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 薄明りの点いた部屋の中央には大きな机が置かれそれを囲むように五つの人影が椅子に座っている。全員が殻化しており素顔を見ることはできない。張り詰めた空気の中、特に誰も口を開くことはなかった。

暫くしてドアが開きラグラジアが入って来た。そして軽く部屋を見回す。

「ふむ、全員揃っているね」

「あんたが呼んだんだから当たり前でしょ」

 ラグラジアの言葉に薄黄色の生宝石を纏った女が口を開く。

「ははは、相変わらずヘレルは口が悪いね。そんなに私が嫌いか?」

「妹の・・・レビヤのことが無ければとっくに殴りかかってるわよ」

 その言葉に薄青色の生宝石を舞ったと女がおろおろと周囲を見る。

「ヘレル氏に確執があるのは分かりますがその辺でいいでしょう。レビヤ氏も困っている」

 その様子を見かねて薄紫色の生宝石を纏った男が仲裁に入るが薄茶色の生宝石を纏った別の男が横やりを入れた。

「相変わらずアルルカンは真面目だな!どうせ出来もしねぇんだから好きに言わせてやれよ」

 その言葉にヘレルが顔を向ける。

「確かにラグラジアに手は出せないけどあんたなら気兼ねなくぶっ飛ばせるのよアモン」

「ははは!やってみろよ!」

 ヘレルの言葉にアモンが立ち上がる。いつ殴り合いが始まってもおかしくない状況で黙って座っていたペオルが口を開いた。

「やるなら終わってからにしてくんない。あんたたちの巻き添えでラグラジアに殺されるのはごめんよ」

「・・・私は別に本気じゃないわよ。この脳筋が勝手に盛り上がっただけ」

「けっ!言ってろアバズレ」

 悪態を吐きながらアモンが椅子に座るとようやくラグラジアが話し始めた。

「それじゃあ、先にこれを渡しておこう。ペオル」

 呼ばれたペオルがラグラジアから小瓶を四つ受け取る。そして受け取った小瓶を座っている四人のテーブルの前に置いた。小瓶の中には錠剤が入っている。

「一月分の抑制剤だ。前にも言ったが私が何かを依頼しない限りは普段通りに生活していてくれて構わない。ただし、日常生活での力の使用は禁止だ。破れば抑制剤はもう渡さない。何も無ければまた一月後にここに来てくれれば抑制剤を渡そう」

「もうその話は聞き飽きたわ。用が無いなら帰ってもいいかしら」

ヘレルの言葉にラグラジアが「どうぞ」と答えるとヘレルは小瓶を手に取り席を立つ。

「行くわよレビヤ」

 さっさと部屋を出ていくヘレルを慌ててレビヤが追いかけた。アルルカンとアモンも立ち上がる。

「ああ、アモン。君にはやってもらいたいことがあるんだ」

 その言葉に二人が立ち止まる。

「私も手伝いましょうか?」

「いや、アモンだけでいい。君はもしもの時のために待機していてくれ」

 ラグラジアがそう言うとアルルカンは頷く。

「分かりました。何かあればすぐに言ってください。それでは」

 アルルカンが部屋を出ると残ったのは三人だけになった。

「・・・ペオル。君も待機だ」

「えー、つまんないですけど!」

「お前の姿は軍にバレているからな。分かったら大人しくしていろ。私に二度同じことを言わせるなよ」

 若干苛立ったラグラジアの声にペオルはそそくさと部屋を出て行った。

「さて、それでは君にしてもらいたいことを説明しよう。君には第五シェルターに行ってきてもらいたい」

「第五?かなり昔に放棄されたシェルターだよな?わざわざそんなとこ行ってどうすんだよ」

「そこの軍の施設の地下に研究所があったんだがね。そこにちょっとしたお宝があるんだ」

 その言葉にアモンがくいつく。

「お宝!?まじかよ!」

「ああ、とは言え君の思っているようなお宝ではないとだけ言っておこう。研究者にとってのお宝だ。それはどうもジュラルミンケースに入っているらしくてね。どれが当たりのケースか分からなくても君の能力なら楽に持って帰れるだろう?」

「あー、なんだよ。期待して損したわ。まぁやることは分かった。今から取ってくればいいのか?」

 アモンの言葉にラグラジアは頭を振る。

「いいや。一週間後に軍が第五シェルターに向かうらしい。その中に紛れて行くといい」

「いやいや、紛れるって無理だろ。顔見られたら絶対バレるって」

「ん?まさか軍人に紛れると思ったのか?そんなバカな真似はしないさ。君の能力を使えばいいんだよ。手筈はこちらで整えるから君は目的地に着くまで大人しくしていろ。第五シェルターに入るのもなるべく気づかれないようにな。まぁバレたらバレたで好きにするといい」

 最初は派手にやるつもりはないと言っていたはずなのに今では暴れてもいいというラグラジアの真意が掴めずアモンは困惑した。だが、いくら不可解なことがあろうと自分のすることに変わりはないので、とりあえずアモンは言われたとおりにすることにした。

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