引き取られる
目が覚めた時、目の前には巨人がいた。
その巨人は人間で言うところの約80代の男性で、綺麗な白髪と白い髭を伸ばしていた。
澄んでいて、穏やかな目をして、またどこかに激しさを持っているような雰囲気を出していた。
体長は約6メートルあり、痩せ型の体型であった。
そんな男が僕に声をかけてくる。
英語でも日本語でもない、僕の全く知らない言語であった。
英語が話せるかどうか聞こうと思ったが、「あー、ダー」などと奇声としか思われない声しか出てこない。
どうすれば意思疎通できるのかと狼狽えていると、脳内に声が響いてきた。
「ステータスの偽造を行いますか?」
何のことかわからなく、無視しようかと思っていると、脳内に自分のステータスが表示された。
ステータス
名前 不明
職種 不明
種族 人族
レベル 1
HP 1500
MP 1500
物攻 1000
魔攻 1000
防御 1000
素早さ 1000
スキル 銀髪少年の祝福 (MP 消費 50)
称号 銀髪少年の恩恵を与えられし子
いやいや高すぎるでしょ‼︎
どう見ても高すぎる!
チートにもほどがあるよ!
あと銀髪少年って誰だ?
あの真っ白な空間で出会った少年のことだろうか。
確かに銀髪で灰色の目をしていたが。
僕はすぐにステータス偽造を行った。
ステータス
名前 不明 → 不明
職種 不明 → 不明
種族 人族 → 人族
レベル 1 → 1
HP 1500 → 18
MP 1500 → 18
物攻 1000 → 8
魔攻 1000 → 8
防御 1000 → 10
素早さ 1000 → 10
スキル 省略 → 無し
称号 省略 → 無し
これでもHPとMPは多いがまあいいだろう。
これで一安心とホッとしていると、男が僕のことを抱いてきた。
「やめてください!僕そんな趣味ないし!それに僕何も悪いことしてないし!食べても美味しくないし!」
大声でわめくが、先ほどと同じように奇声しか出てこない。
内心もうダメかと思いつつも、男が小さな村落に足を踏み入れるまで、僕はずっとわめいていた。
男が小さな村落のある家の前で足を止める。
そして誰かを呼び出したようだ。
女性が出てきた。
体長約5メートル、茶髪で淡い青色の目の女性で、見た目60代だった。
見たところ、2人は夫婦のようだ。
男が女に何かを話している。
五分ほどすると女は僕に優しそうな目をして近づいてきた。
優しそうな雰囲気だったので抱えられながらも抵抗せずにいると、男は少し寂しそうだった。
ゴメンね。
僕はどうやらこの夫婦に養われることになったようだ。
悪意はなさそうだったので、安心すると、僕は初めて自分の身体の異変に気付いた。僕は赤ん坊になっていた。
なるほど、巨人に見えるわけである。
おそらく男性の身長は約180cm、女性の方は約160cmのようだ。
僕は彼らに「ケイン」と名付けられ、孫として世話をされることになった。