超能力
「もし、超能力者になれたら……!」と、思ったことはありませんか?
超能力にも、色々な種類があります。人の考えていることが分かったり、透明人間になれたり……。
他にも数えきれないほど、たくさんあります。
これからお話しするのは、ある日突然超能力が使えるようになった少年の物語。
「……ねぇ、君はこんな場所で何をしてるの?」
と、少女に声をかけられた。どうしていいか分からない僕に対して少女は、
「ねぇ、何で無視するの?」
と、泣きそうな声で呟いた。女の子を泣かしてしまったのは、初めてである。だが、僕は無視し続ける。
なぜなら、これは夢だからだ。毎日のようにこの悪夢を見ている。いつも同じ内容なのだ。
僕が返事をしない理由、それは何を言ってもいつもと同じ答えしか返ってこないから。
「もしかして、夢だと思ってる?」
いつもと違う反応だった。気にせずに少女は続ける。
「せっかく君の願いを叶えてあげようと思ったのに。」
「僕の……願い?」
「そう、君の願い。君は、超能力が使えるようになりたいと願ったよね。」
確かにそう願った。それも毎日のように。
「私はね、君を超能力者にすることができる。」
「……本当に?」
「私は嘘をつかない。」
「…………。」
「……君の願いは、もう叶えたよ。」
「……?」
いつ、いつ叶えたのだろう。……なぜ僕は夢などに頼ったのだろうか。これは夢だってわかっていたのに…!
「そろそろ現実世界に戻った方がいいよ。現実世界ではもう朝だよ。」
目を覚ますと、そこは僕の部屋、そしてベッドの上。今日は6月18日水曜日の朝7時。
そろそろ学校へ行く準備をしなくては………。
僕は学校が嫌いだ。周りの人たちはずっと話している。とてもうるさいと思う。僕のクラスで孤立している人は割りと多い。女子2人に男子2人(僕を含む)だ。そのうちの1人は不登校生。はぁ、なぜ学校などという場所に行かなくてはいけないのだろうか。まぁそれはともかく、僕は今日もまた平凡な毎日を送る……。
『………が…………てる。』
!?、なんだろう、今の声。頭に響く……?意味が分からない。きっと気のせいだ。
『………れ………のひ……?』
やっぱり声が聞こえる!?でも、何を言っているのかはっきりは分からない。誰かの声なのは分かる。
だが、この声の主までは分からない。そんなことを考えている中、授業開始のチャイムが鳴った。
一時限目は体育。月曜日の一時限目から体育だなんて、今日は運が悪すぎる。しかも僕が最も苦手とする、持久走。………最悪だ。
「それでは、持久走を開始する。前半組後半組に分かれろ……!で、前半組は準備しろ!」
先生の声がグランドに響き渡る。………というか、声が大きい。もう少し静かにできないのだろうか。
「前半組、準備はいいか?……じゃぁ、スタート!!」
と言われ、僕ら前半組は走り出す。ちなみに僕は現在真ん中くらいにいる。先頭を走るのは、陸上部の
天才少年と言われている、僕のクラスメイトだ。
『…………だ………www』
まただ。また声が聞こえる。
やっぱり何かがおかしい。話しかけたわけでもないのに、声が聞こえるだなんて……!
それも直接頭に響く!?………いや、本当はもう、気付いていたではないか!
今朝見た夢は、現実。あの少女は僕の願いを叶えてくれたんだ。きっとそうに違いない!
現に僕は、毎日のように、人の心理が読み取れるようになりたいと、願っていた。
あの少女は、神なのか?それとも天……いや、それは無いな。
ともかくあの少女のおかげで、超能力が使えるようになったのは確かなことなんだ!
あとは、この能力が自由自在に扱えるようにすれば……!!
あぁ、なんて最高な日なんだろう。
超能力、それを使うことができたら、本当に幸せになれるのでしょうか?
この少年は、使いこなすことが、できるのでしょうか?
他にもいろいろな疑問が残されています。
……えっ、あの少女が何者かだって?
それは、あなたの想像にお任せします。
もし、あの少女が神様だと思うのならば、きっとそうなのでしょう。
案外あなたのもとにくるかもしれませんね。
その時は、慌てずゆっくり理解してあげてください。
それでは、いつの日か、お会いできるといいですね。