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婚約破棄された悪役令嬢は、役割を与えられない場所で静かに生きる 〜尽くしても報われなかった私を、理由も聞かずに受け入れてくれる領がありました〜  作者: 東雲透


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第68話 王都の誤算

 王都、宰相府。


 重厚な机の上に、報告書が積まれている。


「辺境伯領の物流停滞、効果は限定的」


 読み上げる声は低い。


 宰相ベルフォードは、眉一つ動かさない。


「北方港が再稼働の兆しを見せています」


 報告官が続ける。


「倉庫修繕、人員増強。二週間以内に試験便の準備が整う可能性」


 室内の空気がわずかに張る。


「凍結契約は破棄されていないため、完全な違法とは断定できません」


 宰相はゆっくりと指を組む。


「検査強化は」


「続けておりますが、露骨な封鎖はできません」


 証拠がない。


 王都は公式には“善意の検査”をしているだけ。


 だが。


 辺境が動き出した。


「予想より早いな」


 宰相の声は静かだ。


「辺境伯は、経済に明るいわけではないはずだ」


 報告官が言葉を選ぶ。


「……噂では、元婚約者が関与しているとのこと」


 部屋が静まる。


「悪役令嬢、でしたか」


 皮肉を含んだ声。


 宰相は目を細める。


「戻らなかった娘か」


「はい。王都の復帰要請を拒否したと」


 宰相は立ち上がり、窓の外を見る。


 王都の石畳。


 整然とした街並み。


「評価を誤ったな」


 小さく呟く。


 彼らは考えていた。


 物流を締めれば、辺境伯は妥協する。


 あるいは、娘が戻る。


 どちらに転んでも、王都の面子は保たれる。


 だが。


 第三の選択肢が動いた。


「港を動かすとは」


 予想外ではない。


 だが、速度が違う。


「王太子殿下は」


「静観を指示されています」


 宰相はわずかに口元を歪める。


 王太子は慎重派。


 露骨な圧を好まない。


 つまり。


 今は宰相派が動いている。


「ならば」


 宰相は振り返る。


「港の保険料を上げろ」


「海賊出没の噂を流せ」


「北方との航路は危険だと」


 直接止めない。


 だが、不安を増幅させる。


「はい」


 報告官が頭を下げる。


 宰相は最後に言う。


「娘を甘く見るな」


「戻らない者ほど、厄介だ」


 王都はまだ本気ではない。


 だが、誤算は生じた。


 辺境は削られる側でいるはずだった。


 それが、動いた。


 そして。


 王都は初めて気づく。


 これは単なる令嬢の意地ではない。


 構造の変化だと。

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