表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドラゴンさんの暇つぶし  作者: R's
第3章  人間の想いと神様の願い
107/160

第32話   レッツダンジョン!! 其の一

「ダンジョン……これ年内に終わらないな?(確信)」

「あっれこれペースまずいのでは???(戦慄)」


「うああぁぁーーー……。」


 早朝。王都の宿屋に併設していた食堂で私は机に突っ伏していた。


昨日は、本体の意思が今この分身体に入っているから、分身を媒体(デバイス)に私の友人たちと久しぶりに話してみた。それはいい。いや、いつの間にかラプラス達が冬さん(バンクの管理者)に話を付けていたのには驚いたけれど。まぁ大した問題ではないんだ。ただ、優、てめーは許さん。普通久しぶりに話す友人に推し漫画の布教をやるか? しかも酒が入っていたせいか6時間くらい延々と語り続けれた。かなめも真央も止めてくれないし、真央に至っては「莉奈と話す機会なんてほぼ無いんだからしっかりお話したらいいんじゃない?」とか言い出したので優の矛先が私に固定された。正直あそこまで戦慄したのはRのお願いで自称邪神と戦う羽目になった時くらいだ。


「あっ思い出したら吐きそう。」


「何やってんだよ? 酒でも飲んだの?」


「んあ? ああ、クリス君かぁ。」


 顔を上げると、呆れたようなクリス君がいた。軽装に身を包んだ彼の髪は少し濡れている。


「鍛錬かい? お疲れ様?」


「なんで疑問符何だか…。あんたが試験してるところ見たし、ちょっと思うこともあってさ。」


 少しだけむくれたクリス君と相席になる。店員に朝食の注文をした彼は私を見る。


「で、どうしたの?」


「あー、いや、故郷の友人と魔法通話で話してて夜更かししてた。」


「魔法通話……。今日はダンジョンに行くんだぞ? 魔力は持つのか?」


「勿論。私は化け物ですよっと。それくらい簡単に出来るのさ。」


「じゃあなんでそんなに疲れてるんだよ。」


「いやぁ……私の友人ってちょっと変わっててさー、話してるだけで疲れると言うか何と言うか……。」


ジト目で見てくるクリス君に私は乾いた笑いをしながら返答する。若干遠い目になっていたせいか、「大変そうだな。」と同情された。………。さて。これは、聞いて良いのだろうか?


「クリス君さぁ…何か悩んでる?」


「……別に。」


「いやその顔は悩み事のある顔だよ。」


「……。」


ムッとしたクリス君は暫くして諦めたように小声で言った。


「……僕よりあんたの方が強いじゃんか。やっぱり僕が一番あしを引っ張ってる。」


「…んー。なるほど。」


 やっぱり冒険者にとっては強さが分かりやすい指標なのだろう。で、私の強さが分かって当たっていくのを止めたと。


「クリスはさ、どういう冒険者になりたいの?」


「え?」


 強さだけで見てもなぁ。そもそも猫が獅子に成れないように、私とクリスでは種族が違う。スタートラインが異なるとも言っていい。だから私の方が強くてショックを受ける必要なんてないんだよねぇ。


「言っちゃ悪いけど私みたいな奴とクリスじゃ地力が違うんだよねぇ。だからチームで一番弱くても気にしなくていいんじゃない?」


「それじゃ―――」


「ぶっちゃけ《遺灰(アッシュレガシー)》ってグレイとカプアさんとアシュレイちゃんで大体何とかなるじゃない? クリスが悩んでも意味ないよ?」


「………。」


 クリスは傷ついたような顔をするが、現実なんてそんなものだろう。……とはいえ私もそこまで鬼じゃない。っていうか暇潰しにもなりそうだからちょっとした提案を。キーワードは【強さ】と【隔絶した周りの実力】、それに【憧れ】当たりだろう。


「さて、クリスは何を見る? 私か? カプアさんかい? それともアシュレイちゃん? ああ、グレイかな? でも君はその誰にも成れない。生まれた種族が変わらないように君は最初から最後まで『クリス』でしかない。いいのかい? 憧れだけじゃ周りには追い付けない。強くなりたいのは何故か、どういう強さを求めるか。そういうのも考えなくちゃ。少なくとも私はそうだった。」


 そんなに難しい顔をしなくてもいいんだぜ? 楽に行こうや。さてと、静音結界解除っと。


「……魔法?」


「静音結界だよ。あんまり聞かれたくなかったでしょ?」


「……それは」


「お待たせいたしましたー!」


 何かを言おうとしたクリスの下にタイミングよく朝食が運ばれてくる。いや、タイミング悪くかな? ほら冷めるから先に食っちまえー。ついでに苦渋も一緒に飲み込んでー?


「いや何で苦渋を飲まなきゃならないのさ。」


「素直じゃないなー。」


 あ、店員さんすいませーん。私もご飯下さい。













 朝ご飯を食べ終わり、クリス君と別れた私は自分の部屋にて最終確認をしていく。アイテムよし、武器と防具の手入れ良し、あれもこれも空間収納に詰めてっと。あ、この辺はよく使うからポシェットにでも入れておこう。腰のベストに頑丈で汚れにくいポシェットを取り付け、落ちないように紐で補強する。



 二日前、私が魔導士の土人形マジクシュディグースゴーレムを召喚し、グレイが訓練場の床ごと融解させた後、二人揃ってカプアさんに叱られました。もう少し手加減をしてくださいとか、せめて町の外でやってくださいとかみっちり叱られた。カプアさんの説教ってね、静かに駄目だったところを指摘されてね? どうすればよかったのか客観的に諭されるからこう、怒鳴られるより精神的にクるんですよ……。

カプアさんのお説教が終わったあとに、王都のギルマス、イスムさんから「体力が有り余っているならダンジョンを攻略していただけませんか?」 と指名依頼(ミッション)をお願いされたのだ。指名依頼(ミッション)は強制力のある依頼だから私達には拒否権はなく、一日を費やしてダンジョンに行くための準備をしていたのだ。まぁ私はほぼ準備するものなんてないんだけどね!! あ、防具はちゃんと何種類か準備しました。……王都に来る時は武具屋で適当に見繕った奴だったし、試験の時はギルドから借りたローブ着ていたけれどちゃんと用意したんだよ? ……龍の里(ドラゴニア)で鍛冶師やってる始祖人(エルダーマン)がね……。


_______________________________________

名称  祷龍天(とうたつてん)光士流(ながれもの)

ランク  S

特徴  最高級の鍛冶師が神の領域を目指して作られた作品。いくつもの希望は星のように輝き、光の輝きを遮るは流れである。しからば天に至るも流れであり、故に人は龍を尊ぶ。

_______________________________________


 ぱっと見てわかる。ヤバい奴だこれ。いや、見た目はすごく格好いいんだよ? 狩衣ベースの(レザー)に、関節や手の辺りに金属製の防具を取り付けている。(レザー)の部分は白と淡い紫で、伸縮性に富み、動きを阻害することはない。狩衣といっても袖はほぼなく、和服っぽいなにか、というべきなのだろう。あ、もしかしてこれ甚平のほうが近いのでは? うん。たぶんこれ狩衣じゃなくて甚平だわ。ううむ、やはり服の名前はこんがらがるな。そして要所要所にある金属部位は……【涙の欠片】かなぁ。Aランク素材だし、まぁ許容範囲…かなぁ。


 うん。オーバースペックではあるけれど、Sランク冒険者だから、で納得してもらおう。ダンジョンに入る前、宿を出るときに着替えよう。しっかしまた目立つわなぁ。持ってる刀はまだ普通だし……。…大丈夫、よく考えたら周りにいる面子全員目立つわ。ぶっちゃけクリス君ですら十分にレアな素材の防具持ってるもんなぁ…。





 指名依頼で行くのは地下拡張型迷宮(ダンジョン)、『カトリーナ』だ。『カトリーナ』は人類が管理できている数少ないダンジョンのひとつである。王都アアルから2㎞ほど東に進んだ野原だった場所にポツンと大穴が存在し、そこが入口となっていて、大穴の周辺には王国騎士団の詰め所、冒険者ギルドの派出所、商店街などがあり、そこそこ賑わっている。人類が到達し、確認しているのは40階層まで、らしい。10階層ごとにボスモンスターが出現したり、ダンジョンの魔物は死ぬと素材を落とすため、多くの冒険者、騎士たちが攻略を進めている。要するにハイリスクハイリターンってわけだ。普通に考えて回収できるものを剥ぎ取る必要がないって相当楽だものなぁ。


 ………いやまぁ、そんなことより、『カトリーナ』作ったのは私だから攻略自体は簡単なんだよね…。あんまり進めてもどうかとは思うけど、ギルマスはたぶん、攻略できると思ってるみたいだしなぁ。……『カトリーナ』は50階層までしかなく、Sランク冒険者が何人か揃えば攻略できる難易度なんだが、単純に広いから荷物の量も多いんだよ。だって最下層とか王都の5倍ぐらいあるよ? 王都って大体面積が1200㎢くらいなのよ? 普通は攻略できないよね。作ったの私だけど。私だけど!!


……とはいえ、どうせただの暇潰し。地道にズル(チート)無しで攻略してやりますか。荷物良し!! 武器良し!! 防具良し!! 準備は万端、後は出発を待つだけ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ