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サティアンに命令され俺は武器屋の前にモブマントを羽織って突っ立っている
そして誰かに声をかけられたらこう応えるのだ
「武器は買うだけじゃ駄目だ。きちんと装備しないと駄目よ、駄目駄目」
これが俺の今日の仕事
朝から10時間くらい突っ立っているのだが
誰も俺に声をかけたりしない
俺は頭の中で1人でマジかるばななに興じていた
ばななといったら黄色、黄色といったらHP不足、HP不足には薬草、薬草といったら物価の優等生、物価の優等生といったら卵、卵といったら勇者、出発したての勇者・・・・・勇者いつくるんじゃあ!!!
勇者・・・こいよお!!!!
もう!
「お疲れさん、交代だよ」
匿ちゃんがきた
「勇者、きませんでしたよ」
「ああ、さっき王室で王様と謁見してたんだよ」
匿ちゃんはなんだか少し白けた顔をしている
「勇者、どんな感じでした?」
「あーなんというか、勇者のやつ、勇者したくないそうだ」
は?
王から勇者の役を命じられた者は、旅立たなくてはならない
それはこの国の掟だ
一体誰のせいでこんなしょうもない仕事をしていると思ってんだよ!
勇者が来なきゃ、いつまで経ってもここで立ちっぱなしじゃないの俺!
いい歳をした匿ちゃんと(おそらく34歳~36歳くらいかな?)俺
二人のむさくるしい男は武器屋の前で立ち話を始める
「そもそも俺ら、なんでこんな仕事しないといけないんですか?」
「勇者が自立できるように、サポートしてあげないと駄目だろう。誰だって最初は1人では何もできない。協力的な人が民衆の中にいないとやる気もでないだろう。みんな自分の生活で忙しいんだから。勇者にかまって上げられる人なんていないだろう現実的に考えて。だからまったく赤の他人の振りをして、アドバイスしたり、応援したりして、背中を押してあげるのさ」
「まるで、アイドルかスポーツ選手の追っかけですね」
「いや、全然違う。勇者は俺らの存在をまったく知らない、知られてはいけないんだ」
「モブマントで顔を認識できなくするんですね」
「そうだ、勇者に顔を覚えられてしまって、お前の前任者はいなくなったんだ」
「・・・・・・・・・・マジですか」
匿ちゃんは、気をつけなよと言って俺のフードの先端を軽くつまんで、顔を覗き込みながら、力強い目で俺を睨んだ




