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願えば初恋  作者: y-r
私の決意

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そんな私の仕事は"販売員"だ。


北海道から沖縄まで全国展開している大手家電量販店に就職して、今年で11年目になる。


何で電気屋さん?


もう勉強はしたくないからと進学はせずにこの会社に就職を決めた時、周りの友達から不思議がられたっけ。


まぁ確かに、まだ高校生だった私自身、電化製品になんて興味がある訳もなく。


私の身近にある家電なんて、家族みんなで使っていた安いドライヤーと、中学校の入学祝いで買ってもらった私専用のストレートヘアアイロンぐらい。


それじゃあ、何で?


答えは簡単。

この会社の求人案内がたまたまあったから。


高校の進路指導室横の壁一面に貼られた求人票の中には、他にも銀行.保険会社.美容師などがあったけど、そんな所で自分が働いている想像がつかず、なんだか私の柄じゃない。


それなら、ここにしてみよっ〜と!

求人票を指差し、軽く決めた就職先。




「えっ?!杏?!本当にココにするん?!電気屋さんっておじさんの店員しかおらんイメージなんやけど?!」


偏見しかない友人の発言に、「酷っ!」と言いつつも爆笑する。


「でもさ、テレビで見る電気屋さんは綺麗で若いお姉さんが接客しよるやん??」


「あんなん都会の方だけやろ?!私がこの前お母さんと行った所は、おじさんばっかやったばい??」


「それは、、、、たまたまやない?えーーー、ダメかねぇ??でもなぁ〜〜、何処にするか悩むのも面倒くさくなってきたし、私やっぱりここにする!ちょっと待ってて。申込書もらってくるけん。」


善は急げと、私は進路指導室の扉に手を掛ける。

そんな私を、友人は慌てて引き止める。


「いやっ、ちょっと待ってってば!家族に相談したりとかせんでいいと?!お母さんとかお父さんとかさ?!」


「んーーー。ま、大丈夫やろ。相談した所で、私の意思が変わる訳じゃないし?」


「えぇーーー、、、。本当にぃ??後から後悔しても遅いとばい?!」


「いいの、いいの。なんか面白そうやん。」


"面白そう"


それが今の会社を決めた理由。


「杏ってさぁ。どーでもいい様な所は慎重なのに、肝心な場面で大胆というか思い切りがいいというか無謀という軽率というか適当というか、」



友人の心配を他所に、そんな単純な理由でも、18歳からこの歳まで辞めずに続けてこれた。


だけど、新入社員の頃は右も左も分からずに、お客様からの電話一つ出る事さえオロオロ狼狽えるばかり。


メモを取るのに必死で、折り返しの電話番号を聞く前に、電話を切っちゃった事もある。


お客様との会話中に、友達感覚で出ちゃったタメ口で叱られた事もある。


たくさんの失敗もして、いっぱい泣いて、お客様や先輩達に叱られて…もう辞めたい!って何百回思ったか。


それでも、初めの頃は苦手だった接客も何回も何回も経験を重ね、最初に覚えた仕事の一つ一つが今の私の仕事をする上でのしっかりとした土台となっていて。


11年経った今ではお客様と世間話が出来るようにもなったし、その他の仕事だって覚えてしまえばこっちのもの。



入社一年目で配属された店舗は、実家から車で20分ほどの従業員数が6人しかいないという今では珍しい小さな店舗。


残念な事に、私が転勤した2年後には閉店して跡形もなくなっちゃったけど、そこで私は仕事の基礎を身につけた。


建物はかなり年季が入っていたが、そこで働く人達も年季が入っていて、更にはそこを利用するお客様もほとんどがシニア層だった。


そんな所に産前休暇に入る女性社員の代わりとして7年ぶりに配属されたピチピチ新入社員の私は、ベテラン社員に囲まれて、厳しくも優しい人達の中で忙しい毎日を過ごしていた。


辞めたい辞めたいと思いながらも月日が経つのは早いもので、その店舗での勤務年数は5年目を迎えていて。


さすがに長く勤めていれば、転勤の話は出てくるだろう。


もちろん、私の同期も何人も転勤していた。


だから、いつかは自分もって覚悟はしていた。


けどさ?


それにしてもさ?


酷くない??!


いきなり県外って!



"覚悟はしていた…"


なんて、カッコつけて言ってはみたけど、それはせいぜい車で通勤出来る範囲だ。


当時23才のか弱い女性を、まさか誰も知人のいない遠くの地に行かせるなんて!

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