36度9分
『カゼひいた』
とても短いメールが届く
すぐにでも駆けつけて
キミを安心させてあげたい
キミの好きなものを
両手いっぱいに抱えて
ひとり涙を流す
キミの部屋へとたどり着く
「何で? どうして来たの?」
「お前が……大切だからに……決まってるだろ!」
「……うつっちゃうよ?」
「余計なこと考えなくていいから……」
両手で顔を隠すキミの手からは
涙が零れ落ちる
「ほら、治るまで俺がいてやるから、お前は風邪……治すことだけ考えろ」
「うん……うん……ありがとう」
「あっ、やっぱりアレだな……」
「……なぁに?」
ニッコリ微笑み
キミの頭を撫でながら──
「風邪治すことと……俺のこと考えてろ」
額にキスをして
キミが寝付くまで
手を握ったまま
ふたりの時間が
幸せに流れていく
「早く治りますように」
酷くなりませんように──