第二話 私のいつもと違うちょっとした発見
「今日は時間通りに起きれたみたいじゃな、瞳さん。」
「はい…、いつも遅れてばっかりですみません。神主のおじいちゃん。」
「なあに、気にすることはない。しかし、この前13時に来たときはさすがにびっくりしたわい。」
「うう…」
「はっはっはっは!!」
80歳を過ぎたとは思えない豪快な笑い声をあげた神主のおじいちゃんもとい、この神社の所有者であり、私のオーナー(?)の大杜廉のおじいちゃんを見て、やっぱりこの人はただものじゃないと心の中でひそかに思った。だって、こんなに優しくて強いおじいちゃん他にはいないもん!
「今日は、どこを掃除すればいいですか?」
「そうじゃな、離れの倉庫をちょっくらかたずけてくれんか。あそこはモノが多いうえに一つ一つが重い。さすがのわしも一人じゃかたずけきれんわい。」
「離れの倉庫ですね!わかりました、行ってきます!」
そういうと私は急いで本殿の裏に行こうとした。
「おお、そうじゃ瞳さん。」
「はい?」
「12時になったら一度休憩して、団子でも食べよう。」
「っ!はい!!」
団子、団子♪何を隠そう私は団子が大大大好きなんです!それをわかってて用意してくれるなんて、さっすが廉おじいちゃん!さあて、団子のために今日も頑張ろうっと。
ガラッ
「うっわあ、相変わらず凄い量だねー。」
倉庫を開けると、そこにはたくさんの人形が置かれている。おかっぱで、ピンクの浴衣を着ている人形。形も色も大きさも全部一緒。廉おじいちゃんによると、昔はこれらの人形を全部使って、毎年あるお祭りをしていたそうだ。今は準備が大変という理由でやめたけど、昔はこの町の名物になるほどスゴイお祭りだったみたい。
「廉おじいちゃんは昔これを一人でやってたんだよね。んっしょ、ふう。こんなに重いものをなん十個も運んでたなんて、やっぱりおじいちゃんはすごいよ。」
一つ一つ慎重に丁寧に箱の中に並べていく。こうするとかたづけが楽なんだよって、小さいころ廉おじいちゃんが、……あれ?ちがう、哨が言ったんだっけ。ううん、哨じゃない。哨は昔からこの倉庫に近寄らなかった。中にある人形を気味悪がってた。いつも狛犬さんたちのところで遊んでた。じゃあ誰なんだろう。男の子?女の子?それとも別の大人の人?……男の子だった気がする。私と同い年で、一年中ずっと浴衣着てて、名前は
ガタッ
「えっ?」
音がした方を見ると、
「なに、これ。こんな人形あったっけ。」
そこには、倉庫にあった人形とは違い、
腰まで伸びている奇麗な髪。瞳はきれいな藍色。それと対照的な真っ赤な浴衣を着た、一瞬本物の人かと思うほど細かく、きれいに作られた、人形だった。