表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

AOI 第87話

 弟は、熱々のラーメンを途中に、こたつから出て、カーテンを開けて庭を見た。

 「自転車無理かなぁ。」

 と、庭の向こうに見える道路をつま先立ちをして見ていた。カーテンを閉めて、今度は、居間を出て、玄関のドアを開けて、外を見に行った。見えなかったのか、長靴を履いて、玄関を出て、道路まで見に行っていた。弟は、

 「よし、よし、これで行ける。」

 と、居間に入ってきながら言っていた。自転車で行こうと決めたみたい。そして、寒い寒いとしきりに大きい声を出しながら、こたつに入って、ラーメンをすすった。

 「雪、大丈夫だったの?」

 と、聞くと、弟が、

 「除雪車が通ったみたい。」

 と、言ったので、道路の端に雪の山ができているなと思った。いつも歩く歩道が雪山で見えなくなっているので、自転車や歩く時は、車道を歩かなければならなくなる。雪道では、人が車道を歩くと、車は人との距離をとってくれるので安心だけれども、対向車がある時は、すれすれで体の横を走っていくので、少し怖くなる時がある。転んだらひかれてしまう。学校がある時は、事あることに、雪の日の道路の歩き方についての話がある。みんな、それとなく、頭の片隅に記憶されている。自転車は車輪が雪にのってしまうと滑ってしまうので、私は怖いので乗らない。弟は、違うのだなぁ。弟の友達は、そういえば、みんな、自転車乗っているなぁ。自転車に乗って、大きい声で話しながら笑いながらの集団を見かけた時があったな。学校帰りの、スーパーの前の道で集団の自転車を見かけて、その中に弟の姿があって、前を向いてと思うほど隣の子と話したりしていて。きっと、今日、これからそんな感じで、スーパーに集まって、それぞれにお菓子を買って、ワイワイ家に遊びにくるんだろうなぁ。私も早くラーメンを食べなきゃ。こたつにラーメンを運んで弟の隣で、食べはじめた。弟には、雪道すべらないように気をつけて自転車乗るんだよと言った。弟は、

 「ハイハイ。」

 と、短く言った。そして、こうも言われた。

 「お母さんみたい。」

 って。私は、とっさに、

 「似てる?」

 と、聞き返した。弟は、ラーメンの麺を箸で持ち上げて、

 「うん。似てる。」

 と、一言。急いでいるからか、それからは無言でラーメンを食べていた。私は、頭の中で、(お母さんみたい。)の言葉がループしていた。ラーメンを食べながらでも、ずっとループしている。TVの話も耳に入ってこない。少し悲しくて淋しくてなんでこんな気持ちになるのかなぁと、無言でラーメンを食べ続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ