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「謝礼をさせてもらうから、ちょっとついてきてくれないか」
3人の中で一番背の低いやつが、俺に提案してきた
むほっ
これは嬉しい
俺はホイホイついてゆく
大どうりからはずれ、裏路地にはいってゆく
ここいらへんは、かつて工業団地だったのだが、うちの鍛冶場が市場を独占したため、人がいなくなりゴーストタウン化しつつある過疎地域だ
人を拉致したり、誘拐して人質をかくまっておくには絶好の場所だ
こんなところに入ってゆくなんて、この人たちはなんて勇敢なんだろう
俺はこの三人に尊敬の念を抱きつつあった
3人は俺を取り囲むようにして歩いてゆく
背の低いのが先頭で、鍵のかかっている扉のドアノブを次々と捻ってゆく
鍵のかけ忘れをチェックしているのか?
後ろには男
しきりに周囲を気にしている
鳶女は何故か屋根の上までひょいひょい上り、大丈夫だと合図を送っている