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シェルターの外壁周辺は地獄の様だった。辺りには発症者の血肉が飛び散り死体が転がっている。しかし、発症者達は止まらない。銃で撃たれようが怯まず仲間の死体を踏み締め外壁をよじ登ろうと押し寄せる。
「出来るだけ壁に近づかれる前に殺せ!壁の前に死体を築かれたらそこからよじ登ってくるぞ!」
赤瀬が軍人に指示を飛ばす。その時、何かが飛んできた。それは一つではない。幾つかは壁を越えシェルター内部に落ちる。
「なんだ!?」
報告を受けるより先にそれが何か分かった。発症者だ。壁の外を見るとジャイアントが発症者を掴みこちらに投げてきている。
「あのジャイアントを狙え!各小隊から二名出してシェルター内部に落ちた発症者の駆除をさせろ!」
「まどろっこしいな。俺が切り殺してきてやるよ」
その言葉と同時に誰かが壁から飛び降りた。着地すると刀を抜き向かってくる発症者を切る。
「全員ぶっ殺していいんなら五年前みたいに逃がさねぇぞ」
そう言って細谷は襲い掛かってくる発症者を次々と切り倒しながらジャイアントの元へ進んだ。
少し遅れて赤い腕章を着けたハンターが赤瀬の元へやって来た。
「長谷田ギルド長からの伝言です。今動員できるハンターを応援にやったのでこき使ってくれとのことです。僭越ながら私の判断で半数は内部で壁周辺の巡回をさせたのですがよろしかったですか?」
「よくやってくれた!それでは残りのハンター達には好きに発症者を駆除するように伝えてくれ。弾代は気にせず景気よくな!軍の様にお行儀よくするよりそちらの方が効率がいいだろう?」
赤瀬の言葉に赤腕章のハンターはにやりと笑う。
「我々のことが良くお分かりだ。それでは至急そう伝えてきます」
ハンターが走り去ると赤瀬は息を吐いた。ジャイアントが発症者を投げ飛ばしてきたのには驚いたがどうにかなりそうだ。




