、焼く。これだけだけど。それでも美味しそうな匂いが漂ってくる。まじかよ、そんなにポテンシャルが高いのか? そこまでハードル上げたのに美味しくなかったら怒っちゃうぞ? ……それよりもフィリアが注目しているのが気になるんだけどね?
おっ、焼けたかな? そうっぽいので実食! ドキドキしながらまずは一口。
「うわっ、うっま!!」
魚の味はしっかりするんだけど、脂が乗っていてめっちゃ美味しい!!何これマジか⁉ 骨も柔らかくて気にならんし食べやすい!
フィリアも食べたそうにしていたので一匹上げたらすごく喜んでいた。まぁね!! これ凄く美味しいからね! しょうがないよね!! …………そういやフィリアって雑食性なんだね。今更だけど。
それはそうと私はアラを家の庭近くの池で飼うことにした。そして本体が速攻準備していたので、いつでもアラを食べられるようになりました。やったね!
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名称 アラ
ランク D
特徴 清い急流にしか生息しない魚型の魔物。危険性は無く、とてもおとなしい、もとい臆病である。しかしずっと動いていないと落ち着かないため常に動いている。そして、その身は非常に美味である。草食性だが、この魔物を大切に育てている特殊な魔物もいるため、捕獲には注意が必要。
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