28話 生態観察 珍魔物編
「まじかよ…。」
ソレを見た時の私の第一声はこの言葉だった。時間帯は夜。場所は樹海から大分離れた森の中。ええ、まだ森からは脱出できていませんが何か? いやそんなことはどうでもいい。この珍妙な生き物を調べなくては。
ソレは植物のような見た目である。地面から生えているかのように直立していて、木のように枝分かれしている。ただ、葉に当たる部分には球体が出来ていた。大きさは2m程で色は全体的に白だね。白い木かな~って思って近づいたらこれよ。何だっけこれ? 人間の時にそれっぽいの聞いたことがあった気がする……。
「あ、『ピンポンツリー』とかいう奴じゃね?」
あれって深海にいるんだっけ? 絶滅種だったかな? まぁどうでもいいか。こいつはこれからピンポンツリーだ!! これは観察し甲斐のありそうなやつですな!!
それから私は頑張った。ひたすらコイツのことを調べ上げてやった。新鮮だったけどね。………コイツなんもアクション起こさないんですけど!? 風に吹かれてユ~ラユラ。能動的に動くことなんてない! ……ええ~。コイツマジでどうやって生きてんの? 近くに同種居ないんだけど……。根っこぽいところ(仮根と私は呼んでいる)も動いていない。魔力の流れも確認したけど吸収しているそぶりもなかった。…体内組織をスキャンして(魔法で)調べても光合成とかで栄養を作っていない。つまりピンポンツリー君も従属栄養生物っていう括りに入るから食事が必要のはずなんだけど……一週間も食ってないよ、このピンポンツリー君。一週間観察してたもの。
…。ちょっと実験しようか。その辺に生えていた木から葉っぱをちぎってピンポンツリー君の球体の部分に載せてみる。すると…葉っぱはゆっくりと球体の中に引きずり込まれていった。次に木の枝も動揺に載せる。同じように引きずり込まれていく。別な球体に載せても同様のことが起こった。
「………これはやるか~。」
ちょっくら獲物を持ってきてみようか。探知魔法を展開してなるべく大きな獲物を探す。………。…………いねぇし。…いいやその辺にいる虫を使おう。すまんな虫君。尊い犠牲となってくれ。
「…《ソウル・アシッド》、《輪廻転生》……《マリオネット》、《マーク》。」
魂だけ破壊して、魂は先に転生してもらった。後はこの死体を有効活用するだけである。ちなみに犠牲になった虫君はバッタでした。名前はミニマムバッタ。適当と言うなかれ。……よし、動かすか。
ぴょんぴょん動かしてピンポンツリー君に近づけていく。すげぇ。一切反応しないや。良く生きてこれたな。でもこのままだと絶滅しますよ旦那。そのまま球体に虫君(遺体)が乗っかると球体が素早く反応。取り込みを開始する。逃げようにも粘着力が強く逃げられずズブズブと飲み込まれてしまった。
「………うわぁ……。」
《マーク》の魔法によって取り込まれた後を観察していると、そのまま消化し始めた。R18案件ですわこれ。…こういう食虫植物いたなー。これもう植物じゃないかな? 動かないしなー。ポイポイっと石ころを投げてぶつける。ほら、反応なんてな――――
『ブシッ』
ダダダダダダダダダッッッ!!!!!
「は?」
突然ピンポンツリー君に足が生えてきたかと思えば、次の瞬間全力疾走で逃げだした。私はそれを呆けたまま眺めることしかできなかった。…………いや動けるんかい!!
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名称 ピンポンツリー
ランク E
特徴 白い木のような外見をした魔物。葉の部分が球体になっているため発見しやすい。基本的に動くことなどほとんど無く、植物のように思われがちだがれっきとした魔物種である。動くのは生命の危機を感じる時程度であり、外見によらず素早い。知能はほとんどなく、脆く弱いが球体の粘着力は侮れない。一か月以上絶食しても問題ない生命力を持つのでトドメはしっかり刺すこと。
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