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「はぁ、酷い目にあった。ってか、なんで私まで」
皆のいる部屋から脱け出した私は、あの後、何故か平岡くんと一緒に砂東フロア長に怒られた事を一人ぼやく。
「甘味!お前も悪い!ギャーギャーギャーギャー騒ぐなよ!」
「何で私まで…」
「何ででもだ!!」
「甘味さん、ここは一緒に謝りましょ」
「えー!平岡くんだけ謝りなよー!何で被害者の私までっ!」
「だからうるせーつってんだろ!黙れないなら、これでも食ってろ!あんなに食いたがってただろ?!」
口に無理矢理押し込まれたジューシーな唐揚げに、それ以上文句を言えず、私はお口をモグモグ。
この理不尽な光景は、更に周囲の笑いを誘った。
その後すぐに、私はトイレを理由に部屋から抜け出した。
「トイレは……と。あっ、あそこか」
6杯飲んでも足取りは軽やかにトイレへと向かうと、先に中に居た遠藤ちゃんと出くわした。
「ごめんね!電話に全然気付かなくてさ」
「大丈夫ですよぉ。先輩こそ、さっきは大変でしたね」
「そうだね。平岡くんが酔っぱらってなければ、あーはならなかったんだろうけど…。一体誰が平岡くんにお酒飲ませたんだろう?皆、平岡くんの酒癖の悪さは知ってるはずなんだけどな」
だから今回の飲み会も、平岡くんが飲みすぎないように私と植田くんで目を光らせようと臨戦体制を整えていたのに。
「あーー、それ。砂東フロア長みたいでぇ」
「え」
結局の所は、元凶は砂東フロア長。
そう思うと怒りは沸々と湧いてくる。
「でもぉ、砂東フロア長は平岡くんの酒癖の悪さを知らなかったんですから、責めないであげて下さいね。なんなら、砂東フロア長の変わりに私が謝りますから」
どうにも隠せない苛立ちを顔にはっきりだしているであろう私に、今日の為に気合いを入れたのだろう一段と凄いツケマの瞳を私相手にもウルウルさせる遠藤ちゃん。
「別に、遠藤ちゃんが謝らなくてもいいよ。悪いのは砂東フロア長なんだし」
「いや、私が砂東フロア長にちゃんと伝えてれば良かったんですぅ!」
まるで悲劇のヒロイン。
「全部私の責任です!」と、遠藤ちゃんの名演技は終わらない。
「だからぁ、砂東フロア長は悪くないんです。これからは私が砂東フロア長と密に連絡を取り合って、こんな事が起きないようにしますから」
だんだんと膨らむ話しに、正直、超面倒くさい。
「分かったよ。もう責めないし、怒らないから気にしないでいいよ」
「本当ですかぁ!じゃあ私行きますね!早く行かないと、砂東フロア長を誰かに捕られちゃう!」
結局はそこ。
慌てて出ていく遠藤ちゃんが扉を閉めた後、私は深いため息を吐いた。




