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願えば初恋  作者: y-r
歓迎会

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「やっほ~!遅れちゃってごめんねー」


女性陣みんなに挨拶し、空いている端っこの席の斎藤さんの隣に座る。


「毎度毎度平岡くんの相手も大変だね~」


「だから植田くんにも平岡くんには注意してね!って店にいる時に釘刺しといたんですけどねぇ」


平岡くんにダル絡みされるのが嫌だったから、仲良しの植田くんに「お願いだからあんまり飲ませないでよ!」と言っておいたのに。


「アハハ!気付いたらあーなってたからね。それにしても、甘味もよく寝てたのね。みんな、甘味が居ない!って大騒ぎだったんだよ?」


「面目ないです…。あれ?若林ちゃんは来てないんですか?LINEでは遅れるかもっとはメッセージが来てましたけど」


そういえばと、目線を1部屋一周させても若林ちゃんの姿はなく。


「結局ね、ご主人さんが残業になっちゃったんだって」


「えー!残念!!今回こそは若林ちゃんとも飲めると思ったのに!」


「ねー。若林とも久しぶりに飲みたかったのにねー。こればっかりは仕方ないよ。福原さんも用事が出来て来てないし、ここは独身同士で乾杯しますか?」


「はい!2人で飲み明かしましょう!」


「飲み明かすのは甘味とは無理だなー。それは他所の人をあたって欲しいかも」


「そんな悲しい事言わないで下さいよー!」


斎藤さんともグラスを交わし、独身2人の隅っこでの内緒の会話は続く。



「そういえば、昨日は途中で帰ってごめんね。ここだけの話し、実は合コンだったの」


斎藤さんの告白に、私は目を見開き「ハッ!」と息を吸い込む。


だからあの時、あんなに慌てて帰っていったのか?!

今思い返せば、あの時の斎藤さんは私達に謝りながらもニヤニヤしていた気がしなくもないかもしれない。


「えー!ずるいー!1人だけ抜け駆けしたんですか?!何で私も連れてってくれなかったんですか!医者ですか?!銀行員ですか?!警察官ですか?!消防士ですか?!私も合コン行ってみたいですー!」


縁もゆかりもないテレビでしか聞かない"合コン"というワードに興味深々。

興奮気味で斎藤さんにグイグイ詰め寄る。


「フフッ。ドラマの見過ぎよ。相手は同年代の人達で職種はバラバラだったし、甘味が思い描いているような煌びやかな感じじゃなかったわよ」


「それじゃあ、1人もピンとくる人はいなかったんですか?」


「んーー。どーかなー」


答えを濁す斎藤さんは、明らかに私から視線を逸らす。



「ほら~、いたんだ!これはれっきとした裏切り行為ですよ!」


まだ若い遠藤ちゃんはいいとして、斎藤さんと私、もしお互いの身に何かあったら逐一報告しましょうね!って約束していたのに。


「いや、私も人数合わせで友達から急に呼ばれただけだしさ。あの状況で甘味を連れ出す訳にもいかないでしょ?」


「そーですけどぉ。そーなんですけどぉ」と、裏切られた悲しさで畳をイジイジ。もし、私だけ行き遅れたらどうしてくれるんだと、恨み節をつらつらと斎藤さんにぶつける。


「甘味はまだ若いからいーじゃない。順番からいったら私の方が先にどーにかしないといけないのよ!」


いじける私に、甘味といくつ歳が離れていると思ってんの!と斎藤さん。


「まぁ確かに、それじゃあ仕事よりそっちを優先しますよね。あ、でも。斎藤さんは砂東フロア長狙いではないんですか?」


私はこっそり砂東フロア長を指差し。


「まさか!砂東フロア長は確かにかっこいいけど、ただそれだけよ。目の保養にはなるけど、砂東フロア長とどーこーなるなんて現実味がないわ。甘味だったら砂東フロア長もいけるんじゃない?」


今度は斎藤さんが砂東フロア長を小さく指差し。


斎藤さんが指差した先にいる砂東フロア長を見る。


「斎藤さん!私にも選ぶ権利があるんですよ?それに顔だけじゃなくて心もイケメンじゃないと、お互いの気持ちを高め合っていけませんから!」


「アンタ…。どんだけ理想が高いのよ?!それじゃあ、自分のハードルまで上がっちゃってんじゃない!そんな理想ばっか追い求めてたら一生結婚できないわよ?!あ、分かった。お互い高め合えるような良い人が既にいるんでしょ~」


「まっっったくです!」


私は何の躊躇いもなく言い切る。

そんな私を見て、斎藤さんは苦笑いをしている。


「いいなぁ~。福原さんも若林ちゃんも結婚しちゃったし。これで斎藤さんまで結婚された日には……」


結婚かぁ。

口では「いいなぁ」なんて言いながら気になる人すらいない私にとっては、それこそ全く現実味がない。


もちろん年齢的には焦りはあるけど、またいつか誰かを好きになって、その誰かと一緒に暮らして、その人と一生を添い遂げる人生が私には来るのだろうか。



テーブルに頬杖をつきながら物思いにふける私の耳に入ってきた騒がしい声は、隅っこで何故か顔を寄せ合いながら話しをしている男性陣達で。



「甘味もさ。選り好みしてないで、てっとり早くあの中から選んじゃえば?」


斎藤さんの冗談めいた囁きにもう一度視線を移し、"あの中"を確認する。


どうやら話しの中心にいるのは田中さんで、そこに群がる砂東フロア長と平岡くんと植田くんと大学生アルバイトの池内くん。


見ているだけでむさ苦しい。



「ないっすね」と、メンバーの顔をチラッと見ただけで一言で切り捨て。


「元カレはイケメンだったもんねー。まだ次の恋にはいけないかー」


年下は年上から、からかわれる宿命なのだ。


私が平岡くん達をからかって面白がるように、斎藤さんはよく私をからかい面白がっていて。


「酷いー!別れてからもう随分経つんですよ?!何で今それをぶち込むんですかー?!斎藤さんが言わなければ元カレの事なんか忘れてましたよ?!」


「ごめんごめん。どんまい」


「斎藤さんがわざわざ蒸し返したんですよ!」


みんなそれぞれ自分を取り巻く環境が変わってきて。


何も変化がないのは私だけか。

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