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願えば初恋  作者: y-r
アイツとの再会

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本っっっっ当に最悪なんだけどっ!


明日からコイツと一緒に働くのっ?!


いやっ!てか、その前に!

何でいんの?!?!


何でこの会社にいる訳?!



何で?!

どうして?!

いつ?!


数々の疑問が飛び回る頭の中をかけめぐるけど、最も不可解な疑問が一つ。


あっれーーー???

こんなにイケメンだったっけなーーー????????


中学の時のコイツは、思いあたるモテポイントなんか皆無に等しく…。


そもそも、周りに女子がいたのなんて彩花以外見た事がない。


それに、髪なんかいつもボサボサでついでにぴょこんと寝癖がついてたし、声は無駄に大きいし、話し方は下品だし。


頭脳明晰.運動神経抜群の健一くんとは大違い!


だから正直、コイツの事なんか健一くんの引き立て役にしか見ていなかった。



なのに、今私の目の前にいる"砂東 春希"を名乗るこの人物は、何でこんなにもかっこよく見えるんだ???


なんど瞬きしてもイケメン。

目を擦って見てもイケメン。

右から見ても左から見ても、下から見上げてもイケメンだ。


同姓同名の人物が、砂東春希の名前を語っているのか???



「あのさ?さっきからお前、俺の事放置して何してんだ?!」


露骨に眉をひそめ苛立つ顔さえ間違いなく爆イケだ。


「あ、いや。あのさぁ~?砂東くんさぁ。そのぉーーー。全体的に、顔、いじっちゃった?」


あの頃の砂東くんの顔を必死に思い出して見ようとしても、目が2つで、鼻が1つで口が1つだった事しか思い浮かばず。


こんな整った顔なら中学当時もイケメンだったに違いないのに、私の目にとまらなかった理由は絶対これしかないだろう。


失礼承知でぶつける最初の質問。


「久しぶりに再会して言う言葉がそれな訳?!相変わらずのバカだな!顔なんかいじる訳ねーじゃん!れっきとした成長だわ!」


「へーーー、成長ねぇ?」


成長というそんな簡単な言葉だけで、ここまで変貌を遂げるのか??


私は、マジマジと砂東くんの顔を覗き見る。


「鼻を高くする為にヒアルロン酸を注入して、目尻も切れ長にする為に切開して、他にも色々いじっちゃってるよね?全部で総額いくらしたの?許してあげるから、今すぐここで吐いちゃいなさい?」


「信じてねーだろ?!はぁ~、本当バカ!マジバカ!超バカ!ウルトラバカだな!」


はい!

確定しました!


この全く成長を感じさせない話し方。


間違いない!


こいつはあの砂東 春希だ!



そう認めたはいいが、なんて残念。


少し長めの黒髪を、前髪はセンター分けしてワックスでサラッと遊ばせているのに、かもしでる清潔感。


キリッとした涼しげな目元も鼻筋の通った鼻も、昔の様に私を侮辱する少し厚みのある唇の形だって私のどストライクなのに、中身があの砂東 春希だなんて…。


神様は何て残酷な事をしてくれたんだ。


これじゃあ私が、この顔面を持ち合わせている砂東くんと恋愛関係になるなんて、地球が滅びるとしてもないだろう。



「砂東くん…。」


どうか、そのイケてる外見だけ私の側にいて欲しい。

そして、どーにも救いようのない中身は、二度と私の目に入らないよう遠くの地で朽ち果てて欲しい。


願をかけるよう、砂東くんを見つめる。



「もしかして、惚れたか?」


そんな私の気持ちを知らず、砂東くんはそのイケてる顔面で、恥ずかしげもなくサラッと戯言を言い放つ。



「うわっ。思い出してきた。そうそう、そんな感じだったよね。ジワジワ思い出してきた。アンタって、無駄に自意識過剰だったよね。」


「無駄にって。…失礼極まりないな。」


「アンタなんかに気を使う必要ないしー。ま、来ちゃったもんは仕方ないか。これから適当によろしく~。」


一笑し、私は砂東くんの肩をポンポンと叩く。


「お前さ、自分の立場忘れてるだろ?俺、お前の上司なんだけど?」


砂東くんは、勝ち誇った顔で私を見下すけれど。


「それくらい知ってるわよ。でも、白物コーナーは熊野フロア長が長年担当してるし、確かに前は2名体制だったけど今の人数なら同じコーナーに2人もフロア長はいらないでしょ?あとは、エンタメコーナーか携帯電話コーナーがフロア長が不在だけど。ま、アンタがどこのフロア長になろうが私には関係ないし。」


我が社全体のモデル店として建てられた私が働くこの店舗。


あれから6年が経ち、この店舗よりも更に超大型な店舗が全国に建設されたが、それでもまだ売り場面積としては4.5位を競うほど広く売上高も上位をキープ出来るほど来店客数も多い。


更に交替制のシフトに加えて、各コーナーごとで従業員の持ち場が決められている為、朝礼時や接客時以外に他の売場の従業員と顔を会わせないまま1日終わるなんてよくある事。


今度は私が勝ち誇る番。



「甘味。その事ならっ、」


「やばい!しゃがんで!!」


遠くのレジからの視線に気づいた私は、砂東くん。もとい、砂東フロア長が言いかけた言葉を遮り、思わず自分の両手を砂東フロア長の両肩に掛け無理やりしゃがませる。


「ど、どうした?!」


真正面から間近で見る、砂東フロア長の文句一つない整った顔。


男の人なのに、こんなに間近で見ても肌まで綺麗なんて。


「なんかムカつく。」


「はぁ?!急に訳わかんねぇし!」


「ごめん、今のは忘れて。それじゃ、私はもう仕事に戻るから。」


遠すぎてレジまで聞こえる筈がないのに、何故か声まで小声で。


「十数年振りに会った友達に冷たくね??!こうさ、久しぶりー!とか何でいるのー?!とかなんねーの?!」 


「ないないない。逆に仕事の邪魔だから早く帰って。」


ただでさえ目立つ存在になったコイツと、昔を懐かしみここで長話しでもしようものなら、皆に私たちの関係がバレてしまうのは時間の問題だろう。


1人スクッと立ち上がり振り向きもせず、私はその場を後にする。



「相変わらずだな。……まぁいいや。これからヨロシクな!」


「はい、はーい。よろしく~。」


これまた振り向きもせず、片手をヒラつかせた私。


「フッ…、相変わらず振り返りもしねーし。それに、2つ返事もまんまだな。これじゃ、どっちが上か分かんねーな。」


そんな砂東フロア長の言葉は、私の耳にはもう入らなかった。

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