一話 一本のペン
これから読んで下さる皆様に、感謝します。
これが小説家になろうでの最初の作品なんですが、時間がないのなんので、更新が三日に一回できれば良い方かと思ってます。更新を待ってくれる読者様がいれば幸いです。各一話が短いので、気軽に読んで下さい。
「好きです!!」
「え?」
そう言って彼が私、人夢琴華に渡してきたのは一本のいたって普通のペンだった。
最初は動揺した。彼、二ツ木謙士は名前順で近く、面識はある方だった。けど告白というのは、初めての経験だったので、なんて答えれば分からなかった。放課後の帰り道の途中だったので誰かに聞かれていて噂になったらどうしよう。などと心配もしていた。しかし改めて考え直して見た彼の手の中には、本当にいたって普通のペン一本だった。なぜこんなものを渡してくるのか当惑している私に彼は、
「このペンは、俺の思いが詰まってるんだ。よく分からないと思うけど、受け取ってくれ」赤面した顔が向けられる。
「う……うん」動揺したぎこちない返事でしか応答できない。
「返事は明日じゃなくてもいいから」
そう言うと彼は物凄い速度で振り向き、走って学校へ向かう道に行ってしまった。朝見た星座占いは、恋愛運が確かにMAXだったけど、今までにそんなことがなかったわけではない。普通の少女マンガならここで頬を紅く染めて、胸の動悸が―――などとあるかも知れないが、それよりもペンに対する困惑がそれを大きく上回っていた。
「なんの意味があるんだろう?」
そうペンを眺めながら呟き歩いていた私に、いきなり不思議な寒気に襲われた。それこそ今までに感じたことのないような、不思議な感覚。
「なんだろ、風邪かな。ペンの上に風邪だなんてついてないなぁ」
告白されたことを、ついていない部類に入れるのはよくない。が、占いが恋愛運以外が最悪だったことを思い出す。そんな時、ふと頭に響くような低い声が聞こえた。
「そこの人! 何か物を手の上にあげて!」
どこから?誰が?そんな事を考える暇も無く、私はさっきのペンを空高く上げていた。 まるで無意識に身体を動かされたように。
その時、体全体に圧がかかり、掲げていたペンの先が、黒く輝いていた。漆黒に目を眩ましながらもなんとか目を開くと天が曇り始めていた。辺りが黒くなるにつれ、私の頭の中は真白になっていった。
気が付くと、本当に周りが真っ白に包まれ、もう何がなんだか分からなかった。
「泣きっ面に蜂とはこのことね。ここはどこ? 天国?」
一周回って冷静になっていた。いや寧ろ、状況を飲み込むのをやめたのかもしれない。その時唐突に、
「残念ながら少し違うね。まぁどこかは想像にお任せするけど。 ところで、これからよろしくね」
「ん?」
全く分からないこの状況下。私は目を覚ました。
「……夢?」
目を覚ました?ら私は道路に倒れこんでいた。
「ッッッッッッ!」
通行人のほとんどが一斉に私を見ている。その状況に顔全体が熱くなり、急いで裏路地に入っていった。幸い、知り合いは居なかったようで良かった。
?が無数に頭に並んでいる。「なんで?」だらけな脳内。
コト
ふと足下にペンがあった。目の悪い私は、拾い上げ、確認してみた。 彼から貰ったペンと同型だが、色とデザイン。そして、骸骨のストラップが付いてる点で、あのペンとは違う。誰かの落し物と思い、このペンを又道に置こうと思った瞬間、
「やっと死ねるよ」
と、手の中のペンがいきなりしゃべった。それが発した言葉など関係なく思わずGを見たときのように躊躇なく何度も踏んだ。もはや声すら出ず、熱かった顔が一気に冷めていく。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
何度も何度も
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
何度も何度も何度も
「さすがにもうやめてよ!!!!」
ペンに怒鳴られたとほぼ同時に息切れてしまったので仕方なく、踏むのをやめた。そして急いでどこかに逃げようとした。が、そのペンは私の行動を先読みしたのか
「このペンは君の友達の大切な物じゃないの?」
足が止まった。その時、なぜかその不気味な物が彼からもらった大切なものと同一と確信した。けれど人外となんて話したくはない。ペンに憑依した妖怪の一種か何かと認識して間違いないと心が叫んだ。
「まあ、話だけでも聞いてよ……」
なぜかこのペン?に逆らえない。気が付いたら、私はペンの近くにしゃがんでいた。