2話 ドラゴンさんのお勉強会
「後1話くらいならいける?」「な、なんとか?」「他所よりうちは更新遅いからねぇ」
「もう少し頑張ろうか………。」
「あ、ここ微分してる。積分するんだって。」
『知るか―!?』
「ほれほれ後二問残ってるよ~」
『こんなん分からんわ!! 私は数学苦手なの! 生物学専攻の女子大生だぞ!』
「大学生なんだからこれくらいなんとかなるよー。」
『数Ⅲは高校で取ってなかったの!!』
現在私は鉛筆を持ち、ノートに向かって必死に数学を解いている。…何が悲しくて死んでからも数学を解かされているのか…。泣きたい。しかも現在の私は幼い子龍である。どっちかと言うと西洋の竜だけど。何で普通の鉛筆を持たせるのかなぁ!? 一応指は五本ありますけれど!? 上手く曲がらねぇんだよ!! ノートなんてページを捲るのにすら一苦労だぞ!? だって爪が当たって捲りにくい! 指の腹を当てるのが難しい!! はぁー、泣きたい。
Rと会ってもう三か月。基本お勉強してます。ええ、三か月もお勉強です。よしちょっと待とうか。私が今までで一番勉強しているの死んでからっておかしいと思うんだ。起きて―勉強して―お昼寝して―、おやつ食べて―勉強して―寝て―。以下無限ループ。………あれれ? 転生ってこんな感じなの? もっとこう、俺TUEEE!!! で無双していくんじゃないの? 何故に私は大学受験前より勉強してるの? 今この状況が死んで転生しているというのがちょっと理解できていないけれど。だって死んだ記憶ないし。誘拐ってしか言われてないし。
………救いなのは学んでいるのが座学だけじゃないってことかな。体術と魔法の練習もある。うん。魔法が使えるんだ。どうやって分かったかというと、Rが「世界の管理は神通力が基本的に使われるんだ。でもまずは魔法を完璧に使えるようにしないと、まだ幼いから神通力は使えないだろうし、魔法使えるようにしないとだね!」って言って、私の頭をガシッと掴んで何か変な力を流してきて、私が『ぎゃあああぁぁぁぁ!!!』って悲鳴上げてのたうち回ってる間に使えるようになった。相変わらず意味わからん。何で痛かったのかはすぐに分かった。魔法に関するすべての知識が頭の中に入っていたから。………つまりえげつない量の情報に頭がオーバーヒートしただけだった。混乱している間にRは、「僕の管理してる世界全部の魔法関係の知識入れたから魔法は実技で練習していこうね! これだとやっぱり楽だなぁ!」とかほざいていた。多いわ!! 情報過多でこっちの心労が加速するわ!! てかこれあんた何個世界管理してんの!? これ、少なくとも100個は下らないじゃ………? 流石最高神だわ………。ってんなるかぁ!? じゃああと一個くらい何とかしろぉ!? ちなみに体術は身体が赤ん坊レベルなので走ったり、飛んだりする練習ばかりです。最早この時間が一番楽。あまり運動が好きじゃなかったけれど、動き回るとストレスが軽くなる気がする。幼少期からストレスに強くなっていく……。
「はい、それじゃ終了~。お疲れ~。」
『お、終わった………?』
「うん、きゅうけーい。お昼寝してていいよ~。」
………………。……………長い!! 私どれだけ勉強してんのよ!! 時計は無いわ、お腹は何故か減らないわ、部屋はずっと明るいわ、時間感覚狂いまくりよ!! 今何時? ………駄目だ、眠い。R曰はく、「リナの身体はまだ赤ん坊だから睡眠が必要なんだよね~。身体が育てば眠る必要もないんだけどね。」だそうです。え……? 私睡眠要らなくなるの? 完全に生物の括りから逸脱してない………?あ、今更ですね分かります。
ふぅ、疲れた。ちょっとずつ前進してるとは思うんだけれどなー。ただ、もう少しだけ楽しいこと、もしくは娯楽が欲しい。マジでストレスヤバいもん。まぁ、文句ばっかり言っていてもちゃんと言われたことはやるけれど。だって――――――――
どうなろうと私の到達点は神になる事なのだから。
『はあぁー。』
思わずため息が出る。つらつらと一人で考えていた結果出た答えに、我が事ながら呆れてしまう。Rに連れ出されてから自分なりに一生懸命に考えた結果だけど。だってそうじゃない? 自分を攫ってきたって明言している相手の言う通りに私は動いている。バカみたいだ。それでもって私は今の方が、多分充実しているとも感じている。勿論、人だった時に戻りたいと思うときもある。
『いい子でいなさい』 『どうしてそんなことが分からないんだ!』
それでも、私はカミサマに為りたいと願う。願ってしまう。だって私の、私達の居た世界は全部が茶番劇だった。
『こら! そんなことをするんじゃない! はしたない!』 『もっと女の子らしくしなよ。』
人の世界は平和な世界で、何処までも、何処まで行っても、全部が閉ざされていた。自由? あの世界にそんなものはない。でもみんな口をそろえてこう言う。
《争いが無くて、娯楽もあって、飢える事無く生きていけるだけで問題でもあるのか?》
逆に聞きたい。誰かに制限されて、お互いが助け合う、監視し合う社会が、そこにいることで生きていると言えるのだろうか?
『ええー?! あのニュース知らないの―!?』 『―――さんって、ほんと変なこと言うよねー。』
……………………私は生きていると感じられなかった。うん、知っている。私のこの思いは間違いなく異質であるという事。世間一般的に私の方がおかしかったこと。そして今、私がここでカミサマになれるチャンスは偶然手に入れたという事。だったら、もう迷わない。私はどこまで行っても―――――――――――――人の世には異物でしかない。だから、私は自分だけの世界が欲しい。
『……………ごめんね? 皆。私はやっぱり頭おかしかったわ。』
私は寝る前に置いて来てしまった家族や友達に思いをはせた。
でもやっぱり何でこんなに勉強しなくちゃなんないのさー!? やるけど! やりますけど!! 結局どの世界も人生も大概理不尽なんだよなあああぁぁぁ!!!! くっそおおおおおおぉぉぉ!!!!
「読んでいただきありがとうございます!」
「何か気付いたらポイント入ってた!?」「まだ5話も出してないのに!?」
「急げ!さっさと更新するのだ!」「「「「「イエッサー!!!」」」」」
****「2021/2/23改稿しました。」