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転校生 ― 十代の衝動 ―  作者: 村松康弘
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― あとがき ―

「十代の衝動」

1980年代後半から現在まで一線で活躍してる、日本のロックバンド『The Street Beats』の楽曲に同名のものがある。

詞の内容もスピリチュアルな部分も似ているところがあって、執筆も後半になってからだが、サブタイトルとして「十代の衝動」を付けた。


どこまででも遠くまで 行けるような気がしてた 今も俺をつき動かす十代の衝動


ただ大声で叫びたかった 自分の言葉で 新しい自分になりたかった


きれい事だけで 生きれるなんて思っちゃいない


ただ蒼い痛みが まだ消えずにうずまいてるんだ


いらいら灼けつくような気分で 夜を漂流した 


わかりあえるやつだっているさ 目の前の壁を ひとつひとつ越えるしかない


ガキの頃描いた夢には まだ続きがあるんだ


さあ始めよう 走りだそう 生き急いでもいいだろ 壊れたってかまわない 壊れたってかまわない (抜粋)


・・・YouTubeにPVがあるので、気が向いたら観てもらいたい。


今回この話を書くにあたり、毎度のことだがプロット的なものは決めずに踏み出した。俺の場合、いつも『いきあたりばったり』だから話が進むにつれて、悩んだり苦しんだりするが。

決めていたことは、『設定を中学時代の自分とほぼ同じ状態にして、そこにとんでもなく破天荒な転校生が現れて痛快に暴れまくる。それを主人公である自分の目線で描く』それだけだった。

・・・やって来たカズオに対し、最初は『さえないヤツ』と見向きもしないが、カズオの本性を知り度肝を抜く。・・・その辺までは見えていた。

その先は、読んでいただいたから判っていることだとは思うが、コウジはカズオに魅かれていき、カズオにしても自分に似た荒さを本質に持つコウジを相棒のように思う。そしてお互いを無二の親友と認めるようになる。

過去作の「夜明けの疾走」にしても「ライジング・サン」にしてもそうだが、ある程度書いて登場人物に命が入ると、そいつらは勝手に動くようになり思想を持つようになる。それは書き手である俺の中で決めたあらすじをも覆すこともある。

それはいつも不思議に思うが、今回は特にそれが強かった。「夜明け~」の山浦と園部、「ライジング~」の三羽と唐沢、にも強い男の友情があったが、俺としては今回のコウジとカズオの気持ちのつながりというか絆が一番かなと思う。


書き手としても今回はかなりハードワークだった。ほぼ連日の更新はキツいものがあったが、頭の中にあるストーリーが旬なうちに文字にしないと立ち止まりそうな強迫観念に襲われるから、会社の会議があり帰宅が遅く翌日の現場が遠くて早起きの日でも、睡眠時間を削って書き続けた。俺の場合、一度立ち止まってしまうと動き出すまでに相当な決意と覚悟が必要だからだ。

・・・読む側はあまり意識しないことだとは思うが、この作品が一番文字数が多い。「夜明け~」は78話で約78000文字、「ライジング~」は50話で約77000文字に対し、「転校生」は45話で90000文字を超えた。我ながら意気込んだ結果だと思う。


マニアックな読者なら判ると思うが、全3作(置き去りの「ふきだまり」は無視して・・・)には過去作に出てきた人物が登場して、それがキーパーソンになっていたりする。俺はそういう登場のさせ方が好きだからそうしているが、そういうのはクドくて嫌いという読者もいるかもしれない。謎の西田の地下室は毎回出ているし・・・。

「夜明け~」が昭和62年、「ライジング~」が平成23年、「転校生」が昭和58年の設定だから、行ったり来たりで判りづらい面もあると思うが、登場人物が歳月とともに変化している部分も楽しんでもらえたらと思う。


完結して10日経ったが、『その後のコウジとカズオを書いてほしい』という声が多い。・・・ありがたい声にいづれ応えようと思う。現在、「六道輪廻のうた」という激烈な話を書いているので、それが完結したら・・・、というか俺が生き延びていたら書きます。


最後に、いつも愛読と提案感謝しています、稚拙な作品だけど愛してくれてありがとう。S吾・K奈ちゃん・M樹・J・M・南さん・姉・H澤・同僚のK瀬氏。



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